こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
「西長住まつなが歯科」院長の松永紘明です。
歯周病の治療について調べていると、
「歯ぐきの手術で骨を削ることがあります」
という説明を見たことはありませんか?
患者さんからも、
- 「悪い骨だけを削るんですか?」
- 「健康な骨まで削ってしまうんですか?」
- 「削ってしまって大丈夫なんでしょうか?」
という質問をいただくことがあります。
確かに、「骨を削る」と聞くと驚かれる方が多いでしょう。
しかし、歯周外科で行う**骨外科(Osseous surgery)**は、骨を減らすこと自体が目的ではありません。
歯周病が再発しにくく、長く歯を守るために骨の形を整える治療です。
今回は、1986年にOchsenbein先生が発表した骨外科の代表的な論文をもとに、骨外科の目的や考え方を分かりやすく解説します。
骨外科(Osseous surgery)とは?
歯周病が進行すると、
歯を支えている歯槽骨は均一に吸収するわけではありません。
部分的に深く吸収したり、
凸凹した形になったりします。
その結果、
- 深い歯周ポケット
- 歯ブラシが届きにくい形態
- 細菌が残りやすい環境
が生まれてしまいます。
骨外科とは、
この不規則になった骨の形を整え、清掃しやすい環境を作る治療です。
論文でも、骨外科の目的は単なるポケット除去ではなく、
長期間にわたり浅い歯周ポケットを維持し、歯の支持組織をできるだけ保存すること
であると述べられています。
骨欠損には3つのタイプがあります
Ochsenbeinは、
歯と歯の間にできる骨欠損(クレーター)を深さによって3種類に分類しています。
- 浅いクレーター(1〜2mm)
- 中等度クレーター(3〜4mm)
- 深いクレーター(5mm以上)

骨欠損が深くなるほど、
治療方法も難しくなります。
そのため、
骨外科では
「どの程度の骨欠損なのか」
を正確に評価することが重要になります。

骨をどこまで整えるかは歯の形で変わります
奥歯には、
根分岐部(根っこが分かれる部分)
があります。
その根分岐部までの距離を
ルートトランク
と呼びます。
論文では、
ルートトランクを
- 短い
- 標準
- 長い
の3種類に分類しています。
ルートトランクが短い歯では、
少し骨を削るだけでも根分岐部が露出してしまう可能性があります。
逆に、
ルートトランクが長い歯では、
比較的安全に骨整形を行える場合があります。
つまり、
同じ骨欠損でも全員同じ治療ではありません。
歯の解剖学的な形態まで考慮して治療方法を決める必要があります。

レントゲンだけでは分からないことがあります
「レントゲンを撮ったから骨の状態は全部分かる」
と思われる方も多いですが、
実際にはそうではありません。
この論文では、
浅い骨欠損では
頬側と舌側の骨が重なって写るため、
実際より軽く見えることがある
と説明されています。
つまり、
レントゲンだけでは
骨欠損の深さや形態を完全には評価できません。
そのため、
歯周ポケット検査やCT、術中の直接確認などを組み合わせて診断することが重要になります。

骨は「必要最小限」しか削りません
患者さんが最も心配されるのが、
「骨をたくさん削られるのでは?」
ということです。
しかし、
骨外科では、
必要以上に骨を削ることは推奨されていません。
論文でも、
過度な骨削除は
- 健康な支持骨の喪失
- 不自然な骨形態
- 歯ぐきの退縮
につながるため避けるべきとされています。
つまり、
悪い部分だけを見て削るのではなく、長期的な歯の保存を考えながら最小限の骨整形を行う
という考え方です。
骨外科が必要になるケース
すべての歯周病で骨外科が必要になるわけではありません。
一般的には、
- 歯周基本治療で改善しない
- 深い歯周ポケットが残る
- 骨の形態異常がある
- 清掃しにくい骨欠損がある
このような場合に検討されます。
まずは歯石除去やブラッシング指導などの基本治療を行い、
改善が不十分な場合に外科治療を検討します。

当院の歯周外科治療
西長住まつなが歯科では、
日本歯周病学会認定医として、
歯周病の進行度だけでなく、
- 骨欠損の形態
- 歯の位置
- 根分岐部の状態
- レントゲンやCT画像
- 将来的な清掃性
まで考慮し、
患者さん一人ひとりに合わせた治療計画をご提案しています。
必要以上に骨を削ることはなく、
できるだけ歯を長持ちさせることを第一に考えた歯周外科治療を心がけています。
まとめ
歯周外科で骨を削る目的は、
骨を減らすことではありません。
長く歯を残すために、清掃しやすく健康を維持しやすい骨の形を作ることが目的です。
骨欠損の形態や歯の解剖学的特徴によって治療方法は異なるため、
十分な診査・診断が重要になります。
歯周病が気になる方や、
「歯周外科が必要と言われたけれど不安」
という方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
Ochsenbein C. A Primer for Osseous Surgery. Int J Periodontics Restorative Dent. 1986.


