こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
「西長住まつなが歯科」院長の松永紘明です。
「白い被せ物を入れたのに外れてしまった…」
このような経験をされた方はいらっしゃいませんか?
患者さんからは、
「材料が悪かったのでしょうか?」
というご質問をいただくことがあります。
もちろん、使用する材料にもそれぞれ特徴がありますが、実は被せ物が長持ちするかどうかは、材料だけで決まるわけではありません。
今回は、CAD/CAM冠を対象とした研究をもとに、長持ちさせるために重要な『接着処理』**についてご紹介します。
「見えない工程」が治療の寿命を左右する
歯科治療では、患者さんから見えないところで多くの処置が行われています。
例えば被せ物を装着する前には、
- 被せ物の内面をきれいにする
- 接着しやすい状態をつくる
- 専用の接着材を使用する
など、いくつもの工程があります。
患者さんからは見えませんが、このような処置が被せ物の寿命に大きく関わることが分かっています。
研究で分かったこと
福岡歯科大学の研究では、小臼歯のCAD/CAM冠125本を最大6年間追跡しました。
その結果、
学会が推奨する接着処理をすべて行ったグループでは、
6年後の成功率は92.7%
でした。
一方、
接着処理の一部を省略したグループでは、
79.5%
まで低下していました。
つまり、
接着処理を丁寧に行うことで、長期間安定して使用できる可能性が高くなる
ことが示されたのです。

接着処理とは?
今回の研究で行われていた主な工程は、
- アルミナサンドブラスト
- リン酸処理
- シラン処理
- 接着性レジンセメントによる装着
です。
それぞれ役割が異なり、
被せ物と歯をしっかり接着させるための大切な準備になります。
患者さんからは見えない部分ですが、このひと手間が長期的な安定につながります。

外れるとしたら、いつが多い?
研究では、脱離したCAD/CAM冠の半数以上が装着後6か月以内に起こっていました。
そのため、
装着後に
- 少し浮く感じがする
- 噛んだ時に違和感がある
- グラつく気がする
といった症状があれば、早めの受診をおすすめします。

大切なのは「材料選び」と「治療の質」
今回の研究はCAD/CAM冠を対象としていましたが、
この考え方はセラミックやジルコニアなどの自費診療にも共通しています。
どんなに優れた材料でも、
- 適切な診査
- 精密な形成
- 正しい接着操作
- 噛み合わせの調整
- 定期的なメンテナンス
が伴わなければ、本来の性能を十分に発揮することはできません。
逆に、これらを丁寧に行うことで、被せ物をより長く快適に使用できる可能性が高まります。
西長住まつなが歯科で大切にしていること
当院では、被せ物の治療を行う際には、「どの材料を使うか」だけではなく、「その材料の性能を最大限に引き出す治療」を大切にしています。
保険診療のCAD/CAM冠、自費診療のセラミックやジルコニアなど、それぞれに適した症例があります。
患者さんのお口の状態や噛み合わせ、歯ぎしり・食いしばりの有無などを総合的に診査し、一人ひとりに適した治療方法をご提案しています。
まとめ
今回の研究では、CAD/CAM冠の長期的な予後は、材料そのものよりも、適切な接着処理を行うことが重要であることが示されました。
歯科治療には、患者さんからは見えない工程がたくさんあります。
そうした一つひとつの処置を丁寧に積み重ねることが、被せ物を長持ちさせ、再治療のリスクを減らすことにつながります。
西長住まつなが歯科では、見えない部分にもこだわり、長く安心して使っていただける治療を心がけています。
被せ物について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
髙江洲 雄, 谷口祐介, 平川智裕, 他. レジンブロックを用いた小臼歯CAD/CAM冠の予後に関する6年間の後ろ向き研究. 日本補綴歯科学会誌. 2021;13:230-236.


