こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。
「細いインプラントは折れやすいのでは?」
このような疑問を持たれる方もいらっしゃいます。
実際、インプラントは細くなるほど強度が心配されることがあります。
今回は、2024年にClinical Oral Implants Researchに掲載された長期研究をもとに、3.3mmのナローインプラント(細いインプラント)の破折率や注意点についてご紹介します。
ナローインプラントとは?
ナローインプラントとは、
通常より細い直径のインプラントです。
骨の幅が十分でない部位や、歯と歯の間が狭い部位などで使用されることがあります。
適切な症例では、骨造成を行わずに治療できる可能性があり、患者さんの負担を軽減できる場合があります。
この研究では何を調べたの?
この研究では、
1997年から2015年までに治療を受けた524名・1750本のナローインプラントを調査し、追跡不能例などを除いた440名・1428本について解析が行われました。
平均追跡期間は129か月(約10.8年)、最長では約21年間という非常に長期間の経過が調べられています。

インプラントはどれくらい折れた?
調査対象となった1428本のナローインプラントのうち、
破折したのは15本(1.05%)でした。
患者単位では440人中9人(2.04%)に破折が認められています。
つまり、
ナローインプラントの破折は比較的まれな合併症だったという結果でした。

どんな人で破折がみられた?
この研究では、
破折した15本のうち10本は、
歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)の徴候がみられた患者さんで認められました。
ただし、
ブラキシズムは治療前に全例で評価されていたわけではないため、統計解析で正式な危険因子として証明されたわけではありません。
著者らは、
繰り返し強い力が加わることは、破折に関係する可能性がある
と考察しています。

破折しにくかった条件は?
今回の解析では、
インプラント表面がSLActive®のものは、
SLA®表面と比較して破折リスクが低いという結果でした。
一方で、
- 性別
- 上あご・下あご
- 前歯・奥歯
- インプラント材料
- 単独かブリッジか
などについては、有意な差は認められませんでした。
なお、この結果は本研究で対象となった特定のインプラントシステムにおける結果であり、すべてのインプラントに当てはまるとは限りません。

著者らの結論
著者らは、
3.3mmナローインプラントの破折はまれであり、適切な症例では安全で予知性の高い治療法の一つである
と結論づけています。
一方で、
破折は一つの原因ではなく、
- 患者さんの状態
- 噛む力
- インプラントの特徴
など、複数の要因が関係する可能性があるため、
症例選択や長期的なメンテナンスが重要であると述べています。
まとめ
「細いインプラントは折れやすい」というイメージを持たれることがありますが、今回の長期研究では**破折率は1.05%**と低い結果でした。
もちろん、すべての患者さんにナローインプラントが適しているわけではありません。
骨の状態や噛み合わせ、歯ぎしりの有無などを総合的に評価し、それぞれの患者さんに合った治療法を選択することが大切です。
当院でも、CTによる診査や噛み合わせの評価を行い、一人ひとりに適したインプラント治療をご提案しています。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
Lustosa RM, et al. Fracture rate and risk factors associated with the fracture of narrow diameter implants: A long-term retrospective analysis. Clinical Oral Implants Research. 2024;35:1467-1474.


