こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。
歯周病の検査で、歯に赤い染め出し液を塗り、
「PCRは○○%ですね」
と言われたことはありませんか?
PCR(Plaque Control Record)は、現在でも世界中で広く用いられているプラーク(歯垢)の評価方法です。
今回は、このPCRがどのような目的で考案され、どのように活用されているのかを、1972年にO’Learyらが報告した論文をもとにご紹介します。
従来の評価法の問題点
論文では、当時すでに口腔清掃状態を評価するさまざまな方法が存在していましたが、それらは主に研究や集団の評価を目的としており、個々の患者さんへのブラッシング指導には十分ではないと述べられています。
歯科医師や歯科衛生士が知りたいのは、
「口の中全体の点数」
ではなく、
「どの歯のどの部分にプラークが残っているのか」
という情報です。
そこで考案されたのが、Plaque Control Record(PCR)です。
PCRはどのように評価するのでしょうか?
PCRでは、染め出し液を使用してプラークを染色したあと、
1本の歯を
- 頬側
- 舌側
- 近心
- 遠心
の4つの面に分け、それぞれの歯面にプラークが存在するかどうかを記録します。
この方法では、プラークの量は評価せず、「ある・ない」のみを記録します。
論文では、量まで評価すると判定に時間がかかる一方で、臨床的な有用性はあまり高まらないため、このシンプルな方法が採用されたと説明されています。

PCRはどのように計算するの?
PCRは、
プラークが付着している歯面数 ÷ 全歯面数 ×100
で計算します。
例えば、
- 全歯面数:112面(28本×4面)
- プラークが付着していた歯面:22面
だった場合、
PCRは約20%となります。
この数値によって、お口全体のプラークコントロールの状態を客観的に評価できます。
PCRを繰り返し測定する理由
論文では、PCRは一度だけ測定するものではなく、毎回記録することで患者さんの変化を確認することが重要とされています。
患者さん自身が結果を確認できるため、
- 磨き残しが多い場所
- 改善できた場所
が分かり、ブラッシングへのモチベーション向上にもつながると述べられています。
また、ブラッシングが苦手な部位があれば、その部位に合わせて別の清掃方法を指導することも提案されています。

論文ではPCR10%以下を目標としていました
O’Learyらは、
PCRがおよそ10%以下になることを目標とし、そのレベルに達してから歯周外科治療を開始することを推奨しています。
また、3~4回指導しても十分なプラークコントロールが得られない場合には、治療計画を見直すことも必要であると述べています。
このことからも、歯周病治療において毎日のセルフケアが重要視されていたことが分かります。
当院でもPCRを活用しています
当院でも、歯周病治療やメインテナンスの際にはPCRを参考にしながら、お口の状態を確認しています。
PCRは単なる点数ではなく、
「どこに磨き残しがあるのか」
を患者さんと一緒に確認できる、とても有用な指標です。
磨き残しを把握し、ご自身に合ったセルフケアを身につけることで、歯周病やむし歯の予防につながります。
まとめ
1972年に報告されたO’LearyのPCRは、現在でも世界中で広く使用されているプラーク評価法です。
シンプルな方法でありながら、患者さんごとの磨き残しを把握し、ブラッシング指導や治療経過の評価に役立つことから、50年以上経った現在でも臨床で活用されています。
当院でも、患者さん一人ひとりのお口の状態に合わせたブラッシング指導を行い、長く健康なお口を維持できるようサポートしています。
歯周病や歯磨きについて気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
O’Leary TJ, Drake RB, Naylor JE. The Plaque Control Record. Journal of Periodontology. 1972;43(1):38.


