こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。
「歯周病は歯ぐきの病気だから、痛くなければ大丈夫」
そう思われている方は少なくありません。
しかし近年の研究では、歯周病はお口の中だけではなく、全身の健康にも影響を与える可能性がある病気として考えられています。
今回は、2015年にNature Reviews Immunologyに掲載されたレビュー論文をもとに、歯周病と全身の健康との関係についてご紹介します。
歯周病は細菌だけが原因ではありません
以前は、
「歯周病菌が歯ぐきを壊す病気」
と考えられていました。
しかし現在では、
歯周病は細菌のバランスが崩れ、免疫反応も乱れることで進行する病気
という考え方が主流になっています。
つまり、
- 悪い細菌が増える
- 体の免疫が過剰に反応する
- 炎症が続く
- 歯を支える骨が少しずつ失われる
という流れで進行します。

「ディスバイオシス」とは?
この論文で特に重要なのが
ディスバイオシス(Dysbiosis)
という考え方です。
これは、
細菌の種類やバランスが崩れた状態
を意味します。
健康なお口の中にはたくさんの細菌が住んでいますが、
そのほとんどは悪い細菌ではありません。
ところが、
- プラークが増える
- 歯磨き不足
- 喫煙
- 糖尿病
- 歯周ポケットが深くなる
などがきっかけで細菌のバランスが崩れると、歯周病が進みやすくなることが分かっています。

歯周病菌は免疫をだます?
通常、細菌が侵入すると免疫が細菌を排除します。
ところが歯周病菌の中には、
免疫をうまくコントロールしながら生き残る能力
を持つものがあります。
その結果、
細菌は完全には排除されず、
炎症だけが長期間続いてしまいます。
この慢性的な炎症によって、
歯を支える骨が少しずつ失われていくと考えられています。

歯周病は全身にも影響する可能性があります
歯周病では、
歯ぐきの炎症部分から
- 細菌
- 炎症性物質
が血液中へ入り込むことがあります。
そのため、
歯周病は次のような病気との関連が報告されています。
- 動脈硬化・心血管疾患
- 誤嚥性肺炎
- 妊娠中の合併症
- 関節リウマチ
- 一部のがんとの関連
ただし、この論文で紹介されているのは「関連性を示す研究や考えられる仕組み」であり、歯周病がこれらの病気の直接的な原因であると証明されたわけではありません。

毎日のケアが最も大切です
歯周病は初期にはほとんど痛みがありません。
だからこそ、
毎日のセルフケアと定期的な歯科検診がとても重要です。
歯石除去やクリーニングだけでなく、
歯周病の原因となる細菌のバランスを整え、
炎症をコントロールすることが歯周病治療の目的になります。
まとめ
近年の研究では、歯周病は単なる「細菌感染」ではなく、
細菌と免疫のバランスが崩れることで起こる慢性炎症性疾患
であることが分かってきました。
歯ぐきの健康は、お口だけでなく全身の健康にも関わる可能性があります。
当院では、歯周病の進行度をしっかり検査したうえで、一人ひとりに合わせた治療と予防をご提案しています。
気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
Hajishengallis G. Periodontitis: from microbial immune subversion to systemic inflammation. Nature Reviews Immunology. 2015;15(1):30-44.


