こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。
「歯ぎしりや食いしばりをしていると、歯周病が悪化しますか?」
このような質問を受けることがあります。
歯ぎしりや食いしばりは歯に強い力がかかるため、「歯周病にも悪い影響があるのでは?」と考える方は少なくありません。
今回は、2020年にJournal of Periodontologyに掲載された研究をもとに、歯ぎしりと歯周病の関係についてご紹介します。
歯ぎしりは歯周病の原因なのでしょうか?
これまで、
- 強い噛む力
- 食いしばり
- 歯ぎしり
が歯周組織に負担を与えることは知られていました。
しかし、
「歯ぎしりだけで歯周病になる」
ということについては十分な科学的根拠がありませんでした。
そこで今回の研究では、
自己申告による歯ぎしり・食いしばり(Self-reported bruxism)と歯周病との関係
を調査しています。
どんな研究?
ポルトガルで行われた横断研究で、
1,064人を対象に調査されました。
参加者には
- 夜間の歯ぎしり
- 夜間の食いしばり
- 日中の食いしばり
- 日中の歯ぎしり
についてアンケートを行い、
さらに歯周病検査として
- 歯周ポケット(PD)
- 歯ぐきの下がり具合(REC)
- 歯を支える組織の喪失量(CAL)
- 歯ぐきからの出血(BoP)
などを測定しました。

意外な結果が出ました
研究の結果、
自己申告で歯ぎしり・食いしばりがある人の方が、歯周病の割合は低いという結果になりました。
さらに、
歯周病だった人同士を比較しても、
歯ぎしりがある人では
- 歯周ポケットが浅い
- 歯を支える組織の喪失量(CAL)が少ない
- 歯ぐきの退縮量が少ない
という傾向がみられました。

歯周病リスクは約58%低いという結果
年齢や喫煙、糖尿病など歯周病に影響する因子を調整した解析では、
歯ぎしり・食いしばりがある人の歯周病リスクは
オッズ比0.42
となりました。
これは統計学的には
約58%低いリスク
という結果になります。
「歯ぎしりは歯周病を予防する」という意味ではありません
ここは非常に大切なポイントです。
今回の研究は横断研究です。
つまり、
「現在の状態を比較した研究」であり、
歯ぎしりが歯周病を防ぐことを証明した研究ではありません。
また、
歯ぎしりは自己申告で判定されており、
睡眠検査などによる確定診断ではありません。
そのため論文でも、
今後さらに詳しい研究が必要
と結論付けています。

歯ぎしりによる影響は別にあります
今回の研究では歯周病との関連について調べられていますが、
歯ぎしりや食いしばりによって
- 歯がすり減る
- 詰め物・被せ物が欠ける
- 歯にヒビが入る
- 顎関節や筋肉に負担がかかる
などの問題が起こることはよく知られています。
そのため、
歯ぎしりが疑われる場合には、必要に応じてナイトガード(マウスピース)などの治療を検討することがあります。
まとめ
今回の研究では、
自己申告による歯ぎしり・食いしばりがある人では、歯周病の割合が低いという意外な結果が報告されました。
しかし、
これは「歯ぎしりをすると歯周病になりにくい」という意味ではありません。
歯周病は、
- プラーク(歯垢)
- 喫煙
- 糖尿病
- セルフケアの状況
など、多くの要因が関係する病気です。
歯ぎしりの有無だけで判断することはできません。
当院では歯周病の状態だけでなく、咬み合わせや食いしばりの癖も含めて総合的に診査・診断し、一人ひとりに合った治療をご提案しています。
お口のことで気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
Botelho J, Machado V, Proença L, et al. Relationship between self-reported bruxism and periodontal status: Findings from a cross-sectional study. Journal of Periodontology. 2020;91:1049-1056.


