こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。
歯周病が進行すると、「歯ぐきが下がる」「歯がぐらつく」といった症状が現れます。
その中でも、特に治療が難しくなる状態の一つが 根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)です。
今回は、1984年にTarnowらが発表した論文をもとに、現在でも歯周病治療で広く用いられているTarnow分類についてご紹介します。
根分岐部病変とは?
奥歯には2本または3本の根があります。
その根が分かれている部分を**根分岐部(Furcation)**といいます。
歯周病が進行すると、この根分岐部まで骨が失われてしまうことがあり、これを根分岐部病変と呼びます。
根分岐部病変になると、
- 歯ブラシが届きにくい
- 歯石が残りやすい
- 炎症を繰り返しやすい
- 歯を残すことが難しくなる
などの問題が起こります。
従来の分類には問題がありました
これまで根分岐部病変は、
「どれだけ横方向にプローブが入るか」
によって分類されていました。
有名なのがGlickman分類です。
しかし、この方法では横方向しか評価しておらず、骨がどれくらい深く失われているかは分かりませんでした。
Tarnowらが提案した新しい評価法
1984年、Tarnowらは
「縦方向の骨吸収も評価すべきではないか」
という新しい考え方を提案しました。
評価する場所は、
根分岐部の天井(Roof of the Furcation)から骨がどこまで失われているか
です。
つまり、
骨がどれだけ深く失われているか
を測定します。
Tarnow分類
縦方向の骨吸収は次の3段階に分類されます。
| 分類 | 骨吸収の深さ |
|---|---|
| A | 1〜3mm |
| B | 4〜6mm |
| C | 7mm以上 |
そして、
従来のGlickman分類と組み合わせて、
- Grade IIA
- Grade IIB
- Grade IIC
というように表現します。

同じGrade IIでも予後は違う?
例えば、
Grade IIA
と
Grade IIC
は、どちらも横方向ではGrade IIです。
しかし、
Grade IIAでは縦方向の骨吸収が浅く、
Grade IICでは骨吸収がかなり深く進行しています。
つまり、
横方向は同じでも、残っている骨の量は大きく異なるのです。
論文では、この違いが歯の保存や予後を考えるうえで非常に重要であると述べられています。

歯を残せるかどうかの判断にも役立つ
論文では、
第一大臼歯の根の長さは平均13〜14mm程度であり、根分岐部までの距離は約4mmであるため、根分岐部病変が進行すると残る歯槽骨の量は意外と少なくなると説明されています。
そのため、
横方向だけではなく、
縦方向にどれだけ骨が残っているか
を確認することが、歯を保存できる可能性を判断するうえで重要になります。
現在でも広く使われている分類
この論文で提案されたTarnow分類は、
- より客観的に骨吸収の程度を評価できる
- 歯科医師同士で情報共有しやすい
- 治療方法や予後の判断に役立つ
という理由から、現在でも根分岐部病変の評価に広く利用されています。
まとめ
根分岐部病変では、
「どれくらい横に広がっているか」だけではなく、
「どれくらい深く骨が失われているか」
を評価することが非常に重要です。
歯周病は、見た目だけでは進行具合が分からないことも少なくありません。
当院では、歯周病検査に加え、必要に応じてレントゲンやCTなども活用しながら、お口の状態を詳しく診査し、できるだけ歯を長く残せるような治療をご提案しています。
歯ぐきから血が出る、奥歯が磨きにくい、歯がぐらつくなど気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
Tarnow D, Fletcher P. Classification of the Vertical Component of Furcation Involvement. Journal of Periodontology. 1984;55(5):283-284.


