こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。
歯科医院でレントゲンを撮影した際、
「レントゲンでは特に問題ありませんね」
と言われたことはありませんか?
すると、
「歯石もないということですか?」
と思われる方もいらっしゃいます。
実は、レントゲンに写らない歯石も少なくありません。
今回は、この疑問について調べた研究をご紹介します。
歯石は歯周病の原因の一つ
歯石そのものが歯ぐきを直接壊すわけではありません。
しかし、歯石の表面はデコボコしているため、細菌(プラーク)が付着しやすくなります。
その結果、
- 歯ぐきの炎症
- 歯周ポケットの悪化
- 歯を支える骨の吸収
などにつながるため、歯周病治療では歯石の除去がとても重要です。
レントゲンなら歯石は全部見える?
答えは
「いいえ」です。
この研究では、重度歯周病で抜歯予定となった18名の患者さんの275か所の歯の隣接面を調査しました。
まず抜歯前にレントゲンを撮影し、その後、抜歯した歯を顕微鏡で詳しく観察して、本当に歯石が付着しているかを確認しています。

この方法により、レントゲン診断と実際の歯石の有無を正確に比較することができました。
驚きの結果
研究結果は意外なものでした。
実際に歯石があった場所のうち、レントゲンで確認できたのは約44%だけでした。
つまり、
半分以上(約56%)の歯石はレントゲンでは確認できなかった
ということになります。
一方で、
歯石がない場所を「歯石あり」と間違える割合は約7.5%と少なく、
レントゲンで歯石が写っている場合は、本当に歯石が存在する可能性は高い
ことも分かりました。

なぜ見えないのでしょうか?
研究では、
- 歯石が厚い
- 歯石が広い範囲についている
場合ほど、レントゲンで見つけやすいことが分かりました。
反対に、
- 小さい歯石
- 薄い歯石
はレントゲンでは写らないことが多くありました。
また、
歯周ポケットの深さや歯を支える骨の減り具合は、歯石の見つけやすさには大きく影響しませんでした。

だから歯科医院ではレントゲンだけでは診断しません
歯科医院では、
レントゲンだけを見て歯周病を診断しているわけではありません。
実際には、
- 視診(目で確認)
- 歯周ポケット検査
- 歯石を触って確認する検査
- レントゲン検査
これらを組み合わせて総合的に診断しています。
そのため、
「レントゲンでは問題ないですね」
と言われても、歯石取りが必要になることは珍しくありません。
今回の研究から分かったこと
この研究では、
レントゲンだけでは歯石の半分以上を見逃す可能性がある
ことが示されました。
そのため、歯周病の診断ではレントゲンだけに頼らず、実際のお口の状態を詳しく診査することが大切です。
「レントゲンで異常がないから安心」と自己判断せず、定期的な検診を受けることで、歯周病の早期発見・早期治療につながります。
当院でも、患者さん一人ひとりのお口の状態を丁寧に確認し、レントゲンだけでは分からない部分までしっかり診査したうえで治療をご提案しています。
参考文献
Buchanan SA, Jenderseck RS, Granet MA, Kircos LT, Chambers DW, Robertson PB. Radiographic Detection of Dental Calculus. Journal of Periodontology. 1987;58(11):747-751.


