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セラミックや詰め物は「乾燥」が重要|接着力を高める最新研究

こんにちは。

福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。

「以前入れた詰め物や被せ物が取れてしまった…」

このような経験はありませんか?

「接着剤が弱かったのかな?」

と思われる方も多いですが、実は接着の成功には材料だけでなく、治療中の環境や操作が大きく関係しています。

今回は、接着に関する研究をもとに、「長持ちする被せ物や詰め物に欠かせないポイント」をご紹介します。


接着治療は意外と難しい

歯科用接着剤は年々進歩しています。

しかし、どんなに性能の良い材料でも、口の中は接着にとって非常に厳しい環境です。

1987年の研究では、

  • 口の中の温度は30℃以上
  • 湿度は80〜90%以上
  • 奥歯ほど高温・高湿

であることが報告されています。さらに、高温・高湿になるほど接着力が低下することも示されました。

そのため、接着治療では唾液や湿気をできるだけ排除することが非常に重要です。


接着力を高めるために大切なのは「乾燥」

同じ研究では、酸処理後の歯の表面を十分に乾燥させることが接着力を大きく左右すると報告されています。

特に、

エアーで15秒程度しっかり乾燥させること

が重要であり、

アルコールを使った乾燥では大きな効果は得られませんでした。

つまり、

「接着剤を付ければ終わり」

ではなく、

接着する前の準備が成功のカギになります。


実は、材料ごとに接着方法は違います

現在では、

  • ガラスセラミック
  • ジルコニア
  • 金属

では、それぞれ適した接着方法が異なることが分かっています。

例えば、

ガラスセラミック(e.maxなど)

表面をフッ化水素酸で処理し、

さらにシラン処理を行うことで強固に接着できます。

ジルコニア

ジルコニアにはフッ化水素酸はほとんど効果がありません。

そのため、

  • サンドブラスト
  • MDPプライマー
  • レジンセメント

という別の方法が推奨されています。

金属

金属にも専用のプライマーを使用することで、長期間安定した接着が期待できます。

ガラスセラミック(e.max・ガラス系CAD/CAMなど)ジルコニア金属
代表的な材料e.max、長石系セラミックジルコニアクラウン金銀パラジウム合金、チタンなど
サンドブラスト△(軽く清掃目的)◎ 必須◎ 推奨
フッ化水素酸(HF)処理◎ 必須✕ 効果なし✕ 不要
シラン処理◎ 必須✕ 単独では効果なし✕ 不要
MDPプライマー△(通常不要)◎ 必須○(金属用プライマーを使用)
推奨セメントレジンセメントレジンセメントレジンセメントまたは症例に応じて合着材
接着のポイントガラス成分との化学結合酸化ジルコニウムとの化学結合金属専用プライマーで化学結合

世界的に推奨されている「APCコンセプト」

現在、ジルコニア接着で広く紹介されている方法が

APCコンセプト

です。

APCとは

A:Air-particle abrasion(サンドブラスト)

P:Primer(MDPプライマー)

C:Composite Resin Cement(レジンセメント)

という3つの工程を表しています。

この方法は20年以上の研究成果をもとに提唱され、多くの研究でも長期的な接着耐久性が期待できる方法として紹介されています。



当院でも接着操作を大切にしています

セラミック治療や詰め物・被せ物は、

「どの材料を選ぶか」

だけでなく、

その材料に適した接着方法を正確に行うこと

が長持ちさせるためには欠かせません。

当院では、

  • 必要に応じた防湿
  • 丁寧な乾燥操作
  • 材料ごとに適切な表面処理
  • 接着手順を遵守した治療

を大切にしています。

一つひとつの工程を丁寧に行うことが、治療後のトラブルを減らし、長く快適に使っていただくためにつながると考えています。


まとめ

接着治療は「接着剤を付けるだけ」の治療ではありません。

✔ 接着前に十分乾燥すること

✔ 唾液をしっかり防ぐこと

✔ 材料ごとに適切な前処理を行うこと

これらを正しく行うことで、セラミックや詰め物・被せ物をより長持ちさせることが期待できます。

当院では、最新の知見に基づき、一つひとつの工程を大切にしながら、長期的な予後を見据えた治療を心がけています。


参考文献

  1. 永木孝典, 赤瀬公計, 矢谷博文, 山下敦. 環境湿度・温度および被着歯面乾燥方法の違いが歯科接着性レジン(パナビアEX)の接着強さに及ぼす影響. 補綴誌. 1987.
  2. 小峰太, 松村英雄. 歯冠修復物と固定性補綴装置の接着と合着. 日補綴会誌. 2012.
  3. Blatz MB, Alvarez M, Sawyer K, Brindis M. How to Bond Zirconia: The APC Concept. Compendium. 2016

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