こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。
インプラント治療では、
「骨が足りないので骨造成が必要です」
と言われることがあります。
特にインプラントを埋入したとき、頬側(ほほ側)の骨が不足してインプラントの表面が露出してしまう状態(骨裂開:Peri-implant Buccal Bone Dehiscence:PIBD)では、適切な骨造成を行うことが長期的な安定につながると考えられています。
今回は、2025年にClinical Oral Implants Researchに掲載された研究をもとに、新しい骨造成法であるSPAL法についてご紹介します。
インプラントを入れると骨が足りないことがあります
インプラントは骨の中心に正しい位置で埋入することが重要です。
しかし、骨幅が不足している部位では、
インプラントを適切な位置へ埋入すると、
頬側の骨が欠損してしまうことがあります。
この状態を放置すると、
長期的な骨の吸収やインプラント周囲炎のリスクにつながる可能性があるため、
骨造成が推奨されています。

SPAL法とは?
SPAL(Sub-periosteal Peri-implant Augmented Layer)法は、
患者さん自身の骨膜を利用して骨補填材を安定させる骨造成法です。
通常のGBRではコラーゲンメンブレンを使用することが多いですが、
SPAL法では骨膜を利用して骨補填材を保持するため、
骨補填材の安定性を高めることが期待されています。

この研究では何を調べたの?
研究では39名39本のインプラントを対象に、
次の3つのグループが比較されました。
- SPAL+顆粒状DBBM(14本)
- SPAL+ブロック状DBBM(14本)
- 頬側骨が2mm以上あるコントロール群(11本)
6か月後(コントロール群は3か月後)に再度手術を行い、
骨裂開がどの程度改善したかを評価しました。

骨裂開はどれくらい改善した?
再手術時には、
- SPAL顆粒群:100%(14/14)
- SPALブロック群:93%(13/14)
- コントロール群:82%(9/11)
で、頬側骨裂開が認められませんでした。
つまり、
SPAL法では非常に高い割合で骨裂開を改善できた
という結果でした。

ブロックと顆粒では違いはあった?
今回の研究では、
骨裂開の改善率には大きな差はありませんでした。
一方で、
ブロック状DBBMを使用したグループでは、
頬側の軟組織(歯ぐき)の厚みが、
顆粒状DBBMより有意に厚くなっていました。
ただし、
ブロック群では1例で感染が起こり、骨補填材を除去する必要がありました。
著者らの考察
著者らは、
SPAL法は顆粒状・ブロック状どちらのDBBMでも、
頬側骨裂開を改善する有効な方法である
と考察しています。
一方で、
ブロック状DBBMは軟組織を厚くできる可能性があるものの、
感染リスクや症例数の少なさも踏まえ、
今後さらに検討が必要としています。
まとめ
今回の研究では、
SPAL法を用いた骨造成により、
多くの症例でインプラント周囲の頬側骨裂開を改善できることが示されました。
また、
顆粒状DBBMとブロック状DBBMのどちらも良好な結果が得られましたが、
それぞれに特徴があり、
患者さんの骨の状態や欠損の大きさに応じて適切な材料を選択することが重要です。
当院では、CTによる診査を行い、骨の状態を詳しく評価したうえで、一人ひとりに適したインプラント治療・骨造成をご提案しています。
インプラント治療や骨造成について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
Severi M, et al. Correction of Peri-Implant Buccal Bone Dehiscence Following Sub-Periosteal Peri-Implant Augmented Layer Technique With Either Block or Particulate Xenograft: A Retrospective Study. Clinical Oral Implants Research. 2025;36:481–493.


