福岡市南区で歯科・歯医者をお探しの方は【西長住まつなが歯科】まで
〒811-1361
福岡県福岡市南区西長住3丁目12-11
アンピール長住Ⅱ 1階110 左号室
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 9:00~13:30 | ※ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ★ | / | / |
| 14:30~18:00 | ※ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | / | / | / |
※祝日のある週は月曜診療
休診日:月曜・日曜・祝日
新着情報
-
ブログ2026.08.09
【症例】詰め物が取れたら「詰め直すだけ」ではダメ?むし歯が見つかりジルコニアクラウンで治療した症例
こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
「西長住まつなが歯科」院長の松永紘明です。今回は、
「奥歯の詰め物が取れた」
ことをきっかけに来院され、診査したところ、詰め物の下にむし歯が認められた症例をご紹介します。
「詰め物が取れただけなら、もう一度つけたり、詰め直したりすればいいのでは?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実際には、詰め物が取れた歯を確認すると、その内部でむし歯が進行していたり、むし歯を取り除いた結果、残っている歯が少なくなったりすることがあります。
今回の症例では、むし歯を除去した後の残存歯質が少なかったため、部分的な詰め物ではなく、歯全体を覆うジルコニアクラウンで修復しました。
また今回は、装着時にクラウンと歯との境目が良好に適合していることが分かる写真も撮影できましたので、被せ物治療における「適合」についてもご紹介します。
「奥歯の詰め物が取れた」と来院されました
今回の患者さまは、
「奥歯の詰め物が取れた」
とのことで来院されました。
詰め物が外れた部分を確認したところ、内部にはむし歯(う蝕)が認められました。

詰め物や被せ物が外れる原因はひとつではありません。
接着部分の劣化や噛み合わせによる力など、さまざまな原因が考えられますが、詰め物の周囲や内部にむし歯ができている場合もあります。
そのため、
「取れた詰め物をそのまま戻せば終わり」
とは限りません。
まずは、詰め物が取れた原因や、その下の歯がどのような状態になっているのかを確認することが大切です。
むし歯を取り除くと、残っている歯が少ない状態でした
今回も、まずむし歯になっている部分を取り除いていきました。
すると、むし歯を除去した後は、健全な状態で残っている歯の量(残存歯質)が少ない状態になりました。
ここが今回の治療方法を決めるうえで重要なポイントです。
むし歯を取り除いた後にも十分な歯質が残っていれば、部分的な詰め物で修復できる場合があります。
一方で、残っている歯が少ない場合には、部分的な詰め物だけでは歯を十分に保護することが難しい場合があります。
なぜ今回はジルコニアクラウンにしたの?
今回の症例では、むし歯を取り除いた後の残存歯質が少なかったため、歯全体を覆うジルコニアクラウンで修復することにしました。
クラウンとは、残っている歯を全体的に覆う、いわゆる「被せ物」です。
今回のように歯質が少なくなっている場合には、
残っている歯を保護すること
そして、
噛む機能を回復すること
を考えながら修復方法を検討します。
もちろん、
「詰め物が取れたら必ずクラウンになる」
というわけではありません。
むし歯の大きさ、残っている歯の量、歯の状態、噛み合わせなどを確認し、それぞれの状態に合わせて治療方法を選択します。
奥歯に使用した「ジルコニア」とは?
ジルコニアは、歯科治療で使用されているセラミック材料のひとつです。
高い強度を持っているため、今回のような噛む力が加わりやすい奥歯の被せ物にも使用されています。
また、金属を使用せず白い被せ物を製作できるため、機能面だけでなく、周囲の歯との調和を考えた修復も可能です。
今回も、噛み合わせや周囲の歯とのバランスを確認しながら、自然な形態になるように仕上げました。

被せ物は「白さ」だけでなく「適合」も大切です
セラミック治療というと、
「白くてきれい」
「自然な歯に見える」といった見た目の違いに注目されることが多いと思います。
しかし、当院が被せ物治療で大切にしているのは、見た目だけではありません。
そのひとつが、
「被せ物と歯がどのように適合しているか」
です。
被せ物には、削った歯と人工物との境目(マージン)があります。
この部分に大きな段差や隙間があると、プラークが停滞しやすくなるなど、その後の管理にも影響する可能性があります。
そのため当院では、被せ物を製作する際には見た目や噛み合わせだけでなく、歯と被せ物の境目ができるだけ滑らかにつながるよう、適合状態も確認しています。
今回のジルコニアクラウンの適合を拡大してみると
今回の症例では、ジルコニアクラウンを装着する際に、歯とクラウンの境目がよく分かる写真を撮影することができました。

写真を拡大してみると、
ジルコニアクラウンと歯との境目がきれいにつながり、良好に適合していることが確認できます。
患者さんからすると、被せ物の適合状態は、普段鏡を見てもなかなか分かりにくい部分です。
しかし、こうした見えにくい部分まで丁寧に仕上げることも、被せ物治療では大切だと考えています。
保険の被せ物と自由診療では何が違うの?
「自由診療の被せ物の方が、保険の被せ物より適合がいいのですか?」
という疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。
ここは少し注意が必要です。
自由診療だから必ず適合が良く、保険診療だから適合が悪いというわけではありません。
被せ物の適合には、使用する材料だけでなく、
- 歯の削り方
- 型取りや口腔内スキャン
- 被せ物の設計・製作
- 技工
- 噛み合わせの調整
- 装着時の操作
など、さまざまな要素が関係します。
一方、自由診療では、使用する材料や製作方法などについて選択肢が広がります。
そのため当院では、自由診療の被せ物を選択された場合には、材料の特性を活かすだけでなく、形態や噛み合わせ、適合なども含めた補綴治療を行うことを大切にしています。
今回の症例でも、
「白いジルコニアを入れてきれいになった」
ということだけではなく、
歯とクラウンの境目まで確認し、良好な適合が得られていることを確認してから装着しています。
Before/After

Before
奥歯の詰め物が取れており、その内部にむし歯が認められました。
↓
むし歯を除去
むし歯になっている部分を取り除くと、残っている健全な歯質が少ない状態でした。
↓
After
残っている歯を保護し、噛む機能を回復するため、ジルコニアクラウンで歯全体を覆って修復しました。
さらに装着時には、クラウンと歯との境目の適合状態についても確認しています。
「詰め物が取れただけ」と放置しないことが大切です
詰め物が取れても痛みがなければ、
「急いで歯医者に行かなくても大丈夫かな?」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、詰め物が取れた部分は食べ物が入り込みやすくなったり、残っている歯が欠けたりする可能性があります。
そして今回の症例のように、詰め物の下にむし歯が存在している場合もあります。
むし歯は、ある程度進行するまで強い痛みが出ないこともあります。
そのため、
「痛くない=問題がない」
とは限りません。
詰め物や被せ物が取れた場合には、そのままにせず、できるだけ早めに歯科医院で状態を確認することをおすすめします。
今回の治療について
治療内容:ジルコニアクラウン
費用:88,000円(税込)
※自由診療となります。
※治療結果や治療期間には個人差があります。
※ジルコニアクラウンは、強い衝撃や噛み合わせなどにより欠けたり破損したりする可能性があります。
まとめ
今回は、
「奥歯の詰め物が取れた」
ことをきっかけに受診され、内部にむし歯が見つかった症例をご紹介しました。
今回の治療の流れは、
詰め物が取れる
↓
内部にむし歯を確認
↓
むし歯を除去
↓
残存歯質が少ないことを確認
↓
ジルコニアクラウンで修復
↓
噛み合わせ・形態・適合を確認というものでした。
詰め物が取れたからといって、必ずしも元の詰め物を戻したり、同じ大きさの詰め物を作り直したりできるわけではありません。
むし歯をきちんと取り除いたうえで、どのくらい健全な歯が残っているのかを確認し、その状態に合わせた修復方法を選択することが大切です。
また、セラミック治療では「白くてきれい」という見た目だけでなく、噛み合わせや形態、そして歯と被せ物との適合も重要です。
西長住まつなが歯科では、治療後の見た目だけではなく、できるだけ長く良好な状態を維持できるよう、見えにくい部分にも配慮した治療を心がけています。
福岡市南区西長住・長住・長丘・樋井川・桧原周辺で、
「詰め物が取れた」
「被せ物が外れた」
「以前治療した歯が気になる」といった症状がございましたら、お気軽にご相談ください。
-
ブログ2026.08.07
インプラントの歯ぐきから出血…消毒薬を使うと治りやすい?最新研究から解説

こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
「西長住まつなが歯科」院長の松永紘明です。インプラントを入れたあと、
「インプラントの周りの歯ぐきから血が出る」
「歯ブラシをすると出血する」
「インプラントの周りが少し腫れている」といった症状がみられることがあります。
こうした症状の原因のひとつが、「インプラント周囲粘膜炎」です。
今回は2025年に『Clinical Oral Implants Research』に掲載されたランダム化プラセボ対照臨床試験をもとに、
インプラント周囲粘膜炎の治療にクロルヘキシジン(CHX)を併用すると、治療効果は高くなるのか?
についてご紹介します。
インプラント周囲粘膜炎とは?
インプラント周囲粘膜炎とは、インプラントの周囲の軟組織に起こる炎症です。
主な原因は、インプラント周囲に蓄積したバイオフィルム(細菌のかたまり)です。
特徴的なのが、検査の際の
BOP(Bleeding on Probing:プロービング時出血)
です。
細い器具でインプラント周囲の歯ぐきを検査したときに出血が認められます。
重要なのは、インプラント周囲粘膜炎の段階では、インプラント周囲炎とは異なり、初期の骨リモデリングを超えた骨吸収を伴わないということです。

治療で大切なのは「バイオフィルムの除去」
インプラント周囲粘膜炎の治療では、
インプラント周囲に付着したバイオフィルムを取り除くこと
が非常に重要です。
今回の論文でも、専門的な非外科的機械的清掃(NSPI)と、患者さん自身による適切な口腔清掃が治療の基本として説明されています。
しかし、ここでひとつ疑問があります。
「機械的に汚れを取るだけではなく、消毒薬も一緒に使った方が治りやすいのでは?」
という点です。
そこで今回の研究では、殺菌作用を持つ**クロルヘキシジン(CHX)を併用した場合の効果が調べられました。
56人を2つのグループに分けて比較
研究には、インプラント周囲粘膜炎と診断された56人が参加しました。
56人をランダムに、
① 機械的清掃+プラセボ群
28人
② 機械的清掃+クロルヘキシジン群
28人
に分けています。
研究はランダム化・二重盲検・プラセボ対照試験として行われ、6か月間追跡されました。
最終的には56人、85本のインプラントが解析され、追跡期間中のインプラント喪失や合併症はありませんでした。

どんな治療をしたの?
両グループとも、まず口腔清掃指導を受けました。
さらに専門的なクリーニングを行い、インプラント周囲粘膜炎の部位には、プラスチックチップを装着したソニックスケーラーによる機械的清掃が行われています。
そのうえでCHX群では、
- 1%CHXジェルによる舌清掃
- 0.12%CHXによる洗口
- インプラント周囲への0.12%CHX洗浄
- 0.12%CHX洗口液を1日2回、2週間使用
という処置が追加されました。
対照群では、見た目や味を合わせたプラセボが使用されています。
結果① どちらの治療でも炎症は改善した
まず重要なのが、
クロルヘキシジンを使用したグループだけが改善したわけではない
ということです。
6か月後には両グループで、
- BOP(プロービング時出血)
- PPD(プロービングデプス)
- プラーク関連指標
- 歯肉炎症関連指標
- 口腔内全体のプラーク・出血関連指標
などに有意な改善が認められました。
つまり、
インプラント周囲のバイオフィルムを機械的に除去し、口腔衛生状態を改善すること自体が重要
だと考えられます。
結果② CHXを併用すると出血の改善が大きかった
では、クロルヘキシジンを追加するとどうなったのでしょうか?
研究の主要評価項目であるBOPの6か月間の減少量は、
機械的清掃+プラセボ
→ 39.3%減少機械的清掃+CHX
→ 48.7%減少でした。
CHXを併用したグループの方が、BOPの減少が有意に大きいという結果でした。
また6か月時点のBOP中央値も、
プラセボ群:25.3%
に対して、
CHX群:19.1%
となっています。

CHXを使えばすべて解決するわけではない
ここは今回の研究を読むうえで非常に重要です。
結果だけを見ると、
「インプラント周囲粘膜炎にはCHXを使えばいい」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、そう単純ではありません。
今回の研究では、両グループとも機械的清掃によって臨床的・細菌学的な指標が改善しています。
CHXは、あくまで機械的清掃に追加して使用されたものです。
したがって今回の研究からは、
「消毒薬だけで治す」のではなく、まず原因となるバイオフィルムをしっかり取り除くことが治療の基本
と考えるのが適切です。
喫煙なども治療結果に影響する可能性
さらに今回の研究では、治療方法だけでなく、BOPの改善に影響する因子についても解析されています。
その結果、
- 喫煙
- 1日の喫煙本数
- 深いPPD
- 口腔内の出血・プラーク関連指標
- 歯周炎の既往
- Porphyromonas gingivalis
- Tannerella forsythia
などがBOPの改善に影響していました。
著者らは結論でも、これらの因子がBOPの改善に負の影響を及ぼしたとしています。
つまり、インプラント周囲粘膜炎の治療では、
歯科医院でインプラントだけを清掃すれば終わり、というわけではありません。
日頃のプラークコントロールや喫煙なども含めて考える必要があります。
インプラント周囲粘膜炎の段階で対応することが大切
インプラント治療が終わったあとも、
「もう人工の歯だから虫歯にならないし大丈夫」
というわけではありません。
インプラントそのものは虫歯にはなりませんが、その周囲には天然歯と同じようにバイオフィルムが付着します。
そして、インプラント周囲の歯ぐきに炎症が起こることがあります。
今回の研究からも、インプラント周囲粘膜炎に対して専門的な機械的清掃を行うことで、6か月後には両群とも複数の炎症・プラーク関連指標が改善したことが示されています。
そのため、
「インプラントの周りから血が出る」
「最近インプラントの周りが磨きにくい」
「インプラントを入れてからメンテナンスを受けていない」という方は、一度状態を確認することをおすすめします。
まとめ
今回の研究では、インプラント周囲粘膜炎に対する非外科的な機械的清掃+クロルヘキシジンの効果が検討されました。
結果として、機械的清掃のみでも炎症関連指標は改善しましたが、CHXを併用したグループではBOPの減少がより大きいという結果でした。
ただし、研究対象は56人で、追跡期間も6か月です。
著者ら自身も、今回の結果をより明確にするためには、より大規模な研究と長期間の追跡が必要としています。
そのため今回の研究からは、
「CHXを使えばインプラント周囲粘膜炎が治る」
と考えるのではなく、
「原因となるバイオフィルムを機械的に除去することを基本として、CHXの併用が追加的な効果を示す可能性がある」
と理解するのがよいでしょう。
西長住まつなが歯科では、インプラント治療後も長く安定した状態を維持できるよう、インプラント周囲の状態や磨き残しなどを確認しながらメンテナンスを行っています。
インプラントを入れた後も定期的に状態を確認し、問題が小さい段階で早期に対応することで、できるだけ長く良好な状態を維持できるよう努めてまいります。
参考文献
Isola G, Polizzi A, Santagati M, Alibrandi A, Iorio-Siciliano V, Ramaglia L.
Effect of Nonsurgical Mechanical Debridement With or Without Chlorhexidine Formulations in the Treatment of Peri-Implant Mucositis. A Randomized Placebo-Controlled Clinical Trial.
Clinical Oral Implants Research. 2025;36:566–577 -
ブログ2026.08.06
インプラントの骨が足りないときはどうする?2025年最新研究から分かった骨造成(SPAL法)の効果
こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。インプラント治療では、
「骨が足りないので骨造成が必要です」
と言われることがあります。
特にインプラントを埋入したとき、頬側(ほほ側)の骨が不足してインプラントの表面が露出してしまう状態(骨裂開:Peri-implant Buccal Bone Dehiscence:PIBD)では、適切な骨造成を行うことが長期的な安定につながると考えられています。
今回は、2025年にClinical Oral Implants Researchに掲載された研究をもとに、新しい骨造成法であるSPAL法についてご紹介します。
インプラントを入れると骨が足りないことがあります
インプラントは骨の中心に正しい位置で埋入することが重要です。
しかし、骨幅が不足している部位では、
インプラントを適切な位置へ埋入すると、
頬側の骨が欠損してしまうことがあります。
この状態を放置すると、
長期的な骨の吸収やインプラント周囲炎のリスクにつながる可能性があるため、
骨造成が推奨されています。

SPAL法とは?
SPAL(Sub-periosteal Peri-implant Augmented Layer)法は、
患者さん自身の骨膜を利用して骨補填材を安定させる骨造成法です。
通常のGBRではコラーゲンメンブレンを使用することが多いですが、
SPAL法では骨膜を利用して骨補填材を保持するため、
骨補填材の安定性を高めることが期待されています。

この研究では何を調べたの?
研究では39名39本のインプラントを対象に、
次の3つのグループが比較されました。
- SPAL+顆粒状DBBM(14本)
- SPAL+ブロック状DBBM(14本)
- 頬側骨が2mm以上あるコントロール群(11本)
6か月後(コントロール群は3か月後)に再度手術を行い、
骨裂開がどの程度改善したかを評価しました。

骨裂開はどれくらい改善した?
再手術時には、
- SPAL顆粒群:100%(14/14)
- SPALブロック群:93%(13/14)
- コントロール群:82%(9/11)
で、頬側骨裂開が認められませんでした。
つまり、
SPAL法では非常に高い割合で骨裂開を改善できた
という結果でした。

ブロックと顆粒では違いはあった?
今回の研究では、
骨裂開の改善率には大きな差はありませんでした。
一方で、
ブロック状DBBMを使用したグループでは、
頬側の軟組織(歯ぐき)の厚みが、
顆粒状DBBMより有意に厚くなっていました。
ただし、
ブロック群では1例で感染が起こり、骨補填材を除去する必要がありました。
著者らの考察
著者らは、
SPAL法は顆粒状・ブロック状どちらのDBBMでも、
頬側骨裂開を改善する有効な方法である
と考察しています。
一方で、
ブロック状DBBMは軟組織を厚くできる可能性があるものの、
感染リスクや症例数の少なさも踏まえ、
今後さらに検討が必要としています。
まとめ
今回の研究では、
SPAL法を用いた骨造成により、
多くの症例でインプラント周囲の頬側骨裂開を改善できることが示されました。
また、
顆粒状DBBMとブロック状DBBMのどちらも良好な結果が得られましたが、
それぞれに特徴があり、
患者さんの骨の状態や欠損の大きさに応じて適切な材料を選択することが重要です。
当院では、CTによる診査を行い、骨の状態を詳しく評価したうえで、一人ひとりに適したインプラント治療・骨造成をご提案しています。
インプラント治療や骨造成について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
Severi M, et al. Correction of Peri-Implant Buccal Bone Dehiscence Following Sub-Periosteal Peri-Implant Augmented Layer Technique With Either Block or Particulate Xenograft: A Retrospective Study. Clinical Oral Implants Research. 2025;36:481–493.
-
ブログ2026.08.05
抜歯後に骨補填材を入れると骨は増える?最新研究から分かったこと
こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。インプラント治療を予定している方から、
「抜歯した後は骨補填材を入れた方がいいですか?」
という質問をいただくことがあります。
「骨補填材を入れれば、新しい骨がたくさんできる」
と思われる方も多いかもしれません。
しかし、実際には少し違います。
今回は2024年にClinical Oral Implants Researchに掲載された研究をもとに、抜歯後の骨の治り方についてご紹介します。
抜歯すると骨は自然に治ります
歯を抜いた後は、
血液が固まり、
その後少しずつ新しい骨へと置き換わっていきます。
ただし、その過程で骨の幅や高さは自然に減少してしまいます。
そのため、将来的にインプラント治療を予定している場合には、
抜歯と同時に骨補填材を入れて骨の形を保つ治療(歯槽堤保存術:Alveolar Ridge Preservation:ARP)
が行われることがあります。

この研究では何を調べたの?
この研究では、
抜歯が必要となった42名を3つのグループに分けました。
- GBR(骨補填材+コラーゲンメンブレン)
- Socket Seal(骨補填材+コラーゲンマトリックス)
- 自然治癒(骨補填材を使用しない)
4か月後に骨の一部を採取し、
顕微鏡(BSE-SEM)やマイクロCT(XMT)を用いて、
実際にどのような骨ができているかを詳しく調べました。
新しい骨が最も多かったのは自然治癒でした
顕微鏡で調べた結果、
新しくできた骨の割合は
- 自然治癒:約46%
- Socket Seal:約28%
- GBR:約22%
でした。
つまり、
新しい骨だけを見ると、自然治癒の方が多い
という結果でした。

骨補填材は失敗だったのでしょうか?
もちろん、そうではありません。
今回使用された骨補填材(DBBM)は、
4か月後にも一部が残っていました。
つまり、
骨補填材が存在する分だけ、
新しく骨へ置き換わるスペースが少なくなるため、
新生骨の割合が低くなったと考えられます。

骨の「量」と「質」は別のお話です
ここが今回の研究で最も重要なポイントです。
以前に同じ研究グループが報告した臨床研究では、
GBRやSocket Sealを行った方が、抜歯後の骨の高さや幅を維持しやすい
ことが示されています。
一方で、
今回の研究では
新しい骨の割合だけを見ると自然治癒の方が多い
という結果でした。
つまり、
「骨の形を保つこと」と「新しい骨が多くできること」は同じではない
ということです。
骨補填材には、
骨が減るのを抑え、
インプラント治療に適した骨の形を維持する役割があります。

メンブレンやコラーゲンマトリックスも大切
研究では、
GBRのメンブレンやSocket Sealのコラーゲンマトリックスが早期に露出・脱落した症例では、
新しい骨の形成が少なく、
骨補填材の周囲に線維性組織が多くみられる傾向がありました。
そのため、
骨補填材だけではなく、
創部を安定して保護することも、良好な治癒には重要であることが示されています。

まとめ
今回の研究では、
骨補填材を使用した方が、新しい骨の割合は少ない
という結果でした。
しかし、これは骨補填材が無意味ということではありません。
骨補填材の目的は、
抜歯後に失われやすい骨の形をできるだけ維持し、将来のインプラント治療を行いやすくすることです。
そのため、どの方法が適しているかは、
骨の状態や治療計画によって異なります。
当院では、CTによる診査を行い、それぞれの患者さんに適した治療方法をご提案しています。
抜歯後の治療について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
MacBeth N, Mardas N, Davis G, Donos N. Healing patterns of alveolar bone following ridge preservation procedures. Clinical Oral Implants Research. 2024;35:1452-1466.
-
ブログ2026.08.05
細いインプラントは折れやすい?長期研究から分かったこと
こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。「細いインプラントは折れやすいのでは?」
このような疑問を持たれる方もいらっしゃいます。
実際、インプラントは細くなるほど強度が心配されることがあります。
今回は、2024年にClinical Oral Implants Researchに掲載された長期研究をもとに、3.3mmのナローインプラント(細いインプラント)の破折率や注意点についてご紹介します。
ナローインプラントとは?
ナローインプラントとは、
通常より細い直径のインプラントです。
骨の幅が十分でない部位や、歯と歯の間が狭い部位などで使用されることがあります。
適切な症例では、骨造成を行わずに治療できる可能性があり、患者さんの負担を軽減できる場合があります。
この研究では何を調べたの?
この研究では、
1997年から2015年までに治療を受けた524名・1750本のナローインプラントを調査し、追跡不能例などを除いた440名・1428本について解析が行われました。
平均追跡期間は129か月(約10.8年)、最長では約21年間という非常に長期間の経過が調べられています。

インプラントはどれくらい折れた?
調査対象となった1428本のナローインプラントのうち、
破折したのは15本(1.05%)でした。
患者単位では440人中9人(2.04%)に破折が認められています。
つまり、
ナローインプラントの破折は比較的まれな合併症だったという結果でした。

どんな人で破折がみられた?
この研究では、
破折した15本のうち10本は、
歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)の徴候がみられた患者さんで認められました。
ただし、
ブラキシズムは治療前に全例で評価されていたわけではないため、統計解析で正式な危険因子として証明されたわけではありません。
著者らは、
繰り返し強い力が加わることは、破折に関係する可能性がある
と考察しています。

破折しにくかった条件は?
今回の解析では、
インプラント表面がSLActive®のものは、
SLA®表面と比較して破折リスクが低いという結果でした。
一方で、
- 性別
- 上あご・下あご
- 前歯・奥歯
- インプラント材料
- 単独かブリッジか
などについては、有意な差は認められませんでした。
なお、この結果は本研究で対象となった特定のインプラントシステムにおける結果であり、すべてのインプラントに当てはまるとは限りません。

著者らの結論
著者らは、
3.3mmナローインプラントの破折はまれであり、適切な症例では安全で予知性の高い治療法の一つである
と結論づけています。
一方で、
破折は一つの原因ではなく、
- 患者さんの状態
- 噛む力
- インプラントの特徴
など、複数の要因が関係する可能性があるため、
症例選択や長期的なメンテナンスが重要であると述べています。
まとめ
「細いインプラントは折れやすい」というイメージを持たれることがありますが、今回の長期研究では**破折率は1.05%**と低い結果でした。
もちろん、すべての患者さんにナローインプラントが適しているわけではありません。
骨の状態や噛み合わせ、歯ぎしりの有無などを総合的に評価し、それぞれの患者さんに合った治療法を選択することが大切です。
当院でも、CTによる診査や噛み合わせの評価を行い、一人ひとりに適したインプラント治療をご提案しています。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
Lustosa RM, et al. Fracture rate and risk factors associated with the fracture of narrow diameter implants: A long-term retrospective analysis. Clinical Oral Implants Research. 2024;35:1467-1474.
-
ブログ2026.08.04
歯周病は歯ぐきだけの病気ではありません ~全身の健康にも関わる理由~
こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。「歯周病は歯ぐきの病気だから、痛くなければ大丈夫」
そう思われている方は少なくありません。
しかし近年の研究では、歯周病はお口の中だけではなく、全身の健康にも影響を与える可能性がある病気として考えられています。
今回は、2015年にNature Reviews Immunologyに掲載されたレビュー論文をもとに、歯周病と全身の健康との関係についてご紹介します。
歯周病は細菌だけが原因ではありません
以前は、
「歯周病菌が歯ぐきを壊す病気」
と考えられていました。
しかし現在では、
歯周病は細菌のバランスが崩れ、免疫反応も乱れることで進行する病気
という考え方が主流になっています。
つまり、
- 悪い細菌が増える
- 体の免疫が過剰に反応する
- 炎症が続く
- 歯を支える骨が少しずつ失われる
という流れで進行します。

「ディスバイオシス」とは?
この論文で特に重要なのが
ディスバイオシス(Dysbiosis)
という考え方です。
これは、
細菌の種類やバランスが崩れた状態
を意味します。
健康なお口の中にはたくさんの細菌が住んでいますが、
そのほとんどは悪い細菌ではありません。
ところが、
- プラークが増える
- 歯磨き不足
- 喫煙
- 糖尿病
- 歯周ポケットが深くなる
などがきっかけで細菌のバランスが崩れると、歯周病が進みやすくなることが分かっています。

歯周病菌は免疫をだます?
通常、細菌が侵入すると免疫が細菌を排除します。
ところが歯周病菌の中には、
免疫をうまくコントロールしながら生き残る能力
を持つものがあります。
その結果、
細菌は完全には排除されず、
炎症だけが長期間続いてしまいます。
この慢性的な炎症によって、
歯を支える骨が少しずつ失われていくと考えられています。

歯周病は全身にも影響する可能性があります
歯周病では、
歯ぐきの炎症部分から
- 細菌
- 炎症性物質
が血液中へ入り込むことがあります。
そのため、
歯周病は次のような病気との関連が報告されています。
- 動脈硬化・心血管疾患
- 誤嚥性肺炎
- 妊娠中の合併症
- 関節リウマチ
- 一部のがんとの関連
ただし、この論文で紹介されているのは「関連性を示す研究や考えられる仕組み」であり、歯周病がこれらの病気の直接的な原因であると証明されたわけではありません。

毎日のケアが最も大切です
歯周病は初期にはほとんど痛みがありません。
だからこそ、
毎日のセルフケアと定期的な歯科検診がとても重要です。
歯石除去やクリーニングだけでなく、
歯周病の原因となる細菌のバランスを整え、
炎症をコントロールすることが歯周病治療の目的になります。
まとめ
近年の研究では、歯周病は単なる「細菌感染」ではなく、
細菌と免疫のバランスが崩れることで起こる慢性炎症性疾患
であることが分かってきました。
歯ぐきの健康は、お口だけでなく全身の健康にも関わる可能性があります。
当院では、歯周病の進行度をしっかり検査したうえで、一人ひとりに合わせた治療と予防をご提案しています。
気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
Hajishengallis G. Periodontitis: from microbial immune subversion to systemic inflammation. Nature Reviews Immunology. 2015;15(1):30-44.
-
新着情報2026.06.25
🦷プレオルソの取り扱いを開始しました🦷
西長住まつなが歯科では、お子さま向けマウスピース型矯正装置「プレオルソ」の取り扱いを開始しました✨
プレオルソは、成長期のお子さま(目安:3〜12歳)を対象に、お口の状態に応じて使用を検討する装置です。
歯並びや咬み合わせだけでなく、お口の機能や習癖についても確認し、一人ひとりに合わせた治療計画をご提案します。
当院では、装置の使用だけでなく、「あいうべ体操」などの口腔機能トレーニングも組み合わせながらサポートしていきます。
「子どもの歯並びが気になる」
「お口がぽかんと開いていることが多い」
「今のうちに相談してみたい」という方は、お気軽にご相談ください😊
※適応には個人差があり、診察・検査のうえでご案内いたします。
※詳しい内容はInstagramでもご紹介しています📱 -
新着情報2026.06.14
6月14日(日)、15日(月)は定休日のため休診となります🦷💤
ご不便をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします😊
なお、ネット予約は24時間受付しております📱✨
🦷「歯がしみる…」
🦷「歯が痛い…」
🦷「歯石とりを受けたい」
🦷「検診を受けたい」などございましたら、お気軽にご利用ください🌸
福岡市南区西長住
西長住まつなが歯科 🦷✨ -
新着情報2026.05.25
🌿✨【休診日のお知らせ】✨🌿
5月25日(月)は
定休日のため休診となります🦷💤ご不便をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします😊
なお、ネット予約は24時間受付しております📱✨
🦷「歯がしみる…」
🦷「歯が痛い…」
🦷「歯石とりを受けたい」
🦷「検診を受けたい」などございましたら、お気軽にご利用ください🌸
福岡市南区西長住
西長住まつなが歯科 🦷✨ -
新着情報2026.05.18
定休日📢【休診日のお知らせ】
いつも西長住まつなが歯科をご利用いただきありがとうございます😊
5月18日(月)は休診日となっております。
ご不便をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします🦷
なお、WEB予約は24時間受け付けております✨
お気軽にご利用ください。 -
新着情報2026.04.17
はじめまして🎉西長住まつなが歯科のご紹介
2026年4月14日、南区西長住にて「西長住まつなが歯科」を開院いたしました。
当院のブログをご覧いただき、ありがとうございます。当院では、「安心して通い続けられる歯科医院」を目指し、地域の皆さまのお口の健康をサポートしてまいります。
歯科医院というと、「痛い」「怖い」といったイメージをお持ちの方も多いかと思います。
そのような不安を少しでも和らげられるよう、丁寧な説明と、できるだけ負担の少ない治療を心がけています。また、むし歯や歯周病の治療だけでなく、予防やメンテナンスにも力を入れ、長く健康な状態を維持できるようサポートしていきます。
小さなお子さまからご高齢の方まで、ご家族皆さまで安心して通っていただける医院づくりを大切にしています。
今後は、ブログやインスタグラムで歯に関する情報や、医院の取り組みなども発信していく予定です。
どうぞよろしくお願いいたします✨ぜひお気軽にフォローしていただけると嬉しいです🦷
-
新着情報2026.04.03
ホームページを公開いたしました
福岡市南区にて新規開院の【西長住まつなが歯科】です。本日、ホームページを公開いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
-
ブログ2026.08.09
【症例】詰め物が取れたら「詰め直すだけ」ではダメ?むし歯が見つかりジルコニアクラウンで治療した症例
こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
「西長住まつなが歯科」院長の松永紘明です。今回は、
「奥歯の詰め物が取れた」
ことをきっかけに来院され、診査したところ、詰め物の下にむし歯が認められた症例をご紹介します。
「詰め物が取れただけなら、もう一度つけたり、詰め直したりすればいいのでは?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実際には、詰め物が取れた歯を確認すると、その内部でむし歯が進行していたり、むし歯を取り除いた結果、残っている歯が少なくなったりすることがあります。
今回の症例では、むし歯を除去した後の残存歯質が少なかったため、部分的な詰め物ではなく、歯全体を覆うジルコニアクラウンで修復しました。
また今回は、装着時にクラウンと歯との境目が良好に適合していることが分かる写真も撮影できましたので、被せ物治療における「適合」についてもご紹介します。
「奥歯の詰め物が取れた」と来院されました
今回の患者さまは、
「奥歯の詰め物が取れた」
とのことで来院されました。
詰め物が外れた部分を確認したところ、内部にはむし歯(う蝕)が認められました。

詰め物や被せ物が外れる原因はひとつではありません。
接着部分の劣化や噛み合わせによる力など、さまざまな原因が考えられますが、詰め物の周囲や内部にむし歯ができている場合もあります。
そのため、
「取れた詰め物をそのまま戻せば終わり」
とは限りません。
まずは、詰め物が取れた原因や、その下の歯がどのような状態になっているのかを確認することが大切です。
むし歯を取り除くと、残っている歯が少ない状態でした
今回も、まずむし歯になっている部分を取り除いていきました。
すると、むし歯を除去した後は、健全な状態で残っている歯の量(残存歯質)が少ない状態になりました。
ここが今回の治療方法を決めるうえで重要なポイントです。
むし歯を取り除いた後にも十分な歯質が残っていれば、部分的な詰め物で修復できる場合があります。
一方で、残っている歯が少ない場合には、部分的な詰め物だけでは歯を十分に保護することが難しい場合があります。
なぜ今回はジルコニアクラウンにしたの?
今回の症例では、むし歯を取り除いた後の残存歯質が少なかったため、歯全体を覆うジルコニアクラウンで修復することにしました。
クラウンとは、残っている歯を全体的に覆う、いわゆる「被せ物」です。
今回のように歯質が少なくなっている場合には、
残っている歯を保護すること
そして、
噛む機能を回復すること
を考えながら修復方法を検討します。
もちろん、
「詰め物が取れたら必ずクラウンになる」
というわけではありません。
むし歯の大きさ、残っている歯の量、歯の状態、噛み合わせなどを確認し、それぞれの状態に合わせて治療方法を選択します。
奥歯に使用した「ジルコニア」とは?
ジルコニアは、歯科治療で使用されているセラミック材料のひとつです。
高い強度を持っているため、今回のような噛む力が加わりやすい奥歯の被せ物にも使用されています。
また、金属を使用せず白い被せ物を製作できるため、機能面だけでなく、周囲の歯との調和を考えた修復も可能です。
今回も、噛み合わせや周囲の歯とのバランスを確認しながら、自然な形態になるように仕上げました。

被せ物は「白さ」だけでなく「適合」も大切です
セラミック治療というと、
「白くてきれい」
「自然な歯に見える」といった見た目の違いに注目されることが多いと思います。
しかし、当院が被せ物治療で大切にしているのは、見た目だけではありません。
そのひとつが、
「被せ物と歯がどのように適合しているか」
です。
被せ物には、削った歯と人工物との境目(マージン)があります。
この部分に大きな段差や隙間があると、プラークが停滞しやすくなるなど、その後の管理にも影響する可能性があります。
そのため当院では、被せ物を製作する際には見た目や噛み合わせだけでなく、歯と被せ物の境目ができるだけ滑らかにつながるよう、適合状態も確認しています。
今回のジルコニアクラウンの適合を拡大してみると
今回の症例では、ジルコニアクラウンを装着する際に、歯とクラウンの境目がよく分かる写真を撮影することができました。

写真を拡大してみると、
ジルコニアクラウンと歯との境目がきれいにつながり、良好に適合していることが確認できます。
患者さんからすると、被せ物の適合状態は、普段鏡を見てもなかなか分かりにくい部分です。
しかし、こうした見えにくい部分まで丁寧に仕上げることも、被せ物治療では大切だと考えています。
保険の被せ物と自由診療では何が違うの?
「自由診療の被せ物の方が、保険の被せ物より適合がいいのですか?」
という疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。
ここは少し注意が必要です。
自由診療だから必ず適合が良く、保険診療だから適合が悪いというわけではありません。
被せ物の適合には、使用する材料だけでなく、
- 歯の削り方
- 型取りや口腔内スキャン
- 被せ物の設計・製作
- 技工
- 噛み合わせの調整
- 装着時の操作
など、さまざまな要素が関係します。
一方、自由診療では、使用する材料や製作方法などについて選択肢が広がります。
そのため当院では、自由診療の被せ物を選択された場合には、材料の特性を活かすだけでなく、形態や噛み合わせ、適合なども含めた補綴治療を行うことを大切にしています。
今回の症例でも、
「白いジルコニアを入れてきれいになった」
ということだけではなく、
歯とクラウンの境目まで確認し、良好な適合が得られていることを確認してから装着しています。
Before/After

Before
奥歯の詰め物が取れており、その内部にむし歯が認められました。
↓
むし歯を除去
むし歯になっている部分を取り除くと、残っている健全な歯質が少ない状態でした。
↓
After
残っている歯を保護し、噛む機能を回復するため、ジルコニアクラウンで歯全体を覆って修復しました。
さらに装着時には、クラウンと歯との境目の適合状態についても確認しています。
「詰め物が取れただけ」と放置しないことが大切です
詰め物が取れても痛みがなければ、
「急いで歯医者に行かなくても大丈夫かな?」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、詰め物が取れた部分は食べ物が入り込みやすくなったり、残っている歯が欠けたりする可能性があります。
そして今回の症例のように、詰め物の下にむし歯が存在している場合もあります。
むし歯は、ある程度進行するまで強い痛みが出ないこともあります。
そのため、
「痛くない=問題がない」
とは限りません。
詰め物や被せ物が取れた場合には、そのままにせず、できるだけ早めに歯科医院で状態を確認することをおすすめします。
今回の治療について
治療内容:ジルコニアクラウン
費用:88,000円(税込)
※自由診療となります。
※治療結果や治療期間には個人差があります。
※ジルコニアクラウンは、強い衝撃や噛み合わせなどにより欠けたり破損したりする可能性があります。
まとめ
今回は、
「奥歯の詰め物が取れた」
ことをきっかけに受診され、内部にむし歯が見つかった症例をご紹介しました。
今回の治療の流れは、
詰め物が取れる
↓
内部にむし歯を確認
↓
むし歯を除去
↓
残存歯質が少ないことを確認
↓
ジルコニアクラウンで修復
↓
噛み合わせ・形態・適合を確認というものでした。
詰め物が取れたからといって、必ずしも元の詰め物を戻したり、同じ大きさの詰め物を作り直したりできるわけではありません。
むし歯をきちんと取り除いたうえで、どのくらい健全な歯が残っているのかを確認し、その状態に合わせた修復方法を選択することが大切です。
また、セラミック治療では「白くてきれい」という見た目だけでなく、噛み合わせや形態、そして歯と被せ物との適合も重要です。
西長住まつなが歯科では、治療後の見た目だけではなく、できるだけ長く良好な状態を維持できるよう、見えにくい部分にも配慮した治療を心がけています。
福岡市南区西長住・長住・長丘・樋井川・桧原周辺で、
「詰め物が取れた」
「被せ物が外れた」
「以前治療した歯が気になる」といった症状がございましたら、お気軽にご相談ください。
-
ブログ2026.08.07
インプラントの歯ぐきから出血…消毒薬を使うと治りやすい?最新研究から解説

こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
「西長住まつなが歯科」院長の松永紘明です。インプラントを入れたあと、
「インプラントの周りの歯ぐきから血が出る」
「歯ブラシをすると出血する」
「インプラントの周りが少し腫れている」といった症状がみられることがあります。
こうした症状の原因のひとつが、「インプラント周囲粘膜炎」です。
今回は2025年に『Clinical Oral Implants Research』に掲載されたランダム化プラセボ対照臨床試験をもとに、
インプラント周囲粘膜炎の治療にクロルヘキシジン(CHX)を併用すると、治療効果は高くなるのか?
についてご紹介します。
インプラント周囲粘膜炎とは?
インプラント周囲粘膜炎とは、インプラントの周囲の軟組織に起こる炎症です。
主な原因は、インプラント周囲に蓄積したバイオフィルム(細菌のかたまり)です。
特徴的なのが、検査の際の
BOP(Bleeding on Probing:プロービング時出血)
です。
細い器具でインプラント周囲の歯ぐきを検査したときに出血が認められます。
重要なのは、インプラント周囲粘膜炎の段階では、インプラント周囲炎とは異なり、初期の骨リモデリングを超えた骨吸収を伴わないということです。

治療で大切なのは「バイオフィルムの除去」
インプラント周囲粘膜炎の治療では、
インプラント周囲に付着したバイオフィルムを取り除くこと
が非常に重要です。
今回の論文でも、専門的な非外科的機械的清掃(NSPI)と、患者さん自身による適切な口腔清掃が治療の基本として説明されています。
しかし、ここでひとつ疑問があります。
「機械的に汚れを取るだけではなく、消毒薬も一緒に使った方が治りやすいのでは?」
という点です。
そこで今回の研究では、殺菌作用を持つ**クロルヘキシジン(CHX)を併用した場合の効果が調べられました。
56人を2つのグループに分けて比較
研究には、インプラント周囲粘膜炎と診断された56人が参加しました。
56人をランダムに、
① 機械的清掃+プラセボ群
28人
② 機械的清掃+クロルヘキシジン群
28人
に分けています。
研究はランダム化・二重盲検・プラセボ対照試験として行われ、6か月間追跡されました。
最終的には56人、85本のインプラントが解析され、追跡期間中のインプラント喪失や合併症はありませんでした。

どんな治療をしたの?
両グループとも、まず口腔清掃指導を受けました。
さらに専門的なクリーニングを行い、インプラント周囲粘膜炎の部位には、プラスチックチップを装着したソニックスケーラーによる機械的清掃が行われています。
そのうえでCHX群では、
- 1%CHXジェルによる舌清掃
- 0.12%CHXによる洗口
- インプラント周囲への0.12%CHX洗浄
- 0.12%CHX洗口液を1日2回、2週間使用
という処置が追加されました。
対照群では、見た目や味を合わせたプラセボが使用されています。
結果① どちらの治療でも炎症は改善した
まず重要なのが、
クロルヘキシジンを使用したグループだけが改善したわけではない
ということです。
6か月後には両グループで、
- BOP(プロービング時出血)
- PPD(プロービングデプス)
- プラーク関連指標
- 歯肉炎症関連指標
- 口腔内全体のプラーク・出血関連指標
などに有意な改善が認められました。
つまり、
インプラント周囲のバイオフィルムを機械的に除去し、口腔衛生状態を改善すること自体が重要
だと考えられます。
結果② CHXを併用すると出血の改善が大きかった
では、クロルヘキシジンを追加するとどうなったのでしょうか?
研究の主要評価項目であるBOPの6か月間の減少量は、
機械的清掃+プラセボ
→ 39.3%減少機械的清掃+CHX
→ 48.7%減少でした。
CHXを併用したグループの方が、BOPの減少が有意に大きいという結果でした。
また6か月時点のBOP中央値も、
プラセボ群:25.3%
に対して、
CHX群:19.1%
となっています。

CHXを使えばすべて解決するわけではない
ここは今回の研究を読むうえで非常に重要です。
結果だけを見ると、
「インプラント周囲粘膜炎にはCHXを使えばいい」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、そう単純ではありません。
今回の研究では、両グループとも機械的清掃によって臨床的・細菌学的な指標が改善しています。
CHXは、あくまで機械的清掃に追加して使用されたものです。
したがって今回の研究からは、
「消毒薬だけで治す」のではなく、まず原因となるバイオフィルムをしっかり取り除くことが治療の基本
と考えるのが適切です。
喫煙なども治療結果に影響する可能性
さらに今回の研究では、治療方法だけでなく、BOPの改善に影響する因子についても解析されています。
その結果、
- 喫煙
- 1日の喫煙本数
- 深いPPD
- 口腔内の出血・プラーク関連指標
- 歯周炎の既往
- Porphyromonas gingivalis
- Tannerella forsythia
などがBOPの改善に影響していました。
著者らは結論でも、これらの因子がBOPの改善に負の影響を及ぼしたとしています。
つまり、インプラント周囲粘膜炎の治療では、
歯科医院でインプラントだけを清掃すれば終わり、というわけではありません。
日頃のプラークコントロールや喫煙なども含めて考える必要があります。
インプラント周囲粘膜炎の段階で対応することが大切
インプラント治療が終わったあとも、
「もう人工の歯だから虫歯にならないし大丈夫」
というわけではありません。
インプラントそのものは虫歯にはなりませんが、その周囲には天然歯と同じようにバイオフィルムが付着します。
そして、インプラント周囲の歯ぐきに炎症が起こることがあります。
今回の研究からも、インプラント周囲粘膜炎に対して専門的な機械的清掃を行うことで、6か月後には両群とも複数の炎症・プラーク関連指標が改善したことが示されています。
そのため、
「インプラントの周りから血が出る」
「最近インプラントの周りが磨きにくい」
「インプラントを入れてからメンテナンスを受けていない」という方は、一度状態を確認することをおすすめします。
まとめ
今回の研究では、インプラント周囲粘膜炎に対する非外科的な機械的清掃+クロルヘキシジンの効果が検討されました。
結果として、機械的清掃のみでも炎症関連指標は改善しましたが、CHXを併用したグループではBOPの減少がより大きいという結果でした。
ただし、研究対象は56人で、追跡期間も6か月です。
著者ら自身も、今回の結果をより明確にするためには、より大規模な研究と長期間の追跡が必要としています。
そのため今回の研究からは、
「CHXを使えばインプラント周囲粘膜炎が治る」
と考えるのではなく、
「原因となるバイオフィルムを機械的に除去することを基本として、CHXの併用が追加的な効果を示す可能性がある」
と理解するのがよいでしょう。
西長住まつなが歯科では、インプラント治療後も長く安定した状態を維持できるよう、インプラント周囲の状態や磨き残しなどを確認しながらメンテナンスを行っています。
インプラントを入れた後も定期的に状態を確認し、問題が小さい段階で早期に対応することで、できるだけ長く良好な状態を維持できるよう努めてまいります。
参考文献
Isola G, Polizzi A, Santagati M, Alibrandi A, Iorio-Siciliano V, Ramaglia L.
Effect of Nonsurgical Mechanical Debridement With or Without Chlorhexidine Formulations in the Treatment of Peri-Implant Mucositis. A Randomized Placebo-Controlled Clinical Trial.
Clinical Oral Implants Research. 2025;36:566–577 -
ブログ2026.08.06
インプラントの骨が足りないときはどうする?2025年最新研究から分かった骨造成(SPAL法)の効果
こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。インプラント治療では、
「骨が足りないので骨造成が必要です」
と言われることがあります。
特にインプラントを埋入したとき、頬側(ほほ側)の骨が不足してインプラントの表面が露出してしまう状態(骨裂開:Peri-implant Buccal Bone Dehiscence:PIBD)では、適切な骨造成を行うことが長期的な安定につながると考えられています。
今回は、2025年にClinical Oral Implants Researchに掲載された研究をもとに、新しい骨造成法であるSPAL法についてご紹介します。
インプラントを入れると骨が足りないことがあります
インプラントは骨の中心に正しい位置で埋入することが重要です。
しかし、骨幅が不足している部位では、
インプラントを適切な位置へ埋入すると、
頬側の骨が欠損してしまうことがあります。
この状態を放置すると、
長期的な骨の吸収やインプラント周囲炎のリスクにつながる可能性があるため、
骨造成が推奨されています。

SPAL法とは?
SPAL(Sub-periosteal Peri-implant Augmented Layer)法は、
患者さん自身の骨膜を利用して骨補填材を安定させる骨造成法です。
通常のGBRではコラーゲンメンブレンを使用することが多いですが、
SPAL法では骨膜を利用して骨補填材を保持するため、
骨補填材の安定性を高めることが期待されています。

この研究では何を調べたの?
研究では39名39本のインプラントを対象に、
次の3つのグループが比較されました。
- SPAL+顆粒状DBBM(14本)
- SPAL+ブロック状DBBM(14本)
- 頬側骨が2mm以上あるコントロール群(11本)
6か月後(コントロール群は3か月後)に再度手術を行い、
骨裂開がどの程度改善したかを評価しました。

骨裂開はどれくらい改善した?
再手術時には、
- SPAL顆粒群:100%(14/14)
- SPALブロック群:93%(13/14)
- コントロール群:82%(9/11)
で、頬側骨裂開が認められませんでした。
つまり、
SPAL法では非常に高い割合で骨裂開を改善できた
という結果でした。

ブロックと顆粒では違いはあった?
今回の研究では、
骨裂開の改善率には大きな差はありませんでした。
一方で、
ブロック状DBBMを使用したグループでは、
頬側の軟組織(歯ぐき)の厚みが、
顆粒状DBBMより有意に厚くなっていました。
ただし、
ブロック群では1例で感染が起こり、骨補填材を除去する必要がありました。
著者らの考察
著者らは、
SPAL法は顆粒状・ブロック状どちらのDBBMでも、
頬側骨裂開を改善する有効な方法である
と考察しています。
一方で、
ブロック状DBBMは軟組織を厚くできる可能性があるものの、
感染リスクや症例数の少なさも踏まえ、
今後さらに検討が必要としています。
まとめ
今回の研究では、
SPAL法を用いた骨造成により、
多くの症例でインプラント周囲の頬側骨裂開を改善できることが示されました。
また、
顆粒状DBBMとブロック状DBBMのどちらも良好な結果が得られましたが、
それぞれに特徴があり、
患者さんの骨の状態や欠損の大きさに応じて適切な材料を選択することが重要です。
当院では、CTによる診査を行い、骨の状態を詳しく評価したうえで、一人ひとりに適したインプラント治療・骨造成をご提案しています。
インプラント治療や骨造成について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
Severi M, et al. Correction of Peri-Implant Buccal Bone Dehiscence Following Sub-Periosteal Peri-Implant Augmented Layer Technique With Either Block or Particulate Xenograft: A Retrospective Study. Clinical Oral Implants Research. 2025;36:481–493.
-
ブログ2026.08.05
抜歯後に骨補填材を入れると骨は増える?最新研究から分かったこと
こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。インプラント治療を予定している方から、
「抜歯した後は骨補填材を入れた方がいいですか?」
という質問をいただくことがあります。
「骨補填材を入れれば、新しい骨がたくさんできる」
と思われる方も多いかもしれません。
しかし、実際には少し違います。
今回は2024年にClinical Oral Implants Researchに掲載された研究をもとに、抜歯後の骨の治り方についてご紹介します。
抜歯すると骨は自然に治ります
歯を抜いた後は、
血液が固まり、
その後少しずつ新しい骨へと置き換わっていきます。
ただし、その過程で骨の幅や高さは自然に減少してしまいます。
そのため、将来的にインプラント治療を予定している場合には、
抜歯と同時に骨補填材を入れて骨の形を保つ治療(歯槽堤保存術:Alveolar Ridge Preservation:ARP)
が行われることがあります。

この研究では何を調べたの?
この研究では、
抜歯が必要となった42名を3つのグループに分けました。
- GBR(骨補填材+コラーゲンメンブレン)
- Socket Seal(骨補填材+コラーゲンマトリックス)
- 自然治癒(骨補填材を使用しない)
4か月後に骨の一部を採取し、
顕微鏡(BSE-SEM)やマイクロCT(XMT)を用いて、
実際にどのような骨ができているかを詳しく調べました。
新しい骨が最も多かったのは自然治癒でした
顕微鏡で調べた結果、
新しくできた骨の割合は
- 自然治癒:約46%
- Socket Seal:約28%
- GBR:約22%
でした。
つまり、
新しい骨だけを見ると、自然治癒の方が多い
という結果でした。

骨補填材は失敗だったのでしょうか?
もちろん、そうではありません。
今回使用された骨補填材(DBBM)は、
4か月後にも一部が残っていました。
つまり、
骨補填材が存在する分だけ、
新しく骨へ置き換わるスペースが少なくなるため、
新生骨の割合が低くなったと考えられます。

骨の「量」と「質」は別のお話です
ここが今回の研究で最も重要なポイントです。
以前に同じ研究グループが報告した臨床研究では、
GBRやSocket Sealを行った方が、抜歯後の骨の高さや幅を維持しやすい
ことが示されています。
一方で、
今回の研究では
新しい骨の割合だけを見ると自然治癒の方が多い
という結果でした。
つまり、
「骨の形を保つこと」と「新しい骨が多くできること」は同じではない
ということです。
骨補填材には、
骨が減るのを抑え、
インプラント治療に適した骨の形を維持する役割があります。

メンブレンやコラーゲンマトリックスも大切
研究では、
GBRのメンブレンやSocket Sealのコラーゲンマトリックスが早期に露出・脱落した症例では、
新しい骨の形成が少なく、
骨補填材の周囲に線維性組織が多くみられる傾向がありました。
そのため、
骨補填材だけではなく、
創部を安定して保護することも、良好な治癒には重要であることが示されています。

まとめ
今回の研究では、
骨補填材を使用した方が、新しい骨の割合は少ない
という結果でした。
しかし、これは骨補填材が無意味ということではありません。
骨補填材の目的は、
抜歯後に失われやすい骨の形をできるだけ維持し、将来のインプラント治療を行いやすくすることです。
そのため、どの方法が適しているかは、
骨の状態や治療計画によって異なります。
当院では、CTによる診査を行い、それぞれの患者さんに適した治療方法をご提案しています。
抜歯後の治療について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
MacBeth N, Mardas N, Davis G, Donos N. Healing patterns of alveolar bone following ridge preservation procedures. Clinical Oral Implants Research. 2024;35:1452-1466.
-
ブログ2026.08.05
細いインプラントは折れやすい?長期研究から分かったこと
こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。「細いインプラントは折れやすいのでは?」
このような疑問を持たれる方もいらっしゃいます。
実際、インプラントは細くなるほど強度が心配されることがあります。
今回は、2024年にClinical Oral Implants Researchに掲載された長期研究をもとに、3.3mmのナローインプラント(細いインプラント)の破折率や注意点についてご紹介します。
ナローインプラントとは?
ナローインプラントとは、
通常より細い直径のインプラントです。
骨の幅が十分でない部位や、歯と歯の間が狭い部位などで使用されることがあります。
適切な症例では、骨造成を行わずに治療できる可能性があり、患者さんの負担を軽減できる場合があります。
この研究では何を調べたの?
この研究では、
1997年から2015年までに治療を受けた524名・1750本のナローインプラントを調査し、追跡不能例などを除いた440名・1428本について解析が行われました。
平均追跡期間は129か月(約10.8年)、最長では約21年間という非常に長期間の経過が調べられています。

インプラントはどれくらい折れた?
調査対象となった1428本のナローインプラントのうち、
破折したのは15本(1.05%)でした。
患者単位では440人中9人(2.04%)に破折が認められています。
つまり、
ナローインプラントの破折は比較的まれな合併症だったという結果でした。

どんな人で破折がみられた?
この研究では、
破折した15本のうち10本は、
歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)の徴候がみられた患者さんで認められました。
ただし、
ブラキシズムは治療前に全例で評価されていたわけではないため、統計解析で正式な危険因子として証明されたわけではありません。
著者らは、
繰り返し強い力が加わることは、破折に関係する可能性がある
と考察しています。

破折しにくかった条件は?
今回の解析では、
インプラント表面がSLActive®のものは、
SLA®表面と比較して破折リスクが低いという結果でした。
一方で、
- 性別
- 上あご・下あご
- 前歯・奥歯
- インプラント材料
- 単独かブリッジか
などについては、有意な差は認められませんでした。
なお、この結果は本研究で対象となった特定のインプラントシステムにおける結果であり、すべてのインプラントに当てはまるとは限りません。

著者らの結論
著者らは、
3.3mmナローインプラントの破折はまれであり、適切な症例では安全で予知性の高い治療法の一つである
と結論づけています。
一方で、
破折は一つの原因ではなく、
- 患者さんの状態
- 噛む力
- インプラントの特徴
など、複数の要因が関係する可能性があるため、
症例選択や長期的なメンテナンスが重要であると述べています。
まとめ
「細いインプラントは折れやすい」というイメージを持たれることがありますが、今回の長期研究では**破折率は1.05%**と低い結果でした。
もちろん、すべての患者さんにナローインプラントが適しているわけではありません。
骨の状態や噛み合わせ、歯ぎしりの有無などを総合的に評価し、それぞれの患者さんに合った治療法を選択することが大切です。
当院でも、CTによる診査や噛み合わせの評価を行い、一人ひとりに適したインプラント治療をご提案しています。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
Lustosa RM, et al. Fracture rate and risk factors associated with the fracture of narrow diameter implants: A long-term retrospective analysis. Clinical Oral Implants Research. 2024;35:1467-1474.
-
ブログ2026.08.04
歯周病は歯ぐきだけの病気ではありません ~全身の健康にも関わる理由~
こんにちは。
福岡市南区西長住、
マルキョウ桧原店前にある
『西長住まつなが歯科』院長の松永紘明です。「歯周病は歯ぐきの病気だから、痛くなければ大丈夫」
そう思われている方は少なくありません。
しかし近年の研究では、歯周病はお口の中だけではなく、全身の健康にも影響を与える可能性がある病気として考えられています。
今回は、2015年にNature Reviews Immunologyに掲載されたレビュー論文をもとに、歯周病と全身の健康との関係についてご紹介します。
歯周病は細菌だけが原因ではありません
以前は、
「歯周病菌が歯ぐきを壊す病気」
と考えられていました。
しかし現在では、
歯周病は細菌のバランスが崩れ、免疫反応も乱れることで進行する病気
という考え方が主流になっています。
つまり、
- 悪い細菌が増える
- 体の免疫が過剰に反応する
- 炎症が続く
- 歯を支える骨が少しずつ失われる
という流れで進行します。

「ディスバイオシス」とは?
この論文で特に重要なのが
ディスバイオシス(Dysbiosis)
という考え方です。
これは、
細菌の種類やバランスが崩れた状態
を意味します。
健康なお口の中にはたくさんの細菌が住んでいますが、
そのほとんどは悪い細菌ではありません。
ところが、
- プラークが増える
- 歯磨き不足
- 喫煙
- 糖尿病
- 歯周ポケットが深くなる
などがきっかけで細菌のバランスが崩れると、歯周病が進みやすくなることが分かっています。

歯周病菌は免疫をだます?
通常、細菌が侵入すると免疫が細菌を排除します。
ところが歯周病菌の中には、
免疫をうまくコントロールしながら生き残る能力
を持つものがあります。
その結果、
細菌は完全には排除されず、
炎症だけが長期間続いてしまいます。
この慢性的な炎症によって、
歯を支える骨が少しずつ失われていくと考えられています。

歯周病は全身にも影響する可能性があります
歯周病では、
歯ぐきの炎症部分から
- 細菌
- 炎症性物質
が血液中へ入り込むことがあります。
そのため、
歯周病は次のような病気との関連が報告されています。
- 動脈硬化・心血管疾患
- 誤嚥性肺炎
- 妊娠中の合併症
- 関節リウマチ
- 一部のがんとの関連
ただし、この論文で紹介されているのは「関連性を示す研究や考えられる仕組み」であり、歯周病がこれらの病気の直接的な原因であると証明されたわけではありません。

毎日のケアが最も大切です
歯周病は初期にはほとんど痛みがありません。
だからこそ、
毎日のセルフケアと定期的な歯科検診がとても重要です。
歯石除去やクリーニングだけでなく、
歯周病の原因となる細菌のバランスを整え、
炎症をコントロールすることが歯周病治療の目的になります。
まとめ
近年の研究では、歯周病は単なる「細菌感染」ではなく、
細菌と免疫のバランスが崩れることで起こる慢性炎症性疾患
であることが分かってきました。
歯ぐきの健康は、お口だけでなく全身の健康にも関わる可能性があります。
当院では、歯周病の進行度をしっかり検査したうえで、一人ひとりに合わせた治療と予防をご提案しています。
気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
Hajishengallis G. Periodontitis: from microbial immune subversion to systemic inflammation. Nature Reviews Immunology. 2015;15(1):30-44.
インターネットでご予約
診療理念
ごあいさつ
丁寧な「対話」
から始まる、
将来を見据えた治療を
福岡市南区の歯医者【西長住まつなが歯科】のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。 院長の松永 紘明です。
私が歯科医師として大切にしているのは、「患者さまとの丁寧なコミュニケーション」と「無理のない治療計画」です。
お一人お一人の背景や生活習慣を理解した上で、その方にとって最善と思われる治療・予防方法をご提案できる歯科医院でありたいと思っています。
西長住・長住エリアの皆さまにとって、安心して通える「かかりつけ歯医者」であり続けること。
そのためにこれからも技術の研鑽と、わかりやすい・無理のない診療を心がけてまいります。
お口のことは、どうぞお気軽にご相談ください。
松永 紘明
丁寧な「対話」から始まる、 将来を見据えた治療を
福岡市南区の歯医者【西長住まつなが歯科】のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。 院長の松永 紘明です。
私が歯科医師として大切にしているのは、「患者さまとの丁寧なコミュニケーション」と「無理のない治療計画」です。
お一人お一人の背景や生活習慣を理解した上で、その方にとって最善と思われる治療・予防方法をご提案できる歯科医院でありたいと思っています。
西長住・長住エリアの皆さまにとって、安心して通える「かかりつけ歯科医院」であり続けること。
そのためにこれからも技術の研鑽と、わかりやすい・無理のない診療を心がけてまいります。
お口のことは、どうぞお気軽にご相談ください。
院長略歴
- 2013年に鹿児島大学歯学部を卒業。九州大学病院臨床教育研修センターを経て、2018年に同大学院 歯周病学分野にて博士課程修了。その後、大学病院や、きし哲也歯科医院、いりえ歯科口腔外科クリニックでの勤務を経て、2026年に当院を開院。日本歯周病学会 認定医。
当院の特徴
-
医院名西長住まつなが歯科
-
院長松永 紘明
-
所在地〒811-1361 福岡県福岡市南区西長住3丁目12-11 アンピール長住Ⅱ 1階110 左号室
-
電話番号
-
URL
-
診療内容むし歯/根管治療/歯周病/入れ歯/歯科口腔外科/小児歯科/予防・クリーニング/インプラント/審美治療/ホワイトニング/ナイトガード/スポーツマウスガード/スリープスプリント(睡眠時無呼吸症候群治療)
-
施設基準当院は、厚生労働省が定める次の施設基準に適合している旨、厚生局長に届出を行っております。
詳しくはこちら>
各種保険取り扱い
自由診療はあくまで選択肢の一つとしてご案内し、ご希望の方に行います。