福岡市南区で歯科・歯医者をお探しの方は【西長住まつなが歯科】まで
〒811-1361
福岡県福岡市南区西長住3丁目12-11
アンピール長住Ⅱ 1階110 左号室
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休診日:月曜・日曜・祝日
新着情報
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ブログ2026.10.02
9月27日にセミナー受講しました
こんにちは。
福岡市南区西長住の西長住まつなが歯科です🦷先日、院長が米国補綴専門医・杉田龍士郎先生による「フルマウス・リハビリテーション ベーシックコース」を受講してきました。
今回が、約半年間にわたる全10回のコースの第1回目です。
このコースでは、複数の歯に問題がある場合や、かみ合わせを含めてお口全体の治療が必要な場合に、どのように診査・診断し、治療計画を立てていくかを学んでいきます。
日々の診療では、1本の歯だけでなく、必要に応じてお口全体を見ながら治療を考えることが大切です。
今回の学びも、今後の診療にしっかり還元していきたいと思います。
これから半年間、継続して学んでいきます。

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ブログ2026.10.02
むし歯は「削る」だけでは治らない?―う蝕をコントロールするという考え方
こんにちは。
福岡市南区西長住の西長住まつなが歯科です🦷「むし歯ができたら、悪いところを削って詰めれば治る」
このようなイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
もちろん、穴が大きくなったむし歯では、歯を削って詰め物や被せ物で修復する治療が必要になることがあります。
しかし現在のむし歯治療では、
「むし歯になった部分を削ること」だけではなく、むし歯が進行する原因そのものをコントロールすること
が非常に重要だと考えられています。
今回は、現在のう蝕学に基づいて、「むし歯をコントロールする治療」について解説します。
むし歯は、突然できるものではありません
むし歯は、
歯の表面にある細菌のかたまり(バイオフィルム)
+糖分
+時間
+唾液やフッ化物などの防御因子のバランスが崩れることで進行していきます。
食事や間食で糖分を摂取すると、歯の表面の細菌が糖を利用して酸を作ります。
すると歯の周囲のpHが低下し、歯からカルシウムやリンなどのミネラルが溶け出します。
これを「脱灰」といいます。
一方で、食事が終わりpHが回復すると、唾液やフッ化物の働きによってミネラルが歯に戻っていきます。
これが「再石灰化」です。
つまり私たちの口の中では毎日、
脱灰 ⇄ 再石灰化
が繰り返されています。

脱灰する時間や回数が増え、再石灰化が追いつかなくなった状態が長く続くと、徐々にむし歯が進行します。
「むし歯菌をなくす」ことが治療ではありません
以前は、
「むし歯菌が歯に感染してむし歯になる」
という説明がよくされていました。
しかし現在では、もう少し複雑な病気であることが分かっています。
むし歯に関連する細菌は、むし歯がない人のお口の中にも存在します。
問題になるのは、糖分を頻繁に摂取することで口の中が繰り返し酸性になり、酸を作りやすく、酸に強い細菌が増えやすい環境になることです。
そのため、
細菌を完全になくすこと
ではなく、
むし歯が進みにくい口腔内環境へ変えていくこと
が重要になります。
むし歯をコントロールする4つのポイント
① バイオフィルムを毎日取り除く
まず重要なのが、歯の表面についた歯垢(プラーク・バイオフィルム)を取り除くことです。
同じ量の糖分を摂取していても、歯の表面に厚いバイオフィルムが残っている場所では酸性の状態が続きやすくなります。
特に、
- 歯と歯の間
- 奥歯の溝
- 歯ぐきの近く
- 被せ物や詰め物の周囲
- 歯並びが重なっているところ
などは磨き残しが起こりやすい場所です。
歯ブラシだけでなく、必要に応じてデンタルフロスや歯間ブラシを使用することも大切です。
歯科医院では、単に「歯を磨いてください」とお伝えするのではなく、どの場所にバイオフィルムが残りやすいのかを確認し、その方に合った清掃方法を考えることが重要です。
② 糖分は「量」だけでなく「回数」に注意する
むし歯というと、
「甘いものをたくさん食べるとむし歯になる」
と思われがちですが、臨床的には食べる回数やタイミングも非常に重要です。
例えば、
- 飴を長時間なめる
- 甘い飲み物を少しずつ飲み続ける
- 砂糖入りのコーヒーを何度も飲む
- 間食を一日中繰り返す
といった習慣では、そのたびに歯の周囲のpHが低下します。
その結果、歯が脱灰する時間が長くなります。

WHOも、食品や飲料に含まれる遊離糖類(free sugars)を減らすことが、むし歯予防に重要としています。WHOは遊離糖類を総摂取エネルギーの10%未満、可能であれば5%未満に抑えることを推奨しています。
大切なのは、
「甘いものは絶対に食べてはいけない」
ということではありません。
一日中だらだら摂取するのではなく、食事や間食の時間をある程度決めることが、むし歯をコントロールするうえで重要です。
③ フッ化物を上手に利用する
むし歯のコントロールにおいて、非常に重要なのが**フッ化物(フッ素)**です。
フッ化物には、
- 歯からミネラルが溶け出す「脱灰」を抑える
- 歯にミネラルが戻る「再石灰化」を促す
- 再石灰化した歯質を酸に強くする
などの働きがあります。
つまり、フッ化物は単に「歯を硬くするもの」ではなく、日々繰り返される脱灰と再石灰化のバランスを再石灰化側へ戻すために重要です。
日本の4学会合同の提言では、6歳以上の子どもから成人・高齢者では、
1400~1500ppmFのフッ化物配合歯磨剤を、就寝前を含め1日2回使用すること
が推奨されています。
歯磨き後は軽く吐き出し、うがいをする場合は少量の水で1回程度とされています。
フッ化物を口の中にある程度残すことで、その効果を得やすくするためです。
④ 唾液が少ない方は特に注意が必要です
唾液にも、むし歯から歯を守る重要な働きがあります。
唾液は、
- 食べ物や糖分を洗い流す
- 酸性になった口の中を中和する
- カルシウムやリンを供給する
- 再石灰化を助ける
など、多くの役割を持っています。
そのため、
- 口が乾きやすい
- 薬を多く服用している
- 唾液の分泌量が少ない
- 頭頸部の放射線治療を受けたことがある
といった方では、むし歯のリスクが高くなることがあります。
このような場合には、一般的なむし歯予防だけでなく、唾液の状態まで考えた管理が必要になることがあります。
初期のむし歯なら「削らずに止められる」ことがあります
むし歯というと、
見つけたらすぐ削る
というイメージがあるかもしれません。
しかし、まだ歯に穴が開いていない初期のう蝕では、必ずしも削って詰める必要はありません。
例えば、
白く濁っているものの、表面にはまだ穴が開いていない初期う蝕
であれば、
- バイオフィルムを取り除く
- 糖分の摂取習慣を改善する
- フッ化物を使用する
- 定期的に状態を確認する
ことで、進行を停止できる可能性があります。
歯は一度削ると元には戻りません。
そのため、削らずにコントロールできる段階で発見することは、歯を長く残すうえで非常に重要です。
奥歯の溝では「シーラント」という方法もあります
奥歯の深い溝は歯ブラシが届きにくく、むし歯が発生しやすい場所です。
まだ穴が開いていない初期の病変では、溝を樹脂などで封鎖するシーラントによって、むし歯の進行を抑える方法があります。
シーラントは、健全な歯を予防する目的だけでなく、初期の小窩裂溝う蝕の進行を抑える方法としても有効であることが示されています。
「むし歯がある=必ず削る」ではありません
ここで大切なのが、むし歯が
今も進行している「活動性病変」なのか、すでに進行が止まっている「非活動性病変」なのか
を考えることです。
例えば、歯の表面に変化があっても、
- 表面が硬い
- 光沢がある
- 汚れがたまりにくい
- 長期間変化していない
病変では、むし歯の進行が停止していることがあります。
一方、
- 表面がザラザラしている
- 白く濁っている
- 歯垢がたまりやすい
- 象牙質が柔らかい
などの場合には活動性が高い可能性があります。
現在のう蝕診療では、単に「黒いからむし歯」「レントゲンに映っているから削る」と判断するのではなく、病変の深さと活動性を評価することが重要とされています。病変を時間をあけて繰り返し評価することも、活動性を判断する重要な方法です。
穴が開いていても「原因のコントロール」は必要です
もちろん、すでに大きな穴が開いていたり、
- 清掃することが難しい
- 食べ物が詰まる
- 歯が欠けている
- 痛みがある
- むし歯が深く進行している
といった場合には、修復治療が必要になることがあります。
しかし、ここでも大切なのは、
「詰めたらむし歯の治療がすべて終了」というわけではない
ということです。
詰め物や被せ物は、失われた歯の形や機能を回復するための治療です。
むし歯を起こした、
糖分・バイオフィルム・フッ化物・唾液などの環境が変わらなければ、別の場所や詰め物の周囲に再びむし歯ができる可能性があります。
そのため修復治療と同時に、
むし歯ができた原因を探し、その原因をコントロールすること
が大切です。
深いむし歯でも「すべて削り取る」とは限りません
さらに現在では、象牙質まで深く進んだむし歯についても考え方が変化しています。
以前は、
「むし歯になった象牙質はすべて硬いところまで取り除く」
という治療が一般的でした。
しかし、深いむし歯でこれを行うと、歯の神経(歯髄)が露出してしまう危険性があります。
2026年に公表されたEFCD・ESE・ORCAの深在性う蝕に関するS3ガイドラインでは、症状がない、または可逆性歯髄炎が疑われる深いむし歯では、歯髄に近い部分の軟化象牙質を意図的に残す**選択的う蝕除去(Selective Caries Removal)**などが推奨されています。これにより、すべてを硬い象牙質まで削る方法と比較して、露髄のリスクを減らせるとされています。
つまり現在は、
「むし歯をどれだけたくさん削ったか」ではなく、「歯髄を守りながら病変をコントロールできたか」
が重要になっています。
むし歯治療のゴールは「削ること」ではありません
現在のむし歯治療をまとめると、
① バイオフィルムをコントロールする
② 糖分の摂り方を見直す
③ フッ化物を適切に使用する
④ 唾液などの防御因子を確認する
⑤ 初期病変は可能であれば削らずに進行を止める
⑥ 必要な場合だけ、できるだけ歯を保存する方法で修復するという考え方になります。
むし歯治療の目的は、
「むし歯を見つけて削ること」ではありません。
本当の目的は、
むし歯が進行する環境を改善し、新しいむし歯や再発をできるだけ防ぎながら、自分の歯を長く残すこと
だと当院では考えています。
定期検診は「むし歯を探すため」だけではありません
定期検診というと、
「新しいむし歯がないかチェックするもの」
と思われるかもしれません。
しかし実際には、
- 初期う蝕が進行していないか
- 歯磨きが難しい場所はないか
- 食生活に変化はないか
- フッ化物を適切に使用できているか
- 唾液が減っていないか
- 過去に治療した歯の周囲に変化がないか
などを確認し、むし歯が進行しにくい状態を維持することも大切な目的です。
西長住まつなが歯科では、できるだけ歯を削る量を抑えながら、患者さん一人ひとりのむし歯の原因やリスクを考えた治療・予防を心がけています。
「むし歯と言われたけれど削らないといけないの?」
「最近むし歯が繰り返しできる」
「しっかり磨いているのにむし歯になる」
など気になることがありましたら、お気軽にご相談ください🦷
福岡市南区西長住をはじめ、長住・長丘・樋井川・桧原・油山方面からも通院いただきやすい歯科医院です。
参考文献・参考資料
- World Health Organization. Sugars and dental caries. 2025.
- American Dental Association. Evidence-Based Clinical Practice Guideline on Nonrestorative Treatments for Carious Lesions.
- American Dental Association. Caries Risk Assessment and Management.
- 日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会. フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法. 2023.
- Kühnisch J, et al. Organization for Caries Research-European Federation of Conservative Dentistry Consensus Report on Clinical Recommendations for Caries Diagnosis: Caries Lesion Activity and Progression Assessment. Caries Research. 2024.
- European Federation of Conservative Dentistry / European Society of Endodontology / ORCA. Deep Caries Management: S3-Level Clinical Practice Guideline. Caries Research. 2026.
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ブログ2026.09.30
フッ素で歯は酸に強くなる?「pH5.5」と脱灰・再石灰化の仕組みをわかりやすく解説
こんにちは。
福岡市南区西長住の西長住まつなが歯科です🦷「むし歯はpH5.5以下になるとできる」
「フッ素を使うと、歯が酸に強くなる」
このような話を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
どちらも大きく間違っているわけではありませんが、実際のお口の中ではもう少し複雑なことが起こっています。
特に、
「pH5.5を下回った瞬間に歯が溶ける」
「フッ素を使えば、臨界pHが5.5から4.5になって歯が溶けなくなる」
と考えるのは、少し単純化しすぎです。
今回は、歯の表面で毎日起きている「脱灰」と「再石灰化」、そしてフッ化物がどのようにむし歯予防に働いているのかを、研究をもとにできるだけ分かりやすく解説します。
そもそも「脱灰」とは?
歯の表面を覆うエナメル質は、主にハイドロキシアパタイトと呼ばれるカルシウムとリン酸からできた結晶で構成されています。
食事や間食などで糖質がお口の中に入ると、歯垢(プラーク)の中にいる細菌が糖を利用して酸をつくります。
するとプラークのpHが低下し、歯の周囲が酸性になります。
酸性の状態が強くなると、エナメル質から
カルシウム
+
リン酸などのミネラルが外へ溶け出しやすくなります。
これが「脱灰(だっかい)」です。
一方、唾液によってpHが回復すると、唾液中のカルシウムやリン酸が再び歯の表面に戻っていきます。
これを「再石灰化」といいます。
つまり、健康な歯の表面でも、
脱灰 ⇄ 再石灰化
は毎日のように繰り返されています。
むし歯は、一度酸にさらされたから突然できるというよりも、長い期間にわたって「脱灰する量」が「再石灰化する量」を上回った結果として進行していくと考えると分かりやすいでしょう。

「pH5.5になると歯が溶ける」は本当?
歯科では、エナメル質の「臨界pH」として、
pH5.5前後
という数字がよく使われます。
そのため、
「pH5.5以下になると歯が溶ける」
と説明されることがあります。
患者さんに仕組みをイメージしていただくには便利な数字ですが、実は臨界pHは5.5という固定された数字ではありません。
Dawesによる臨界pHについての解説では、歯が溶けるかどうかはpHだけではなく、歯の周囲に存在するカルシウムとリン酸の濃度にも大きく左右されることが指摘されています。
つまり、
pH5.5=歯が溶け始めるスイッチ
ではありません。
より正確には、
一般的なお口の環境では、pH5.5前後より酸性になるとエナメル質からミネラルが失われる「脱灰」が起こりやすくなる
という意味になります。
なぜpHが下がると歯が溶けやすくなるの?
エナメル質をつくるハイドロキシアパタイトは、
カルシウム・リン酸・水酸基
などからできています。
pHが下がって水素イオン(H⁺)が増えると、歯の周囲にあるリン酸などの状態が変化し、ハイドロキシアパタイトを安定して維持しにくくなります。
すると、
エナメル質 → カルシウムやリン酸が溶液中へ
という方向へ反応が進みやすくなります。
反対に、唾液によってpHが上がり、カルシウムやリン酸が十分に存在している環境になると、
カルシウム・リン酸 → 歯の結晶へ
という再石灰化の方向へ進みやすくなります。
ですから、歯を守るうえではpHだけを見るのではなく、唾液やカルシウム、リン酸なども非常に重要なのです。
食事をするとpHはどう変化する?
糖質を摂取すると、歯垢の中の細菌が酸を産生するため、プラークのpHは短時間で低下します。
その後、唾液による
洗浄作用
+
緩衝作用によって、少しずつ元のpHへ戻っていきます。
この食後のpH変化は、一般に「ステファンカーブ(Stephan curve)」として知られています。

つまり食事のたびに、
食べる
→ pHが下がる
→ 脱灰しやすくなる
→ 唾液によってpHが戻る
→ 再石灰化するというサイクルが起こっています。
ここからも、むし歯予防では単純な「砂糖の総量」だけでなく、食べる回数や間食の頻度も重要であることが分かります。
ダラダラと食べたり、甘い飲み物を何度も飲んだりすると、pHが回復する前に次の酸性化が起こり、脱灰している時間が長くなってしまいます。
では、フッ素はどこで働くのでしょうか?
ここで重要になるのがフッ化物(フッ素)です。
以前は、
「フッ素が歯に取り込まれて、歯そのものを強い物質へ変える」
という説明が中心でした。
もちろん歯の結晶中にフッ化物が取り込まれることもありますが、現在では、むし歯予防におけるフッ化物の主な働きは歯が生えた後のお口の中での局所作用だと考えられています。

非常に低い濃度のフッ化物が歯・唾液・プラークの周囲に存在することで、
酸性になったときの脱灰を抑える
そして、
pHが回復したときの再石灰化を促進する
という作用があります。
フッ素があると「pH5.5から4.5になる」?
インターネットなどでは、
「普通の歯はpH5.5で溶けるけれど、フッ素を使うとpH4.5まで溶けなくなる」
という説明を見かけることがあります。
これはフッ化物の働きを理解するための簡略化された説明として使われていますが、厳密には注意が必要です。
フッ化物を使ったからといって、エナメル質全体が完全なフルオロアパタイトへ変化し、
「pH4.5までは絶対に脱灰しない」
ということではありません。
酸性になると、元々のエナメル質を構成するミネラルは脱灰する方向へ動きます。
しかし、そこに少量のフッ化物が存在すると、
ミネラルが溶け出しにくくなる
+
溶け出したカルシウムやリン酸が再び歯へ戻りやすくなるため、結果として正味のミネラル喪失量を減らすことができます。
フッ化物のむし歯予防作用を研究してきたten Cateらも、低濃度のフッ化物が脱灰を抑え、再石灰化を促進することが重要だと説明しています。
フッ素は「歯をコーティングしている」わけではありません
これも患者さんからよく聞かれるところです。
フッ化物配合歯磨剤を使うと、
「フッ素の膜が歯を覆って、酸から守っている」
ように感じるかもしれません。
実際の作用はもう少し複雑です。
歯の周囲に少量のフッ化物があると、酸によってハイドロキシアパタイトが溶解しようとする過程を抑えます。
さらにpHが回復すると、カルシウムやリン酸が再び結晶として沈着する際にフッ化物が作用し、より酸に抵抗性のあるミネラルが形成されやすくなります。
つまりフッ化物は、
「一度塗って永久に歯を守るコーティング」
ではなく、
毎日繰り返される脱灰と再石灰化のバランスを、歯を守る方向へ少しずつ動かしている
と考える方が適切です。
初期むし歯が「再石灰化」するのはなぜ?
まだ穴があいていない初期のむし歯では、エナメル質内部からミネラルが失われていても、すべての結晶構造がなくなったわけではありません。
そこへ、
カルシウム
+
リン酸
+
少量のフッ化物が存在すると、残っている結晶を足場としてミネラルが戻っていくことがあります。
これが初期むし歯の再石灰化です。
フッ化物はこの過程を促進します。
そのため、穴があいてしまったむし歯をフッ素だけで元通りにできるわけではありませんが、まだ実質欠損を起こしていない初期病変では、適切なプラークコントロールや食生活の改善、フッ化物の利用などによって進行を抑えたり再石灰化を促したりできる場合があります。
なぜフッ素入り歯磨き粉は「毎日」使うことが大切なの?
フッ化物の働きを考えると、この理由も分かりやすくなります。
重要なのは、
一度に大量のフッ化物を歯の中へ入れること
ではなく、
日常的に少量のフッ化物がお口の中に存在する環境をつくること
です。
研究では、1 ppmを下回るような非常に低い濃度のフッ化物であっても、歯の脱灰・再石灰化のバランスに影響を与えることが知られています。
だからこそ、
毎日の歯みがきでフッ化物配合歯磨剤を使用する
ことに意味があります。
歯の根元はエナメル質より酸に弱い
ここも重要なポイントです。
歯ぐきが下がると、これまで歯ぐきに覆われていた歯根面が露出してくることがあります。
歯根部の象牙質は、エナメル質よりミネラル量が少なく、酸に対する抵抗性も低いため、エナメル質より高いpHから脱灰しやすいとされています。
研究では根面象牙質の臨界pHは、おおむねpH6.2〜6.4前後とされており、エナメル質でよく使われるpH5.5よりも高い値です。

つまり、
「まだpH5.5より高いから大丈夫」
とは限りません。
歯肉退縮がある方、高齢の方、唾液が少ない方などでは、根面むし歯への対策としてもフッ化物の利用が重要になります。
大切なのは「pH5.5」という数字だけではありません
むし歯予防というと、
「pH5.5を下回らないようにする」
というイメージを持たれることがあります。
しかし実際には、お口の中では食事をするたびにpHは変化します。
大切なのは、
酸性になることを完全になくすことではなく、脱灰している時間を必要以上に長くしないこと
そして、
再石灰化できる環境をつくること
です。
そのためには、
フッ化物配合歯磨剤を適切に使用すること、間食の回数を整えること、プラークを適切に除去すること、唾液が働ける時間をつくること
などを組み合わせることが重要です。
まとめ|フッ素は「pH4.5まで絶対に歯を溶かさないもの」ではありません
今回のポイントをまとめると、
- エナメル質は一般にpH5.5前後より酸性になると脱灰しやすくなる
- ただし臨界pHは固定値ではなく、カルシウムやリン酸など周囲の環境によって変化する
- 歯では毎日、脱灰と再石灰化が繰り返されている
- フッ化物は、脱灰を抑え、再石灰化を促進する
- 「フッ素を使えば臨界pHが5.5から4.5になり、それまでは全く溶けない」という説明は単純化しすぎ
- フッ化物は一度歯をコーティングするものではなく、日常的に低濃度で存在することが重要
- 歯根面はエナメル質より酸に弱く、より高いpHから脱灰しやすい
ということになります。
フッ化物は、むし歯を100%防いでくれるものではありません。
しかし、毎日の食事によって繰り返される「脱灰と再石灰化のバランス」を歯を守る側へ動かすという意味で、むし歯予防において非常に重要な役割を持っています。
西長住まつなが歯科では、患者さんのお口の状態や年齢、むし歯のリスクに合わせて、歯磨剤の選び方やフッ化物の使い方についてもご案内しています😊
「どの歯磨き粉を選べばいい?」
「子どものフッ素濃度は何ppmがいい?」
「歯ぐきが下がって根元のむし歯が心配」など、気になることがございましたらお気軽にご相談ください🦷✨
西長住まつなが歯科
福岡市南区西長住
歯科・小児歯科・口腔外科
📍マルキョウ桧原店前/駐車場3台
📞092-984-5987※本記事は一般的な歯科医学情報をお伝えするものです。むし歯のリスクや適切なフッ化物の使用方法は、年齢・歯の状態・唾液量・生活習慣などによって異なります。個別の状態については歯科医院でご相談ください。
参考文献
- Dawes C. What is the critical pH and why does a tooth dissolve in acid? J Can Dent Assoc. 2003;69(11):722-724.
- Buzalaf MAR, Pessan JP, Honório HM, ten Cate JM. Mechanisms of action of fluoride for caries control. Monogr Oral Sci. 2011;22:97-114. doi:10.1159/000325151.
- ten Cate JM. Contemporary perspective on the use of fluoride products in caries prevention. Br Dent J. 2013;214(4):161-167. doi:10.1038/sj.bdj.2013.162.
- Walsh T, Worthington HV, Glenny AM, Marinho VCC, Jeroncic A. Fluoride toothpastes of different concentrations for preventing dental caries. Cochrane Database Syst Rev. 2019;3:CD007868. doi:10.1002/14651858.CD007868.pub3.
- 日本小児歯科学会・日本口腔衛生学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会. フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法について. 4学会合同提言, 2023.
- Damé-Teixeira N, Parolo CCF, Maltz M. Specificities of Caries on Root Surface. Monogr Oral Sci. 2017;26:15-25. doi:10.1159/000479303.
- Cai J, Palamara J, Manton DJ, Burrow MF. Status and progress of treatment methods for root caries in the last decade: a literature review. Aust Dent J. 2018;63(1):34-54. doi:10.1111/adj.12550.
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ブログ2026.09.29
抜歯後2〜3日してから痛みが強くなった?「ドライソケット」とは|原因・症状・予防・治療について
こんにちは😊
福岡市南区西長住の西長住まつなが歯科です🦷歯を抜いたあと、
「抜歯した日はそれほど痛くなかったのに、2〜3日してから急に痛くなってきた」
「痛み止めを飲んでも、抜いたところがズキズキする」
「親知らずを抜いて数日後から、耳の方まで響くように痛い」
このような症状がみられる場合、「ドライソケット(dry socket)」と呼ばれる状態が起きている可能性があります。
ドライソケットは、専門的には「歯槽骨炎(alveolar osteitis)」と呼ばれ、特に下の親知らずを抜歯したあとにみられることがある術後合併症です。
今回は、ドライソケットについて、
- どのような状態なのか
- なぜ起こるのか
- どのような症状が特徴なのか
- タバコとの関係
- 予防するためにできること
- 起こってしまった場合の治療
について、これまでの研究やガイドラインをもとに分かりやすく解説します。
ドライソケットとは?
歯を抜くと、抜いた部分にはまず血液がたまり、「血餅(けっぺい)」と呼ばれる血のかたまりができます。
この血餅は、単に出血が止まった結果できるものではありません。
抜歯後の傷口を覆い、その後、
血餅
↓
新しい組織がつくられる
↓
骨や歯ぐきが治っていくという治癒過程のスタート地点になります。
ところが何らかの理由によって、この血餅が十分に形成されなかったり、形成された血餅が早い段階で分解・消失してしまったりすると、抜歯窩の骨が露出した状態になることがあります。
このとき強い痛みを生じる状態が、一般的に「ドライソケット」と呼ばれています。現在の研究では、血餅の分解に関係する線溶(fibrinolysis)が病態に関与すると考えられていますが、原因は一つではなく、外科的侵襲や喫煙、細菌など複数の要因が関係する可能性があります。

ドライソケットの特徴は「数日してから痛みが強くなる」こと
通常の抜歯でも、抜歯後にある程度の痛みが出ることは珍しくありません。
しかし一般的な術後疼痛は、
抜歯当日〜翌日ごろに痛む
↓
その後、少しずつ軽くなっていくという経過をたどることが多いです。
一方、ドライソケットでは、
抜歯して24〜72時間ほど経過してから痛みが強くなる
という経過が特徴的です。

SDCEP(Scottish Dental Clinical Effectiveness Programme)でも、抜歯後24〜48時間ごろから始まる疼痛、抜歯窩内の血餅・軟組織の欠如、不快な味や臭いなどが代表的な所見として挙げられています。
このような症状には注意してください
🦷 抜歯して2〜3日後から痛みが強くなってきた
🦷 抜歯した部分がズキズキと強く痛む
🦷 耳やこめかみ付近まで痛みが響く
🦷 痛み止めを飲んでも十分に痛みが治まらない
🦷 抜歯した穴から嫌な味や臭いがする
🦷 抜歯した穴の中に血のかたまりが見えず、骨のようなものが見えるこうした症状がある場合は、我慢せず歯科医院で確認してもらいましょう。
ドライソケットはどれくらいの頻度で起こる?
ドライソケットの発生率は、抜歯する歯や抜歯の難易度などによって大きく異なります。
Cochraneレビューでは、通常の抜歯ではおおむね1〜5%程度、外科的な第三大臼歯抜歯ではさらに高くなることが報告されています。
特に注意したいのが、**下顎の埋伏智歯、いわゆる「下の親知らず」**です。
2024年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、28研究・41,859本の下顎埋伏智歯抜歯を解析したところ、ドライソケットの発生率は、
約6.7%
と推定されました。
ただし研究によるばらつきが大きいため、すべての親知らずで6.7%起こるという意味ではありません。
したがって、
「抜歯をすると必ず一定の割合で起こる」
というよりも、
抜歯する歯の位置・難易度・患者さん側の条件などによってリスクが変わる
と考える方が適切です。
なぜドライソケットになるの?
ドライソケットについて、
「うがいをして血のかたまりが取れたから起こる」
と説明されることがあります。
もちろん抜歯直後の血餅を安定させることは大切ですが、実際の病態はもう少し複雑です。
現在有力と考えられているのが、**血餅の「線溶」**です。
線溶とは、いったん形成された血餅を体内で分解していく仕組みです。
抜歯による局所の組織損傷などによって線溶活性が高まり、血餅が予定より早く分解されることで、骨表面が露出し、ドライソケットにつながるという考え方があります。
ただし、現在でもドライソケットの原因が完全に解明されているわけではありません。
そのため、
「血餅が取れた=必ずドライソケットになる」
あるいは、
「患者さんが何かしてしまったから起こった」
と単純に考えることはできません。
喫煙はドライソケットの重要なリスク因子です
ドライソケットについて比較的はっきりした関連が示されているものの一つが、喫煙です🚬
2022年のシステマティックレビューでは、11研究を解析した結果、
喫煙者:約13.2%
非喫煙者:約3.8%にドライソケットがみられ、喫煙者では非喫煙者と比較してドライソケットになるオッズが3倍以上でした。
ただし研究によって抜歯した歯や患者背景が異なるため、この数字がすべての抜歯にそのまま当てはまるわけではありません。
喫煙では、
- ニコチンによる血流への影響
- 創傷治癒への影響
- 煙による局所への刺激
- 喫煙時の吸引動作
など複数の要因が関係している可能性があります。
そのため、特に親知らずなどの外科的抜歯を行った場合には、術後の喫煙を控えることが重要です。
「女性だから起こりやすい」とは単純には言えません
以前から、ドライソケットは女性に多いと言われることがあります。
しかし現在は、性別だけで単純に説明するのは適切ではありません。
2022年のシステマティックレビュー・メタ解析では、経口避妊薬を使用している女性では、使用していない女性と比較してドライソケットのリスクが高くなる可能性が示されています。
一方、経口避妊薬を使用していない女性と男性との比較では、性別そのものによる明確な差は確認されませんでした。
このため、
「女性だからドライソケットになりやすい」
と説明するよりも、経口避妊薬などを含む複数の因子を考える必要があります。
ドライソケットを防ぐためにできることは?
ドライソケットを100%予防する方法はありません。
ただし、抜歯後の傷口をできるだけ安定した状態に保つことは大切です。

① 抜歯当日は強いうがいをしない
抜歯直後は血餅がまだ安定していません。
口の中に血の味がすると気になって何度もうがいをしたくなるかもしれませんが、強いうがいを何度も行うことは避けましょう。
SDCEPでも、抜歯当日のうがいは避け、その後は口腔内を清潔に保つことが勧められています。
唾液に少量の血が混ざる程度であれば、抜歯後にはよくみられます。
② タバコを控える
先ほどご紹介したように、喫煙はドライソケットとの関連が比較的強く示されています。
少なくとも抜歯直後は禁煙し、傷口が安定するまでできるだけ喫煙を控えることが望まれます。
③ 傷口を舌や指で触らない
抜歯した部分が気になっても、
舌で何度も触る
指で触る
器具のようなもので確認するといったことは避けましょう。
血餅や治癒途中の組織を刺激してしまう可能性があります。
④ お口の中を不潔にしない
「抜いたところを触るのが怖いから」といって、すべての歯みがきをやめる必要はありません。
抜歯した部分には注意しながら、その他の歯については通常どおり清潔に保つことが大切です。
抜歯部位周辺の清掃方法については、抜歯の内容によって異なりますので、担当の歯科医師・歯科衛生士の指示に従ってください。
クロルヘキシジンはドライソケットを減らす?
海外では、クロルヘキシジンを用いた予防について比較的多く研究されています。
2022年のCochraneレビューでは、49試験・6,771人を対象に解析し、0.12〜0.2%クロルヘキシジンによる洗口や0.2%クロルヘキシジンゲルによってドライソケットの発生を減らせる可能性があり、エビデンスの確実性は「中等度」と評価されています。
ただし、これは主に海外の製剤・使用方法についての研究です。
日本で使用されている洗口剤とは濃度や製剤、使用方法が異なる場合があるため、海外の研究結果をそのまま当てはめることはできません。
市販の洗口剤を自己判断で抜歯窩に使用することはせず、担当医の指示に従いましょう。
ドライソケットになったら、抗生物質を飲めば治る?
ここは誤解されやすいポイントです。
ドライソケット=細菌感染
というわけではありません。
そのため、
ドライソケットだから抗菌薬を飲めば治る
とも限りません。
SDCEPでは、ドライソケットに対して、感染が広がっている所見や全身感染の徴候などがなければ、抗菌薬を routinely 使用しないことを推奨しています。
もちろん、
- 発熱
- 顔まで広がるような腫れ
- 排膿
- 強い開口障害
- 全身状態の悪化
などを伴う場合には、ドライソケットだけではなく術後感染が起きていないか確認する必要があります。
ドライソケットの治療は何をする?
ドライソケットの治療で大切なのは、
「抜歯窩を無理に治そうとする」というより、強い痛みをコントロールしながら自然な治癒をサポートすること
です。
症状や抜歯窩の状態に応じて、
① 抜歯窩を洗浄する
食べ物などが抜歯窩に入り込んでいる場合には、生理食塩水などを用いてやさしく洗浄することがあります。
② 痛みを和らげる処置を行う
必要に応じて、抜歯窩に鎮痛目的の材料を使用したり、強い痛みがある場合には局所麻酔を使用したりすることがあります。
SDCEPでも、生理食塩水による洗浄や適切なドレッシング材などが治療方法として挙げられています。
③ 鎮痛薬を使用する
抜歯後の急性疼痛について、ADAのガイドラインでは、使用できる患者さんではNSAIDsを単独、またはアセトアミノフェンと組み合わせる方法が第一選択とされています。
ただし、鎮痛薬には腎疾患・胃腸障害・喘息・妊娠・服用中のお薬などによって使用できない場合があります。
市販薬を含め、自己判断で量を増やさず、歯科医師・医師・薬剤師の指示に従ってください。
強く掻き出せば早く治る?
ドライソケットになると、
「血が出るまで抜歯した穴をもう一度削った方がいいのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし現在、抜歯窩を強く掻爬することがドライソケットの標準治療というわけではありません。
さらなる組織損傷につながる可能性もあるため、状態に応じてまず洗浄や疼痛管理を行い、自然な治癒を促す考え方が一般的です。ドライソケットの治療については研究自体がまだ少なく、Cochraneレビューでも多くの治療法について十分なエビデンスがないことが指摘されています。
ドライソケットは「自分のせい」とは限りません
抜歯後にドライソケットになると、
「うがいをしたからかな?」
「ご飯を食べたからかな?」
「自分の過ごし方が悪かったのかな?」
と心配される方がいらっしゃいます。
しかし、ドライソケットは複数の要因が関係して起こる術後合併症です。
現在でも原因が完全に解明されているわけではなく、術後の注意事項をきちんと守っていても起こることがあります。
必要以上にご自身を責める必要はありません。
大切なのは、症状が出たときに無理に我慢せず、歯科医院で状態を確認してもらうことです。
抜歯後、こんなときは早めにご相談ください
特に、
「日に日に痛みが軽くなる」のではなく、「2〜3日してから痛みが強くなってきた」
という場合は、一度抜歯窩を確認した方がよいことがあります。
また、
🔴 痛みがどんどん強くなる
🔴 痛み止めがほとんど効かない
🔴 顔まで大きく腫れてきた
🔴 発熱がある
🔴 膿が出ている
🔴 飲み込みにくい
🔴 口がほとんど開かないといった症状がある場合は、ドライソケットだけではなく感染など別の問題が生じている可能性もあるため、早めに歯科医院へご相談ください。
まとめ|抜歯後2〜3日して痛みが強くなったら要注意
今回は、抜歯後に起こることがあるドライソケットについて解説しました。
ポイントをまとめると、
✅ ドライソケットは、抜歯窩の血餅が十分に維持されず骨面が露出して強い痛みが生じる状態
✅ 抜歯直後よりも、24〜72時間程度してから痛みが強くなることが特徴
✅ 特に下顎の親知らずの抜歯後に起こりやすい
✅ 喫煙は比較的明確なリスク因子
✅ 単純な細菌感染とは異なり、抗菌薬が必ず必要なわけではない
✅ 治療では、抜歯窩の洗浄や疼痛管理を行いながら治癒を待つことが基本
となります。
抜歯後の痛みそのものは珍しいことではありません。
しかし、
「最初よりも痛みが強くなってきた」
「数日たってから急にズキズキし始めた」という場合には、通常の抜歯後疼痛とは経過が異なる可能性があります。
西長住まつなが歯科では、抜歯後の経過についても確認していますので、気になる症状がございましたらお気軽にご相談ください😊
西長住まつなが歯科
福岡市南区西長住
歯科・小児歯科・口腔外科西長住・長住・長丘・樋井川・桧原・油山周辺で、親知らずの抜歯や抜歯後の痛みについてお困りの方はお気軽にご相談ください🦷
📍マルキョウ桧原店前
🚗駐車場3台
📞092-984-5987※本記事は一般的な歯科医学情報をお伝えするものであり、個々の症状の診断を行うものではありません。抜歯後の強い痛みや腫れがある場合には、実際に口腔内を診察したうえでの判断が必要です。
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ブログ2026.09.28
心臓病があっても歯科治療や抜歯はできる?麻酔・血液をサラサラにする薬・感染性心内膜炎について解説
こんにちは。
福岡市南区西長住の西長住まつなが歯科です🦷歯科医院の問診票で、
「心臓の病気はありますか?」
「心臓の手術を受けたことはありますか?」
「血液をサラサラにする薬を飲んでいますか?」
と聞かれたことがある方もいらっしゃると思います。
心臓病のある患者さまからは、
「心臓が悪くても歯を抜けるの?」
「歯医者の麻酔に入っているアドレナリンは大丈夫?」
「血液をサラサラにする薬は抜歯前に止めるの?」
「人工弁があると抗生物質が必要なの?」
といったご質問をいただくことがあります。
結論からいうと、
心臓病があるからといって、歯科治療や抜歯ができないわけではありません。
ただし、
- 狭心症・心筋梗塞
- 心不全
- 心房細動などの不整脈
- 弁膜症
- 人工弁
- ペースメーカー・ICD
- 冠動脈ステント
など、心疾患の種類によって歯科治療で注意するポイントは異なります。
今回は、心疾患のある患者さまの歯科治療について、現在の日本のガイドラインをもとに分かりやすく解説します。
心臓病があっても歯科治療はできる?
心疾患があっても、病状が安定していれば多くの場合、
- むし歯治療
- 歯周病治療
- 根管治療
- 抜歯
- 入れ歯治療
などの歯科治療を受けることができます。
大切なのは、
「心臓病があるかどうか」だけではなく、「現在の状態が安定しているか」
ということです。
例えば、
「最近胸が痛くなるようになった」
「少し歩いただけで息苦しい」
「横になると息が苦しい」
「動悸が急に増えた」
「最近心筋梗塞を起こした」
といった場合には、通常の予定された歯科治療よりも、まず循環器内科で心臓の状態を確認した方がよいことがあります。

狭心症・心筋梗塞のある方の歯科治療
狭心症や心筋梗塞などは、心臓の筋肉へ十分な血液や酸素が届かなくなる病気です。
歯科治療では、
- 痛み
- 緊張
- 恐怖
- アドレナリンを含む局所麻酔
などによって、心拍数や血圧が上昇することがあります。
そのため、心臓にかかる負担をできるだけ小さくしながら治療することが重要です。
日本歯科麻酔学会では、最近になって胸痛・息切れ・動悸などが出てきた場合や、心筋梗塞後の早い時期などには、循環器内科との連携を重視しています。
特に心筋梗塞後60日以内で緊急の歯科治療が必要な場合には、循環器内科と連携できる医療機関での治療を検討します。
ただし、
「61日たてば必ず通常どおり治療できる」という意味ではありません。
その後の心機能や症状、ステント治療、服用している薬などを確認して判断します。
歯科の麻酔に入っているアドレナリンは大丈夫?
歯科で使用する局所麻酔には、
アドレナリン
が含まれているものがあります。
アドレナリンには、
- 麻酔を長く効かせる
- 出血を抑える
- 麻酔薬が急激に全身へ移行するのを抑える
といった役割があります。
一方で、
心拍数や血圧を上げる作用
もあります。
そのため、
「心臓病だからアドレナリン入りの麻酔は使えないのでは?」
と心配される方もいらっしゃいます。
しかし、
心臓病=アドレナリン入り局所麻酔が絶対に使えない
というわけではありません。
心疾患の種類や重症度、血圧、脈拍などを確認しながら、必要最小限の量を使用します。
麻酔を減らしすぎて痛みを我慢する方が危険なことも
ここは非常に大切です。
「心臓病だから麻酔をなるべく使わない方が安全」
と思われるかもしれません。
しかし、歯科治療中に強い痛みや恐怖を感じると、体内からアドレナリンなどのストレスホルモンが分泌されます。
その結果、
- 血圧上昇
- 心拍数増加
- 心筋の酸素消費量増加
につながることがあります。
そのため、
必要な局所麻酔を適切に使い、痛みや不安をしっかり抑えること
も心臓への負担を減らすうえで重要です。
日本歯科麻酔学会では、虚血性心疾患患者について、心機能の状態に応じてアドレナリン含有局所麻酔薬の使用量の目安を示しています。
歯科治療では、必要に応じて血圧・脈拍・酸素飽和度などを確認しながら治療を行います。
血液をサラサラにする薬を飲んでいても抜歯できる?
心房細動、心筋梗塞、冠動脈ステント、脳梗塞などの治療や予防のため、
- アスピリン
- クロピドグレル
- ワルファリン
- アピキサバン
- リバーロキサバン
- エドキサバン
- ダビガトラン
などを使用している方がいます。
これらは一般に、
抗血小板薬・抗凝固薬
と呼ばれます。
「血液をサラサラにする薬」と説明されることもあります。
以前は、
「抜歯の前には薬を止める」
と考えられることもありました。
しかし現在では、
薬を止めることで脳梗塞・心筋梗塞・ステント血栓症などが起こる危険性
も非常に重要と考えられています。

抜歯前に薬を自己判断で止めないでください
2025年版「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン」では、
例えばワルファリンを使用している患者さまでは、
PT-INRが3以下であれば、原則としてワルファリンを中止せずに抜歯する
ことが推奨されています。
抜歯後には、
- ガーゼ圧迫
- 縫合
- 局所止血材
などを使用し、局所でしっかり止血します。
DOACと呼ばれる新しいタイプの抗凝固薬についても、普通抜歯などでは継続したまま処置できることがあります。
ただし、薬の種類、服用時間、抜歯の難易度、腎機能などによって対応は変わります。
最も重要なのは、
患者さま自身の判断で薬を中止しないこと
です。
薬を止める必要がある場合には、歯科医師と循環器内科などの主治医が相談して判断します。
人工弁がある方では「感染性心内膜炎」に注意します
心臓病と歯科治療の関係で、非常に重要なのが
感染性心内膜炎(IE)
です。
感染性心内膜炎とは、血液中に入った細菌などが心臓の弁や心内膜に付着し、感染を起こす病気です。
重症化すると、
- 心不全
- 脳梗塞
- 全身への塞栓
- 敗血症
などを起こす可能性があります。
日本のデータでも、感染性心内膜炎は決して軽い病気ではありません。

どうして歯科治療と感染性心内膜炎が関係するの?
お口の中には非常に多くの細菌が存在しています。
抜歯や歯周外科、スケーリングなどによって歯ぐきから出血すると、一時的に口腔内細菌が血液中へ入ることがあります。
これを
菌血症
といいます。
多くの健康な方では大きな問題になりません。
しかし、人工弁など特定の心疾患がある方では、その細菌が心臓の弁などへ付着し、感染性心内膜炎につながる可能性があります。
そのため、特定の心疾患患者では歯科処置前に予防的抗菌薬を使用します。
どんな心臓病で予防的な抗菌薬が必要?
2026年に改訂された日本循環器学会の感染性心内膜炎診療ガイドラインでは、心疾患をリスクに応じて分類しています。
特に感染性心内膜炎の危険性が高いものとして、
- 人工弁
- TAVIなどの人工弁治療後
- 弁輪リングなど人工物を使用した弁形成後
- 感染性心内膜炎の既往
- 一部の複雑な先天性心疾患
- 左室補助人工心臓
などが挙げられています。
このような方では、侵襲的な歯科治療を行う前に、予防的抗菌薬が推奨されます。
中等度リスクの心疾患もあります
日本の2026年ガイドラインでは、
- 後天性弁膜症
- 大動脈二尖弁
- 一部の先天性心疾患
- 閉塞性肥大型心筋症
- 逆流を伴う僧帽弁逸脱症
などでは、患者さまの状態や処置内容に応じて予防的抗菌薬を考慮します。
ここは海外のガイドラインと少し考え方が異なる部分です。
欧米では予防抗菌薬をかなり高リスクの患者に限定していますが、日本では中等度リスク患者についても、状況に応じて予防投与を考慮する立場になっています。
どんな歯科治療で予防抗菌薬を使う?
予防的抗菌薬が問題になるのは、口腔内細菌が血液中へ入りやすい処置です。
例えば、
- 抜歯
- 歯周外科
- インプラント手術
- 一部の口腔外科処置
- スケーリング
- 感染した根管への処置
などがあります。
一方、
すべてのむし歯治療やすべての根管治療で抗菌薬が必要になるわけではありません。
予防抗菌薬はどのように飲む?
日本の2026年版ガイドラインでは、成人で経口投与が可能で、ペニシリン系抗菌薬へのアレルギーがない場合、
アモキシシリン2gを歯科処置の1時間前に1回
という方法が標準的な予防投与として示されています。
ただし、
「心臓病があるから全員抗生物質を飲む」
という意味ではありません。
心疾患の種類と歯科処置の内容を確認して判断します。
予防抗菌薬より毎日の口腔管理も大切です
感染性心内膜炎というと、
「抜歯すると菌が血液に入る」
というイメージが強いかもしれません。
しかし実際には、
歯磨きや食事など日常生活でも、一時的な菌血症が起こる
ことがあります。
特に歯周病があると、日常的な菌血症の機会が増える可能性があります。
そのため、
予防的抗菌薬だけに頼るのではなく、普段からむし歯や歯周病を治療し、お口の中を清潔に保つこと
が非常に重要です。
人工弁などを使用している方こそ、症状が出てから歯科医院へ行くのではなく、定期的なメインテナンスが大切です。
心臓の手術前に歯科受診を勧められるのはなぜ?
人工弁置換術などの心臓手術を予定している患者さまが、
「手術の前に歯医者へ行ってください」
と言われることがあります。
これは、お口の中に大きな感染源がないか確認するためです。
例えば、
- 重度歯周病
- 大きな根尖病変
- 膿が出ている歯
- 保存困難な歯
などがあれば、全身状態や心臓手術の日程を考慮して治療します。
ただし、
歯科治療をすべて完璧に終わらせるために、必要な心臓手術を大きく延期する
ということではありません。
循環器内科・心臓血管外科と歯科が連携しながら判断します。
心不全がある場合は?
心不全とは、心臓のポンプ機能が低下して、身体が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態です。
病状が安定している場合には、必要な歯科治療を受けることができます。
一方、
- 最近息切れが強くなった
- 横になると苦しい
- 安静にしていても息苦しい
- 足のむくみが急に強くなった
- 数日で体重が増えた
などは、心不全が悪化している可能性があります。
このような場合には、予定していた歯科治療よりも心不全の評価・治療を優先することがあります。
ペースメーカーがあると歯科治療はできない?
ペースメーカーやICD(植込み型除細動器)があっても、通常の歯科治療の多くは可能です。
ただし、一部の歯科用電子機器については、ペースメーカーやICDへの電磁干渉を考慮する必要があります。
現在のペースメーカーは以前より電磁波の影響を受けにくくなっていますが、
「ペースメーカーがある=すべての超音波スケーラーが禁止」
という単純な考え方ではありません。
使用する医療機器やペースメーカーの種類、メーカーの注意事項などを確認して判断します。
特に電気メスなどは注意が必要です。
歯科受診時には、
ペースメーカーやICDを使用していることを必ずお知らせください。
歯科治療中に胸が痛くなったら?
狭心症などのある患者さまでは、治療中に胸痛が出る可能性があります。
その場合には、歯科治療を中止して全身状態を確認します。
特に、
- 強い胸痛
- 冷汗
- 吐き気
- 息苦しさ
- 意識が遠のく
- ニトログリセリンを使用しても改善しない
などの場合には、心筋梗塞などの可能性も考え、救急対応が必要になることがあります。
「歯が痛い」と思ったら心臓が原因のことも?
意外に思われるかもしれませんが、
心臓の痛みが、
- 下顎
- 歯
- 首
- 肩
- 腕
などに広がって感じられることがあります。
例えば、
歩いたり階段を上ったりすると歯や顎が痛くなり、休むと治る
という症状があり、歯科検査では明らかな原因が見つからない場合には、心臓由来の痛みも考える必要があります。
心疾患のある方が歯科医院で伝えてほしいこと
心臓病のある患者さまは、できるだけ詳しく歯科医院へお知らせください。
特に、
- 心臓病の病名
- 心筋梗塞を起こした時期
- 心臓手術を受けた時期
- 人工弁の有無
- 冠動脈ステントの有無
- 感染性心内膜炎の既往
- ペースメーカー・ICDの有無
- 最近の胸痛・息切れ・動悸
- 血液をサラサラにする薬
- ニトログリセリンの処方
- 循環器内科の主治医
などです。
お薬手帳や心臓の治療歴が分かるものをご持参いただくと、より安全に治療を進めやすくなります。
心臓病だから歯科治療を避ける、ではありません
今回最もお伝えしたいことは、
「心臓病がある=歯科治療や抜歯ができない」わけではない
ということです。
大切なのは、
現在の心臓の状態を確認すること
使用している薬を確認すること
局所麻酔や治療中のストレスに配慮すること
必要な場合には感染性心内膜炎を予防すること
です。
また、
血液をサラサラにする薬を自己判断で中止しないこと
も非常に重要です。
むし歯や歯周病を長期間放置して感染が大きくなると、結果としてより侵襲の大きな歯科治療が必要になることがあります。
心疾患のある方こそ、症状が出てから治療するだけではなく、日頃から定期的にお口の状態を確認しておくことが大切です。
西長住まつなが歯科では、心疾患のある患者さまについても、
- 病名
- 心臓の状態
- 服用している薬
- 手術歴
- 人工弁やペースメーカーの有無
などを確認しながら治療方針を検討します。
必要に応じて、循環器内科や心臓血管外科の主治医と情報共有しながら治療を進めます。
「心臓病があるけど抜歯して大丈夫?」
「血液をサラサラにする薬を飲んでいる」
「人工弁がある」
「ペースメーカーが入っている」
「歯科の麻酔が心配」
など、ご不安なことがございましたらお気軽にご相談ください😊
福岡市南区西長住をはじめ、桧原・樋井川・長住・長丘・油山周辺で歯科医院をお探しの方も、お気軽にご相談ください。
西長住まつなが歯科
📍福岡市南区西長住
📍マルキョウ桧原店前
🚗駐車場3台完備参考資料
- 日本循環器学会「2026年改訂版 感染性心内膜炎診療ガイドライン」
- 日本有病者歯科医療学会ほか「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン2025」
- 日本歯科麻酔学会「虚血性心疾患患者に対する安全な歯科治療に関するステートメント」
- 日本循環器学会・日本心不全学会「心不全診療ガイドライン2025」
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ブログ2026.09.27
人工透析中でも歯科治療や抜歯はできる?治療日・出血・薬の注意点を解説
こんにちは。
福岡市南区西長住の西長住まつなが歯科です🦷歯科医院の問診票で、
「人工透析を受けていますか?」
「透析は何曜日ですか?」
「シャントはどちらの腕にありますか?」
と聞かれたことがある方もいらっしゃると思います。
人工透析を受けている患者さまからは、
「透析をしていても歯を抜けるの?」
「透析の日に歯医者へ行っても大丈夫?」
「血が止まりにくいって本当?」
「抗生物質や痛み止めは普通に飲んでいいの?」
といったご質問をいただくことがあります。
結論からいうと、
人工透析を受けているからといって、歯科治療や抜歯ができないわけではありません。
ただし、血液透析を受けている方では、透析時に使用する抗凝固薬、出血のしやすさ、貧血、血圧、シャント、薬の排泄などについて、通常の歯科治療以上に注意する必要があります。
今回は、人工透析、特に血液透析(HD)を受けている患者さまの歯科治療について、現在の研究や日本の抗菌薬適正使用の考え方をもとに分かりやすく解説します。
人工透析とは?
腎臓には、血液中の老廃物や余分な水分を取り除き、体内の水分・電解質などを調整する働きがあります。
腎機能が高度に低下すると、腎臓だけでは十分に血液をきれいにできなくなるため、人工的にその働きを補う治療が必要になることがあります。
代表的なのが、
血液透析(HD)
と
腹膜透析(PD)
です。
今回の記事では、特に日本で多く行われている血液透析を中心に説明します。
血液透析では、腕に作ったシャントなどから血液を取り出し、透析装置を通して老廃物や余分な水分を除去したあと、血液を体内へ戻します。
人工透析中でも歯科治療はできます
人工透析を受けている方でも、
むし歯治療、歯周病治療、根管治療、入れ歯の治療、抜歯など、必要な歯科治療を行うことができます。
2024年に日本で報告された血液透析患者の普通抜歯に関する研究でも、抗血栓療法を継続した血液透析患者について、適切な管理下で抜歯を行えることが示されています。透析患者群と非透析患者群との間で、抜歯後の出血性合併症に有意な差は認められませんでした。
つまり、
「人工透析をしているから抜歯できない」
というわけではありません。
大切なのは、透析のスケジュールや全身状態、使用している薬などを確認したうえで治療することです。
抜歯などは「透析の翌日」を検討します
血液透析患者さまの歯科治療で非常に重要なのが、
いつ治療するか
ということです。
特に抜歯など出血を伴う予定処置では、一般的に透析当日を避け、透析翌日の非透析日に行うことが検討されます。
これは、血液透析の際に血液が透析回路の中で固まらないよう、ヘパリンなどの抗凝固薬が使用されるためです。
透析直後にはその影響が残っている可能性があるため、抜歯などを行うと出血が止まりにくくなることがあります。
また、透析後には体内の老廃物や電解質の状態も調整されています。
そのため、血液透析患者の歯科治療については、可能であれば透析翌日に行うのが望ましいという考え方が一般的です。
ただし、
「透析当日は一切歯科治療をしてはいけない」
という意味ではありません。
検診や緊急性の高い処置などは、その日の状態や処置内容を確認して判断します。

透析患者さんはなぜ出血に注意するの?
血液透析患者さまで出血に注意する理由は、透析時のヘパリンだけではありません。
腎機能が高度に低下すると、血小板の働きが低下することがあり、さらに腎性貧血を伴っていることもあります。
また透析患者さまは心血管疾患を合併していることも多く、
アスピリン、クロピドグレル、ワルファリンなどの抗血栓薬を使用していることがあります。
そのため抜歯前には、
現在服用している薬や最近の血液検査、貧血の状態、血小板数などを必要に応じて確認します。
ただし、
透析患者=必ず大量出血する
というわけではありません。
日本の2024年の研究では、抜歯後の出血性合併症について、透析そのものより抜歯部位の歯肉炎が強いこととの関連が認められました。
つまり日頃から歯周病や歯ぐきの炎症をコントロールすることも重要です。
血液をサラサラにする薬を自己判断で止めないでください
「抜歯するなら血液をサラサラにする薬を止めた方がいいのでは?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、
抗凝固薬や抗血小板薬を患者さま自身の判断で中止することは避けてください。
薬を中断することによって、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが上がる場合があります。
抜歯などが必要な場合には、現在使用している薬を確認し、必要に応じて透析施設や医科の主治医と情報共有しながら判断します。
歯科医院を受診するときには、お薬手帳をご持参ください。
シャントのある腕で血圧を測ってはいけません
血液透析では、透析を行うために腕の動脈と静脈をつないで、
内シャント
を作っている方が多くいらっしゃいます。
このシャントは、透析治療を続けるために非常に重要な血管です。
国立循環器病研究センターでは、シャントを守るため、
シャント側の腕では血圧測定をしない
シャント側から採血をしない
シャントを圧迫しない
ことを案内しています。
これは歯科医院でも同じです。
治療前に血圧を測定する場合には、
シャントがない方の腕
で測定します。
そのため歯科医院を受診した際には、
「右腕にシャントがあります」
「左腕がシャントです」
とスタッフへお伝えください。

透析患者さんでは抗生物質の量が変わることがあります
人工透析患者さまの歯科治療で、非常に重要なのが薬の量です。
薬の中には腎臓から体外へ排泄されるものがあります。
腎機能が高度に低下している場合、通常と同じ量を使用すると薬が体内に蓄積してしまう可能性があります。
そのため、
「歯医者からもらう薬だから透析とは関係ない」
というわけではありません。
アモキシシリンも透析患者では投与方法が変わります
2026年に厚生労働省から公表された
「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 歯科編」
では、透析患者を含む腎機能低下患者に対する抗菌薬の投与方法が示されています。
例えば歯性感染症でよく使用される
アモキシシリン
の場合、一般的な成人では1日複数回使用します。
一方、腎機能が高度に低下している場合や透析患者では、治療目的の場合、
1回250〜500mgを1日1回
とすることが示されています。
さらに血液透析を行った日は、
透析終了後に投与
します。
つまり同じ薬でも、透析の有無によって投与回数やタイミングが変わることがあります。
すべての抗菌薬で量を減らすわけではありません
薬によって腎臓からの排泄のされ方は異なります。
例えば厚生労働省の歯科編では、クリンダマイシンについては、腎機能低下患者でも通常は投与量・投与間隔の調整を必要としないとされています。
したがって、
「透析患者だから抗生物質を半分にする」
と一律に決めることはできません。
薬の種類ごとに適切な用量を判断します。
透析患者なら必ず抗生物質を飲む?
これもよくある誤解です。
透析患者さまでは、全身状態や処置内容によって術後感染に注意する必要があります。
厚生労働省の2026年版「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 歯科編」でも、透析患者は抜歯などにおける全身的な感染リスク因子の一つとして挙げられています。
しかし、
透析をしているから、すべての歯科治療で必ず抗菌薬が必要
という意味ではありません。
抜歯の難易度、手術侵襲、感染の有無、全身状態などを確認して判断します。
また、抗菌薬を使用する場合でも、必要以上に長く使用するのではなく、適切な量・期間で使用することが重要です。
歯の感染は抗生物質だけでは治せないことがあります
透析患者さまでは感染を心配して、
「とりあえず抗生物質を飲んでおけば安心」
と思われるかもしれません。
しかし歯の感染では、
抗菌薬だけで原因を取り除くことができない場合があります。
歯の根の中が感染している場合には根管治療、膿がたまっている場合には切開・排膿、保存困難な歯では抜歯など、
感染源そのものに対する治療
が必要です。
厚生労働省の歯科抗菌薬適正使用の手引きでも、歯性感染症では感染根管治療や膿瘍切開、抜歯などの局所処置が基本とされています。
透析患者さまだからこそ、感染が大きくなるまで我慢せず、早めに治療することが大切です。
痛み止めにも注意が必要です
抜歯や歯科治療後には痛み止めを使用することがあります。
一般的な歯科治療では、
ロキソプロフェン(ロキソニン)
などのNSAIDsが使用されることがあります。
しかし腎機能が低下している患者さまでは、NSAIDsの使用には注意が必要です。
日本腎臓学会のCKD診療ガイドラインでは、CKD患者への短期の鎮痛薬として、アセトアミノフェンはNSAIDsより安全である可能性があり、使用が推奨されています。
透析患者さまでは、
出血傾向、胃腸障害、心血管疾患、血圧などについても考慮する必要があります。
そのため歯科でも、
アセトアミノフェンを中心に検討することがあります。
ただしアセトアミノフェンにも使用上の注意があり、肝機能や他の服薬なども含めて患者さまごとに判断します。
家にあるロキソニンを自己判断で飲まないでください
歯が急に痛くなったとき、
「以前もらったロキソニンが残っているから飲んでおこう」
と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし人工透析中の方では、
市販薬や以前処方された薬を自己判断で使用することは避けましょう。
透析中であること、現在服用している薬、透析日などを歯科医師へ伝え、適切な薬を選択することが大切です。

歯科の局所麻酔は使える?
人工透析を受けているからといって、
歯科の局所麻酔が使用できないわけではありません。
通常の歯科治療で使用するリドカインなどの局所麻酔を使用することができます。
ただし透析患者さまでは、
高血圧、糖尿病、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全などを合併していることも少なくありません。
そのため、
「透析しているかどうか」だけではなく、全身状態を確認すること
が重要です。
血圧・脈拍などを確認しながら、必要な量の局所麻酔を使用し、できるだけ痛みやストレスを抑えて治療します。
人工透析患者さんではお口の管理も重要です
透析患者さまでは、
口腔乾燥、歯周病、歯の喪失など、さまざまなお口の問題がみられることが報告されています。
そのため、
「悪くなったら歯医者へ行く」
だけではなく、
定期的にお口の状態を確認し、むし歯や歯周病をできるだけ早い段階で治療すること
が重要です。
特に歯周病が重症化して歯が大きく揺れたり、根の先の感染が大きくなったりすると、抜歯などの処置が必要になることがあります。
比較的小さな処置で対応できる段階から治療しておくことが大切です。
透析患者さんでも抜歯後は治ります
「透析をしていると、抜歯した穴が治らないのでは?」
と心配される方もいらっしゃいます。
透析患者では、出血や創傷治癒についてより慎重に経過を確認する必要があります。
研究では、血液透析患者では抜歯後の出血が長引くケースや上皮化が遅れるケースが報告されていますが、適切な局所止血を行うことで管理でき、最終的には抜歯窩の治癒が確認されています。
そのため、
抜歯後も歯科医院で傷の治りや感染の有無を確認する
ことが重要です。
透析中の方が歯科医院で伝えてほしいこと
歯科医院を受診するときには、人工透析を受けていることを必ずお知らせください。
特に重要なのは、
透析を受けている曜日と時間、シャントがどちらの腕にあるか、現在使用している薬
です。
できればお薬手帳をご持参ください。
また、透析施設の名前や主治医、最近の血液検査の内容、抗凝固薬・抗血小板薬の使用、高血圧・糖尿病・心疾患などの持病についても確認することがあります。
抜歯などの外科処置が必要な場合には、必要に応じて透析施設や主治医と情報共有しながら治療を行います。
透析中だからと歯の痛みを我慢しないでください
人工透析を受けている方の歯科治療では、確かに通常より注意することがあります。
しかし、
透析している=歯科治療ができない
という意味ではありません。
大切なのは、
透析日を確認すること
出血リスクを確認すること
シャントを守ること
腎機能に合わせて薬を選ぶこと
です。
むしろ歯の感染や歯周病を長期間放置すると、より大きな処置が必要になる可能性があります。
西長住まつなが歯科では、人工透析を受けている患者さまについても、全身状態や服用している薬、透析スケジュールなどを確認しながら治療方針を検討します。
必要に応じて透析施設や医科の主治医と連携しながら治療を進めます。
「人工透析中だけど抜歯して大丈夫?」
「透析日の前後、いつ歯医者へ行けばいい?」
「シャントがあります」
「歯医者でもらった抗生物質や痛み止めを飲んで大丈夫?」
など、ご不安なことがございましたらお気軽にご相談ください😊
福岡市南区西長住をはじめ、桧原・樋井川・長住・長丘・油山周辺で歯科医院をお探しの方も、お気軽にご相談ください。
西長住まつなが歯科
📍福岡市南区西長住
📍マルキョウ桧原店前
🚗駐車場3台完備参考資料
厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 歯科編」2026年
日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」
国立循環器病研究センター「腎不全・シャントの管理」
日本有病者歯科医療学会「よくあるご質問:人工透析」
青木仁・奥村ひさ「抗血栓療法中の血液透析患者における抜歯時の安全性に関する臨床的検討」2024
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新着情報2026.06.25
🦷プレオルソの取り扱いを開始しました🦷
西長住まつなが歯科では、お子さま向けマウスピース型矯正装置「プレオルソ」の取り扱いを開始しました✨
プレオルソは、成長期のお子さま(目安:3〜12歳)を対象に、お口の状態に応じて使用を検討する装置です。
歯並びや咬み合わせだけでなく、お口の機能や習癖についても確認し、一人ひとりに合わせた治療計画をご提案します。
当院では、装置の使用だけでなく、「あいうべ体操」などの口腔機能トレーニングも組み合わせながらサポートしていきます。
「子どもの歯並びが気になる」
「お口がぽかんと開いていることが多い」
「今のうちに相談してみたい」という方は、お気軽にご相談ください😊
※適応には個人差があり、診察・検査のうえでご案内いたします。
※詳しい内容はInstagramでもご紹介しています📱 -
新着情報2026.06.14
6月14日(日)、15日(月)は定休日のため休診となります🦷💤
ご不便をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします😊
なお、ネット予約は24時間受付しております📱✨
🦷「歯がしみる…」
🦷「歯が痛い…」
🦷「歯石とりを受けたい」
🦷「検診を受けたい」などございましたら、お気軽にご利用ください🌸
福岡市南区西長住
西長住まつなが歯科 🦷✨ -
新着情報2026.05.25
🌿✨【休診日のお知らせ】✨🌿
5月25日(月)は
定休日のため休診となります🦷💤ご不便をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします😊
なお、ネット予約は24時間受付しております📱✨
🦷「歯がしみる…」
🦷「歯が痛い…」
🦷「歯石とりを受けたい」
🦷「検診を受けたい」などございましたら、お気軽にご利用ください🌸
福岡市南区西長住
西長住まつなが歯科 🦷✨ -
新着情報2026.05.18
定休日📢【休診日のお知らせ】
いつも西長住まつなが歯科をご利用いただきありがとうございます😊
5月18日(月)は休診日となっております。
ご不便をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします🦷
なお、WEB予約は24時間受け付けております✨
お気軽にご利用ください。 -
新着情報2026.04.17
はじめまして🎉西長住まつなが歯科のご紹介
2026年4月14日、南区西長住にて「西長住まつなが歯科」を開院いたしました。
当院のブログをご覧いただき、ありがとうございます。当院では、「安心して通い続けられる歯科医院」を目指し、地域の皆さまのお口の健康をサポートしてまいります。
歯科医院というと、「痛い」「怖い」といったイメージをお持ちの方も多いかと思います。
そのような不安を少しでも和らげられるよう、丁寧な説明と、できるだけ負担の少ない治療を心がけています。また、むし歯や歯周病の治療だけでなく、予防やメンテナンスにも力を入れ、長く健康な状態を維持できるようサポートしていきます。
小さなお子さまからご高齢の方まで、ご家族皆さまで安心して通っていただける医院づくりを大切にしています。
今後は、ブログやインスタグラムで歯に関する情報や、医院の取り組みなども発信していく予定です。
どうぞよろしくお願いいたします✨ぜひお気軽にフォローしていただけると嬉しいです🦷
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新着情報2026.04.03
ホームページを公開いたしました
福岡市南区にて新規開院の【西長住まつなが歯科】です。本日、ホームページを公開いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
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ブログ2026.10.02
9月27日にセミナー受講しました
こんにちは。
福岡市南区西長住の西長住まつなが歯科です🦷先日、院長が米国補綴専門医・杉田龍士郎先生による「フルマウス・リハビリテーション ベーシックコース」を受講してきました。
今回が、約半年間にわたる全10回のコースの第1回目です。
このコースでは、複数の歯に問題がある場合や、かみ合わせを含めてお口全体の治療が必要な場合に、どのように診査・診断し、治療計画を立てていくかを学んでいきます。
日々の診療では、1本の歯だけでなく、必要に応じてお口全体を見ながら治療を考えることが大切です。
今回の学びも、今後の診療にしっかり還元していきたいと思います。
これから半年間、継続して学んでいきます。

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ブログ2026.10.02
むし歯は「削る」だけでは治らない?―う蝕をコントロールするという考え方
こんにちは。
福岡市南区西長住の西長住まつなが歯科です🦷「むし歯ができたら、悪いところを削って詰めれば治る」
このようなイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
もちろん、穴が大きくなったむし歯では、歯を削って詰め物や被せ物で修復する治療が必要になることがあります。
しかし現在のむし歯治療では、
「むし歯になった部分を削ること」だけではなく、むし歯が進行する原因そのものをコントロールすること
が非常に重要だと考えられています。
今回は、現在のう蝕学に基づいて、「むし歯をコントロールする治療」について解説します。
むし歯は、突然できるものではありません
むし歯は、
歯の表面にある細菌のかたまり(バイオフィルム)
+糖分
+時間
+唾液やフッ化物などの防御因子のバランスが崩れることで進行していきます。
食事や間食で糖分を摂取すると、歯の表面の細菌が糖を利用して酸を作ります。
すると歯の周囲のpHが低下し、歯からカルシウムやリンなどのミネラルが溶け出します。
これを「脱灰」といいます。
一方で、食事が終わりpHが回復すると、唾液やフッ化物の働きによってミネラルが歯に戻っていきます。
これが「再石灰化」です。
つまり私たちの口の中では毎日、
脱灰 ⇄ 再石灰化
が繰り返されています。

脱灰する時間や回数が増え、再石灰化が追いつかなくなった状態が長く続くと、徐々にむし歯が進行します。
「むし歯菌をなくす」ことが治療ではありません
以前は、
「むし歯菌が歯に感染してむし歯になる」
という説明がよくされていました。
しかし現在では、もう少し複雑な病気であることが分かっています。
むし歯に関連する細菌は、むし歯がない人のお口の中にも存在します。
問題になるのは、糖分を頻繁に摂取することで口の中が繰り返し酸性になり、酸を作りやすく、酸に強い細菌が増えやすい環境になることです。
そのため、
細菌を完全になくすこと
ではなく、
むし歯が進みにくい口腔内環境へ変えていくこと
が重要になります。
むし歯をコントロールする4つのポイント
① バイオフィルムを毎日取り除く
まず重要なのが、歯の表面についた歯垢(プラーク・バイオフィルム)を取り除くことです。
同じ量の糖分を摂取していても、歯の表面に厚いバイオフィルムが残っている場所では酸性の状態が続きやすくなります。
特に、
- 歯と歯の間
- 奥歯の溝
- 歯ぐきの近く
- 被せ物や詰め物の周囲
- 歯並びが重なっているところ
などは磨き残しが起こりやすい場所です。
歯ブラシだけでなく、必要に応じてデンタルフロスや歯間ブラシを使用することも大切です。
歯科医院では、単に「歯を磨いてください」とお伝えするのではなく、どの場所にバイオフィルムが残りやすいのかを確認し、その方に合った清掃方法を考えることが重要です。
② 糖分は「量」だけでなく「回数」に注意する
むし歯というと、
「甘いものをたくさん食べるとむし歯になる」
と思われがちですが、臨床的には食べる回数やタイミングも非常に重要です。
例えば、
- 飴を長時間なめる
- 甘い飲み物を少しずつ飲み続ける
- 砂糖入りのコーヒーを何度も飲む
- 間食を一日中繰り返す
といった習慣では、そのたびに歯の周囲のpHが低下します。
その結果、歯が脱灰する時間が長くなります。

WHOも、食品や飲料に含まれる遊離糖類(free sugars)を減らすことが、むし歯予防に重要としています。WHOは遊離糖類を総摂取エネルギーの10%未満、可能であれば5%未満に抑えることを推奨しています。
大切なのは、
「甘いものは絶対に食べてはいけない」
ということではありません。
一日中だらだら摂取するのではなく、食事や間食の時間をある程度決めることが、むし歯をコントロールするうえで重要です。
③ フッ化物を上手に利用する
むし歯のコントロールにおいて、非常に重要なのが**フッ化物(フッ素)**です。
フッ化物には、
- 歯からミネラルが溶け出す「脱灰」を抑える
- 歯にミネラルが戻る「再石灰化」を促す
- 再石灰化した歯質を酸に強くする
などの働きがあります。
つまり、フッ化物は単に「歯を硬くするもの」ではなく、日々繰り返される脱灰と再石灰化のバランスを再石灰化側へ戻すために重要です。
日本の4学会合同の提言では、6歳以上の子どもから成人・高齢者では、
1400~1500ppmFのフッ化物配合歯磨剤を、就寝前を含め1日2回使用すること
が推奨されています。
歯磨き後は軽く吐き出し、うがいをする場合は少量の水で1回程度とされています。
フッ化物を口の中にある程度残すことで、その効果を得やすくするためです。
④ 唾液が少ない方は特に注意が必要です
唾液にも、むし歯から歯を守る重要な働きがあります。
唾液は、
- 食べ物や糖分を洗い流す
- 酸性になった口の中を中和する
- カルシウムやリンを供給する
- 再石灰化を助ける
など、多くの役割を持っています。
そのため、
- 口が乾きやすい
- 薬を多く服用している
- 唾液の分泌量が少ない
- 頭頸部の放射線治療を受けたことがある
といった方では、むし歯のリスクが高くなることがあります。
このような場合には、一般的なむし歯予防だけでなく、唾液の状態まで考えた管理が必要になることがあります。
初期のむし歯なら「削らずに止められる」ことがあります
むし歯というと、
見つけたらすぐ削る
というイメージがあるかもしれません。
しかし、まだ歯に穴が開いていない初期のう蝕では、必ずしも削って詰める必要はありません。
例えば、
白く濁っているものの、表面にはまだ穴が開いていない初期う蝕
であれば、
- バイオフィルムを取り除く
- 糖分の摂取習慣を改善する
- フッ化物を使用する
- 定期的に状態を確認する
ことで、進行を停止できる可能性があります。
歯は一度削ると元には戻りません。
そのため、削らずにコントロールできる段階で発見することは、歯を長く残すうえで非常に重要です。
奥歯の溝では「シーラント」という方法もあります
奥歯の深い溝は歯ブラシが届きにくく、むし歯が発生しやすい場所です。
まだ穴が開いていない初期の病変では、溝を樹脂などで封鎖するシーラントによって、むし歯の進行を抑える方法があります。
シーラントは、健全な歯を予防する目的だけでなく、初期の小窩裂溝う蝕の進行を抑える方法としても有効であることが示されています。
「むし歯がある=必ず削る」ではありません
ここで大切なのが、むし歯が
今も進行している「活動性病変」なのか、すでに進行が止まっている「非活動性病変」なのか
を考えることです。
例えば、歯の表面に変化があっても、
- 表面が硬い
- 光沢がある
- 汚れがたまりにくい
- 長期間変化していない
病変では、むし歯の進行が停止していることがあります。
一方、
- 表面がザラザラしている
- 白く濁っている
- 歯垢がたまりやすい
- 象牙質が柔らかい
などの場合には活動性が高い可能性があります。
現在のう蝕診療では、単に「黒いからむし歯」「レントゲンに映っているから削る」と判断するのではなく、病変の深さと活動性を評価することが重要とされています。病変を時間をあけて繰り返し評価することも、活動性を判断する重要な方法です。
穴が開いていても「原因のコントロール」は必要です
もちろん、すでに大きな穴が開いていたり、
- 清掃することが難しい
- 食べ物が詰まる
- 歯が欠けている
- 痛みがある
- むし歯が深く進行している
といった場合には、修復治療が必要になることがあります。
しかし、ここでも大切なのは、
「詰めたらむし歯の治療がすべて終了」というわけではない
ということです。
詰め物や被せ物は、失われた歯の形や機能を回復するための治療です。
むし歯を起こした、
糖分・バイオフィルム・フッ化物・唾液などの環境が変わらなければ、別の場所や詰め物の周囲に再びむし歯ができる可能性があります。
そのため修復治療と同時に、
むし歯ができた原因を探し、その原因をコントロールすること
が大切です。
深いむし歯でも「すべて削り取る」とは限りません
さらに現在では、象牙質まで深く進んだむし歯についても考え方が変化しています。
以前は、
「むし歯になった象牙質はすべて硬いところまで取り除く」
という治療が一般的でした。
しかし、深いむし歯でこれを行うと、歯の神経(歯髄)が露出してしまう危険性があります。
2026年に公表されたEFCD・ESE・ORCAの深在性う蝕に関するS3ガイドラインでは、症状がない、または可逆性歯髄炎が疑われる深いむし歯では、歯髄に近い部分の軟化象牙質を意図的に残す**選択的う蝕除去(Selective Caries Removal)**などが推奨されています。これにより、すべてを硬い象牙質まで削る方法と比較して、露髄のリスクを減らせるとされています。
つまり現在は、
「むし歯をどれだけたくさん削ったか」ではなく、「歯髄を守りながら病変をコントロールできたか」
が重要になっています。
むし歯治療のゴールは「削ること」ではありません
現在のむし歯治療をまとめると、
① バイオフィルムをコントロールする
② 糖分の摂り方を見直す
③ フッ化物を適切に使用する
④ 唾液などの防御因子を確認する
⑤ 初期病変は可能であれば削らずに進行を止める
⑥ 必要な場合だけ、できるだけ歯を保存する方法で修復するという考え方になります。
むし歯治療の目的は、
「むし歯を見つけて削ること」ではありません。
本当の目的は、
むし歯が進行する環境を改善し、新しいむし歯や再発をできるだけ防ぎながら、自分の歯を長く残すこと
だと当院では考えています。
定期検診は「むし歯を探すため」だけではありません
定期検診というと、
「新しいむし歯がないかチェックするもの」
と思われるかもしれません。
しかし実際には、
- 初期う蝕が進行していないか
- 歯磨きが難しい場所はないか
- 食生活に変化はないか
- フッ化物を適切に使用できているか
- 唾液が減っていないか
- 過去に治療した歯の周囲に変化がないか
などを確認し、むし歯が進行しにくい状態を維持することも大切な目的です。
西長住まつなが歯科では、できるだけ歯を削る量を抑えながら、患者さん一人ひとりのむし歯の原因やリスクを考えた治療・予防を心がけています。
「むし歯と言われたけれど削らないといけないの?」
「最近むし歯が繰り返しできる」
「しっかり磨いているのにむし歯になる」
など気になることがありましたら、お気軽にご相談ください🦷
福岡市南区西長住をはじめ、長住・長丘・樋井川・桧原・油山方面からも通院いただきやすい歯科医院です。
参考文献・参考資料
- World Health Organization. Sugars and dental caries. 2025.
- American Dental Association. Evidence-Based Clinical Practice Guideline on Nonrestorative Treatments for Carious Lesions.
- American Dental Association. Caries Risk Assessment and Management.
- 日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会. フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法. 2023.
- Kühnisch J, et al. Organization for Caries Research-European Federation of Conservative Dentistry Consensus Report on Clinical Recommendations for Caries Diagnosis: Caries Lesion Activity and Progression Assessment. Caries Research. 2024.
- European Federation of Conservative Dentistry / European Society of Endodontology / ORCA. Deep Caries Management: S3-Level Clinical Practice Guideline. Caries Research. 2026.
-
ブログ2026.09.30
フッ素で歯は酸に強くなる?「pH5.5」と脱灰・再石灰化の仕組みをわかりやすく解説
こんにちは。
福岡市南区西長住の西長住まつなが歯科です🦷「むし歯はpH5.5以下になるとできる」
「フッ素を使うと、歯が酸に強くなる」
このような話を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
どちらも大きく間違っているわけではありませんが、実際のお口の中ではもう少し複雑なことが起こっています。
特に、
「pH5.5を下回った瞬間に歯が溶ける」
「フッ素を使えば、臨界pHが5.5から4.5になって歯が溶けなくなる」
と考えるのは、少し単純化しすぎです。
今回は、歯の表面で毎日起きている「脱灰」と「再石灰化」、そしてフッ化物がどのようにむし歯予防に働いているのかを、研究をもとにできるだけ分かりやすく解説します。
そもそも「脱灰」とは?
歯の表面を覆うエナメル質は、主にハイドロキシアパタイトと呼ばれるカルシウムとリン酸からできた結晶で構成されています。
食事や間食などで糖質がお口の中に入ると、歯垢(プラーク)の中にいる細菌が糖を利用して酸をつくります。
するとプラークのpHが低下し、歯の周囲が酸性になります。
酸性の状態が強くなると、エナメル質から
カルシウム
+
リン酸などのミネラルが外へ溶け出しやすくなります。
これが「脱灰(だっかい)」です。
一方、唾液によってpHが回復すると、唾液中のカルシウムやリン酸が再び歯の表面に戻っていきます。
これを「再石灰化」といいます。
つまり、健康な歯の表面でも、
脱灰 ⇄ 再石灰化
は毎日のように繰り返されています。
むし歯は、一度酸にさらされたから突然できるというよりも、長い期間にわたって「脱灰する量」が「再石灰化する量」を上回った結果として進行していくと考えると分かりやすいでしょう。

「pH5.5になると歯が溶ける」は本当?
歯科では、エナメル質の「臨界pH」として、
pH5.5前後
という数字がよく使われます。
そのため、
「pH5.5以下になると歯が溶ける」
と説明されることがあります。
患者さんに仕組みをイメージしていただくには便利な数字ですが、実は臨界pHは5.5という固定された数字ではありません。
Dawesによる臨界pHについての解説では、歯が溶けるかどうかはpHだけではなく、歯の周囲に存在するカルシウムとリン酸の濃度にも大きく左右されることが指摘されています。
つまり、
pH5.5=歯が溶け始めるスイッチ
ではありません。
より正確には、
一般的なお口の環境では、pH5.5前後より酸性になるとエナメル質からミネラルが失われる「脱灰」が起こりやすくなる
という意味になります。
なぜpHが下がると歯が溶けやすくなるの?
エナメル質をつくるハイドロキシアパタイトは、
カルシウム・リン酸・水酸基
などからできています。
pHが下がって水素イオン(H⁺)が増えると、歯の周囲にあるリン酸などの状態が変化し、ハイドロキシアパタイトを安定して維持しにくくなります。
すると、
エナメル質 → カルシウムやリン酸が溶液中へ
という方向へ反応が進みやすくなります。
反対に、唾液によってpHが上がり、カルシウムやリン酸が十分に存在している環境になると、
カルシウム・リン酸 → 歯の結晶へ
という再石灰化の方向へ進みやすくなります。
ですから、歯を守るうえではpHだけを見るのではなく、唾液やカルシウム、リン酸なども非常に重要なのです。
食事をするとpHはどう変化する?
糖質を摂取すると、歯垢の中の細菌が酸を産生するため、プラークのpHは短時間で低下します。
その後、唾液による
洗浄作用
+
緩衝作用によって、少しずつ元のpHへ戻っていきます。
この食後のpH変化は、一般に「ステファンカーブ(Stephan curve)」として知られています。

つまり食事のたびに、
食べる
→ pHが下がる
→ 脱灰しやすくなる
→ 唾液によってpHが戻る
→ 再石灰化するというサイクルが起こっています。
ここからも、むし歯予防では単純な「砂糖の総量」だけでなく、食べる回数や間食の頻度も重要であることが分かります。
ダラダラと食べたり、甘い飲み物を何度も飲んだりすると、pHが回復する前に次の酸性化が起こり、脱灰している時間が長くなってしまいます。
では、フッ素はどこで働くのでしょうか?
ここで重要になるのがフッ化物(フッ素)です。
以前は、
「フッ素が歯に取り込まれて、歯そのものを強い物質へ変える」
という説明が中心でした。
もちろん歯の結晶中にフッ化物が取り込まれることもありますが、現在では、むし歯予防におけるフッ化物の主な働きは歯が生えた後のお口の中での局所作用だと考えられています。

非常に低い濃度のフッ化物が歯・唾液・プラークの周囲に存在することで、
酸性になったときの脱灰を抑える
そして、
pHが回復したときの再石灰化を促進する
という作用があります。
フッ素があると「pH5.5から4.5になる」?
インターネットなどでは、
「普通の歯はpH5.5で溶けるけれど、フッ素を使うとpH4.5まで溶けなくなる」
という説明を見かけることがあります。
これはフッ化物の働きを理解するための簡略化された説明として使われていますが、厳密には注意が必要です。
フッ化物を使ったからといって、エナメル質全体が完全なフルオロアパタイトへ変化し、
「pH4.5までは絶対に脱灰しない」
ということではありません。
酸性になると、元々のエナメル質を構成するミネラルは脱灰する方向へ動きます。
しかし、そこに少量のフッ化物が存在すると、
ミネラルが溶け出しにくくなる
+
溶け出したカルシウムやリン酸が再び歯へ戻りやすくなるため、結果として正味のミネラル喪失量を減らすことができます。
フッ化物のむし歯予防作用を研究してきたten Cateらも、低濃度のフッ化物が脱灰を抑え、再石灰化を促進することが重要だと説明しています。
フッ素は「歯をコーティングしている」わけではありません
これも患者さんからよく聞かれるところです。
フッ化物配合歯磨剤を使うと、
「フッ素の膜が歯を覆って、酸から守っている」
ように感じるかもしれません。
実際の作用はもう少し複雑です。
歯の周囲に少量のフッ化物があると、酸によってハイドロキシアパタイトが溶解しようとする過程を抑えます。
さらにpHが回復すると、カルシウムやリン酸が再び結晶として沈着する際にフッ化物が作用し、より酸に抵抗性のあるミネラルが形成されやすくなります。
つまりフッ化物は、
「一度塗って永久に歯を守るコーティング」
ではなく、
毎日繰り返される脱灰と再石灰化のバランスを、歯を守る方向へ少しずつ動かしている
と考える方が適切です。
初期むし歯が「再石灰化」するのはなぜ?
まだ穴があいていない初期のむし歯では、エナメル質内部からミネラルが失われていても、すべての結晶構造がなくなったわけではありません。
そこへ、
カルシウム
+
リン酸
+
少量のフッ化物が存在すると、残っている結晶を足場としてミネラルが戻っていくことがあります。
これが初期むし歯の再石灰化です。
フッ化物はこの過程を促進します。
そのため、穴があいてしまったむし歯をフッ素だけで元通りにできるわけではありませんが、まだ実質欠損を起こしていない初期病変では、適切なプラークコントロールや食生活の改善、フッ化物の利用などによって進行を抑えたり再石灰化を促したりできる場合があります。
なぜフッ素入り歯磨き粉は「毎日」使うことが大切なの?
フッ化物の働きを考えると、この理由も分かりやすくなります。
重要なのは、
一度に大量のフッ化物を歯の中へ入れること
ではなく、
日常的に少量のフッ化物がお口の中に存在する環境をつくること
です。
研究では、1 ppmを下回るような非常に低い濃度のフッ化物であっても、歯の脱灰・再石灰化のバランスに影響を与えることが知られています。
だからこそ、
毎日の歯みがきでフッ化物配合歯磨剤を使用する
ことに意味があります。
歯の根元はエナメル質より酸に弱い
ここも重要なポイントです。
歯ぐきが下がると、これまで歯ぐきに覆われていた歯根面が露出してくることがあります。
歯根部の象牙質は、エナメル質よりミネラル量が少なく、酸に対する抵抗性も低いため、エナメル質より高いpHから脱灰しやすいとされています。
研究では根面象牙質の臨界pHは、おおむねpH6.2〜6.4前後とされており、エナメル質でよく使われるpH5.5よりも高い値です。

つまり、
「まだpH5.5より高いから大丈夫」
とは限りません。
歯肉退縮がある方、高齢の方、唾液が少ない方などでは、根面むし歯への対策としてもフッ化物の利用が重要になります。
大切なのは「pH5.5」という数字だけではありません
むし歯予防というと、
「pH5.5を下回らないようにする」
というイメージを持たれることがあります。
しかし実際には、お口の中では食事をするたびにpHは変化します。
大切なのは、
酸性になることを完全になくすことではなく、脱灰している時間を必要以上に長くしないこと
そして、
再石灰化できる環境をつくること
です。
そのためには、
フッ化物配合歯磨剤を適切に使用すること、間食の回数を整えること、プラークを適切に除去すること、唾液が働ける時間をつくること
などを組み合わせることが重要です。
まとめ|フッ素は「pH4.5まで絶対に歯を溶かさないもの」ではありません
今回のポイントをまとめると、
- エナメル質は一般にpH5.5前後より酸性になると脱灰しやすくなる
- ただし臨界pHは固定値ではなく、カルシウムやリン酸など周囲の環境によって変化する
- 歯では毎日、脱灰と再石灰化が繰り返されている
- フッ化物は、脱灰を抑え、再石灰化を促進する
- 「フッ素を使えば臨界pHが5.5から4.5になり、それまでは全く溶けない」という説明は単純化しすぎ
- フッ化物は一度歯をコーティングするものではなく、日常的に低濃度で存在することが重要
- 歯根面はエナメル質より酸に弱く、より高いpHから脱灰しやすい
ということになります。
フッ化物は、むし歯を100%防いでくれるものではありません。
しかし、毎日の食事によって繰り返される「脱灰と再石灰化のバランス」を歯を守る側へ動かすという意味で、むし歯予防において非常に重要な役割を持っています。
西長住まつなが歯科では、患者さんのお口の状態や年齢、むし歯のリスクに合わせて、歯磨剤の選び方やフッ化物の使い方についてもご案内しています😊
「どの歯磨き粉を選べばいい?」
「子どものフッ素濃度は何ppmがいい?」
「歯ぐきが下がって根元のむし歯が心配」など、気になることがございましたらお気軽にご相談ください🦷✨
西長住まつなが歯科
福岡市南区西長住
歯科・小児歯科・口腔外科
📍マルキョウ桧原店前/駐車場3台
📞092-984-5987※本記事は一般的な歯科医学情報をお伝えするものです。むし歯のリスクや適切なフッ化物の使用方法は、年齢・歯の状態・唾液量・生活習慣などによって異なります。個別の状態については歯科医院でご相談ください。
参考文献
- Dawes C. What is the critical pH and why does a tooth dissolve in acid? J Can Dent Assoc. 2003;69(11):722-724.
- Buzalaf MAR, Pessan JP, Honório HM, ten Cate JM. Mechanisms of action of fluoride for caries control. Monogr Oral Sci. 2011;22:97-114. doi:10.1159/000325151.
- ten Cate JM. Contemporary perspective on the use of fluoride products in caries prevention. Br Dent J. 2013;214(4):161-167. doi:10.1038/sj.bdj.2013.162.
- Walsh T, Worthington HV, Glenny AM, Marinho VCC, Jeroncic A. Fluoride toothpastes of different concentrations for preventing dental caries. Cochrane Database Syst Rev. 2019;3:CD007868. doi:10.1002/14651858.CD007868.pub3.
- 日本小児歯科学会・日本口腔衛生学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会. フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法について. 4学会合同提言, 2023.
- Damé-Teixeira N, Parolo CCF, Maltz M. Specificities of Caries on Root Surface. Monogr Oral Sci. 2017;26:15-25. doi:10.1159/000479303.
- Cai J, Palamara J, Manton DJ, Burrow MF. Status and progress of treatment methods for root caries in the last decade: a literature review. Aust Dent J. 2018;63(1):34-54. doi:10.1111/adj.12550.
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ブログ2026.09.29
抜歯後2〜3日してから痛みが強くなった?「ドライソケット」とは|原因・症状・予防・治療について
こんにちは😊
福岡市南区西長住の西長住まつなが歯科です🦷歯を抜いたあと、
「抜歯した日はそれほど痛くなかったのに、2〜3日してから急に痛くなってきた」
「痛み止めを飲んでも、抜いたところがズキズキする」
「親知らずを抜いて数日後から、耳の方まで響くように痛い」
このような症状がみられる場合、「ドライソケット(dry socket)」と呼ばれる状態が起きている可能性があります。
ドライソケットは、専門的には「歯槽骨炎(alveolar osteitis)」と呼ばれ、特に下の親知らずを抜歯したあとにみられることがある術後合併症です。
今回は、ドライソケットについて、
- どのような状態なのか
- なぜ起こるのか
- どのような症状が特徴なのか
- タバコとの関係
- 予防するためにできること
- 起こってしまった場合の治療
について、これまでの研究やガイドラインをもとに分かりやすく解説します。
ドライソケットとは?
歯を抜くと、抜いた部分にはまず血液がたまり、「血餅(けっぺい)」と呼ばれる血のかたまりができます。
この血餅は、単に出血が止まった結果できるものではありません。
抜歯後の傷口を覆い、その後、
血餅
↓
新しい組織がつくられる
↓
骨や歯ぐきが治っていくという治癒過程のスタート地点になります。
ところが何らかの理由によって、この血餅が十分に形成されなかったり、形成された血餅が早い段階で分解・消失してしまったりすると、抜歯窩の骨が露出した状態になることがあります。
このとき強い痛みを生じる状態が、一般的に「ドライソケット」と呼ばれています。現在の研究では、血餅の分解に関係する線溶(fibrinolysis)が病態に関与すると考えられていますが、原因は一つではなく、外科的侵襲や喫煙、細菌など複数の要因が関係する可能性があります。

ドライソケットの特徴は「数日してから痛みが強くなる」こと
通常の抜歯でも、抜歯後にある程度の痛みが出ることは珍しくありません。
しかし一般的な術後疼痛は、
抜歯当日〜翌日ごろに痛む
↓
その後、少しずつ軽くなっていくという経過をたどることが多いです。
一方、ドライソケットでは、
抜歯して24〜72時間ほど経過してから痛みが強くなる
という経過が特徴的です。

SDCEP(Scottish Dental Clinical Effectiveness Programme)でも、抜歯後24〜48時間ごろから始まる疼痛、抜歯窩内の血餅・軟組織の欠如、不快な味や臭いなどが代表的な所見として挙げられています。
このような症状には注意してください
🦷 抜歯して2〜3日後から痛みが強くなってきた
🦷 抜歯した部分がズキズキと強く痛む
🦷 耳やこめかみ付近まで痛みが響く
🦷 痛み止めを飲んでも十分に痛みが治まらない
🦷 抜歯した穴から嫌な味や臭いがする
🦷 抜歯した穴の中に血のかたまりが見えず、骨のようなものが見えるこうした症状がある場合は、我慢せず歯科医院で確認してもらいましょう。
ドライソケットはどれくらいの頻度で起こる?
ドライソケットの発生率は、抜歯する歯や抜歯の難易度などによって大きく異なります。
Cochraneレビューでは、通常の抜歯ではおおむね1〜5%程度、外科的な第三大臼歯抜歯ではさらに高くなることが報告されています。
特に注意したいのが、**下顎の埋伏智歯、いわゆる「下の親知らず」**です。
2024年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、28研究・41,859本の下顎埋伏智歯抜歯を解析したところ、ドライソケットの発生率は、
約6.7%
と推定されました。
ただし研究によるばらつきが大きいため、すべての親知らずで6.7%起こるという意味ではありません。
したがって、
「抜歯をすると必ず一定の割合で起こる」
というよりも、
抜歯する歯の位置・難易度・患者さん側の条件などによってリスクが変わる
と考える方が適切です。
なぜドライソケットになるの?
ドライソケットについて、
「うがいをして血のかたまりが取れたから起こる」
と説明されることがあります。
もちろん抜歯直後の血餅を安定させることは大切ですが、実際の病態はもう少し複雑です。
現在有力と考えられているのが、**血餅の「線溶」**です。
線溶とは、いったん形成された血餅を体内で分解していく仕組みです。
抜歯による局所の組織損傷などによって線溶活性が高まり、血餅が予定より早く分解されることで、骨表面が露出し、ドライソケットにつながるという考え方があります。
ただし、現在でもドライソケットの原因が完全に解明されているわけではありません。
そのため、
「血餅が取れた=必ずドライソケットになる」
あるいは、
「患者さんが何かしてしまったから起こった」
と単純に考えることはできません。
喫煙はドライソケットの重要なリスク因子です
ドライソケットについて比較的はっきりした関連が示されているものの一つが、喫煙です🚬
2022年のシステマティックレビューでは、11研究を解析した結果、
喫煙者:約13.2%
非喫煙者:約3.8%にドライソケットがみられ、喫煙者では非喫煙者と比較してドライソケットになるオッズが3倍以上でした。
ただし研究によって抜歯した歯や患者背景が異なるため、この数字がすべての抜歯にそのまま当てはまるわけではありません。
喫煙では、
- ニコチンによる血流への影響
- 創傷治癒への影響
- 煙による局所への刺激
- 喫煙時の吸引動作
など複数の要因が関係している可能性があります。
そのため、特に親知らずなどの外科的抜歯を行った場合には、術後の喫煙を控えることが重要です。
「女性だから起こりやすい」とは単純には言えません
以前から、ドライソケットは女性に多いと言われることがあります。
しかし現在は、性別だけで単純に説明するのは適切ではありません。
2022年のシステマティックレビュー・メタ解析では、経口避妊薬を使用している女性では、使用していない女性と比較してドライソケットのリスクが高くなる可能性が示されています。
一方、経口避妊薬を使用していない女性と男性との比較では、性別そのものによる明確な差は確認されませんでした。
このため、
「女性だからドライソケットになりやすい」
と説明するよりも、経口避妊薬などを含む複数の因子を考える必要があります。
ドライソケットを防ぐためにできることは?
ドライソケットを100%予防する方法はありません。
ただし、抜歯後の傷口をできるだけ安定した状態に保つことは大切です。

① 抜歯当日は強いうがいをしない
抜歯直後は血餅がまだ安定していません。
口の中に血の味がすると気になって何度もうがいをしたくなるかもしれませんが、強いうがいを何度も行うことは避けましょう。
SDCEPでも、抜歯当日のうがいは避け、その後は口腔内を清潔に保つことが勧められています。
唾液に少量の血が混ざる程度であれば、抜歯後にはよくみられます。
② タバコを控える
先ほどご紹介したように、喫煙はドライソケットとの関連が比較的強く示されています。
少なくとも抜歯直後は禁煙し、傷口が安定するまでできるだけ喫煙を控えることが望まれます。
③ 傷口を舌や指で触らない
抜歯した部分が気になっても、
舌で何度も触る
指で触る
器具のようなもので確認するといったことは避けましょう。
血餅や治癒途中の組織を刺激してしまう可能性があります。
④ お口の中を不潔にしない
「抜いたところを触るのが怖いから」といって、すべての歯みがきをやめる必要はありません。
抜歯した部分には注意しながら、その他の歯については通常どおり清潔に保つことが大切です。
抜歯部位周辺の清掃方法については、抜歯の内容によって異なりますので、担当の歯科医師・歯科衛生士の指示に従ってください。
クロルヘキシジンはドライソケットを減らす?
海外では、クロルヘキシジンを用いた予防について比較的多く研究されています。
2022年のCochraneレビューでは、49試験・6,771人を対象に解析し、0.12〜0.2%クロルヘキシジンによる洗口や0.2%クロルヘキシジンゲルによってドライソケットの発生を減らせる可能性があり、エビデンスの確実性は「中等度」と評価されています。
ただし、これは主に海外の製剤・使用方法についての研究です。
日本で使用されている洗口剤とは濃度や製剤、使用方法が異なる場合があるため、海外の研究結果をそのまま当てはめることはできません。
市販の洗口剤を自己判断で抜歯窩に使用することはせず、担当医の指示に従いましょう。
ドライソケットになったら、抗生物質を飲めば治る?
ここは誤解されやすいポイントです。
ドライソケット=細菌感染
というわけではありません。
そのため、
ドライソケットだから抗菌薬を飲めば治る
とも限りません。
SDCEPでは、ドライソケットに対して、感染が広がっている所見や全身感染の徴候などがなければ、抗菌薬を routinely 使用しないことを推奨しています。
もちろん、
- 発熱
- 顔まで広がるような腫れ
- 排膿
- 強い開口障害
- 全身状態の悪化
などを伴う場合には、ドライソケットだけではなく術後感染が起きていないか確認する必要があります。
ドライソケットの治療は何をする?
ドライソケットの治療で大切なのは、
「抜歯窩を無理に治そうとする」というより、強い痛みをコントロールしながら自然な治癒をサポートすること
です。
症状や抜歯窩の状態に応じて、
① 抜歯窩を洗浄する
食べ物などが抜歯窩に入り込んでいる場合には、生理食塩水などを用いてやさしく洗浄することがあります。
② 痛みを和らげる処置を行う
必要に応じて、抜歯窩に鎮痛目的の材料を使用したり、強い痛みがある場合には局所麻酔を使用したりすることがあります。
SDCEPでも、生理食塩水による洗浄や適切なドレッシング材などが治療方法として挙げられています。
③ 鎮痛薬を使用する
抜歯後の急性疼痛について、ADAのガイドラインでは、使用できる患者さんではNSAIDsを単独、またはアセトアミノフェンと組み合わせる方法が第一選択とされています。
ただし、鎮痛薬には腎疾患・胃腸障害・喘息・妊娠・服用中のお薬などによって使用できない場合があります。
市販薬を含め、自己判断で量を増やさず、歯科医師・医師・薬剤師の指示に従ってください。
強く掻き出せば早く治る?
ドライソケットになると、
「血が出るまで抜歯した穴をもう一度削った方がいいのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし現在、抜歯窩を強く掻爬することがドライソケットの標準治療というわけではありません。
さらなる組織損傷につながる可能性もあるため、状態に応じてまず洗浄や疼痛管理を行い、自然な治癒を促す考え方が一般的です。ドライソケットの治療については研究自体がまだ少なく、Cochraneレビューでも多くの治療法について十分なエビデンスがないことが指摘されています。
ドライソケットは「自分のせい」とは限りません
抜歯後にドライソケットになると、
「うがいをしたからかな?」
「ご飯を食べたからかな?」
「自分の過ごし方が悪かったのかな?」
と心配される方がいらっしゃいます。
しかし、ドライソケットは複数の要因が関係して起こる術後合併症です。
現在でも原因が完全に解明されているわけではなく、術後の注意事項をきちんと守っていても起こることがあります。
必要以上にご自身を責める必要はありません。
大切なのは、症状が出たときに無理に我慢せず、歯科医院で状態を確認してもらうことです。
抜歯後、こんなときは早めにご相談ください
特に、
「日に日に痛みが軽くなる」のではなく、「2〜3日してから痛みが強くなってきた」
という場合は、一度抜歯窩を確認した方がよいことがあります。
また、
🔴 痛みがどんどん強くなる
🔴 痛み止めがほとんど効かない
🔴 顔まで大きく腫れてきた
🔴 発熱がある
🔴 膿が出ている
🔴 飲み込みにくい
🔴 口がほとんど開かないといった症状がある場合は、ドライソケットだけではなく感染など別の問題が生じている可能性もあるため、早めに歯科医院へご相談ください。
まとめ|抜歯後2〜3日して痛みが強くなったら要注意
今回は、抜歯後に起こることがあるドライソケットについて解説しました。
ポイントをまとめると、
✅ ドライソケットは、抜歯窩の血餅が十分に維持されず骨面が露出して強い痛みが生じる状態
✅ 抜歯直後よりも、24〜72時間程度してから痛みが強くなることが特徴
✅ 特に下顎の親知らずの抜歯後に起こりやすい
✅ 喫煙は比較的明確なリスク因子
✅ 単純な細菌感染とは異なり、抗菌薬が必ず必要なわけではない
✅ 治療では、抜歯窩の洗浄や疼痛管理を行いながら治癒を待つことが基本
となります。
抜歯後の痛みそのものは珍しいことではありません。
しかし、
「最初よりも痛みが強くなってきた」
「数日たってから急にズキズキし始めた」という場合には、通常の抜歯後疼痛とは経過が異なる可能性があります。
西長住まつなが歯科では、抜歯後の経過についても確認していますので、気になる症状がございましたらお気軽にご相談ください😊
西長住まつなが歯科
福岡市南区西長住
歯科・小児歯科・口腔外科西長住・長住・長丘・樋井川・桧原・油山周辺で、親知らずの抜歯や抜歯後の痛みについてお困りの方はお気軽にご相談ください🦷
📍マルキョウ桧原店前
🚗駐車場3台
📞092-984-5987※本記事は一般的な歯科医学情報をお伝えするものであり、個々の症状の診断を行うものではありません。抜歯後の強い痛みや腫れがある場合には、実際に口腔内を診察したうえでの判断が必要です。
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ブログ2026.09.28
心臓病があっても歯科治療や抜歯はできる?麻酔・血液をサラサラにする薬・感染性心内膜炎について解説
こんにちは。
福岡市南区西長住の西長住まつなが歯科です🦷歯科医院の問診票で、
「心臓の病気はありますか?」
「心臓の手術を受けたことはありますか?」
「血液をサラサラにする薬を飲んでいますか?」
と聞かれたことがある方もいらっしゃると思います。
心臓病のある患者さまからは、
「心臓が悪くても歯を抜けるの?」
「歯医者の麻酔に入っているアドレナリンは大丈夫?」
「血液をサラサラにする薬は抜歯前に止めるの?」
「人工弁があると抗生物質が必要なの?」
といったご質問をいただくことがあります。
結論からいうと、
心臓病があるからといって、歯科治療や抜歯ができないわけではありません。
ただし、
- 狭心症・心筋梗塞
- 心不全
- 心房細動などの不整脈
- 弁膜症
- 人工弁
- ペースメーカー・ICD
- 冠動脈ステント
など、心疾患の種類によって歯科治療で注意するポイントは異なります。
今回は、心疾患のある患者さまの歯科治療について、現在の日本のガイドラインをもとに分かりやすく解説します。
心臓病があっても歯科治療はできる?
心疾患があっても、病状が安定していれば多くの場合、
- むし歯治療
- 歯周病治療
- 根管治療
- 抜歯
- 入れ歯治療
などの歯科治療を受けることができます。
大切なのは、
「心臓病があるかどうか」だけではなく、「現在の状態が安定しているか」
ということです。
例えば、
「最近胸が痛くなるようになった」
「少し歩いただけで息苦しい」
「横になると息が苦しい」
「動悸が急に増えた」
「最近心筋梗塞を起こした」
といった場合には、通常の予定された歯科治療よりも、まず循環器内科で心臓の状態を確認した方がよいことがあります。

狭心症・心筋梗塞のある方の歯科治療
狭心症や心筋梗塞などは、心臓の筋肉へ十分な血液や酸素が届かなくなる病気です。
歯科治療では、
- 痛み
- 緊張
- 恐怖
- アドレナリンを含む局所麻酔
などによって、心拍数や血圧が上昇することがあります。
そのため、心臓にかかる負担をできるだけ小さくしながら治療することが重要です。
日本歯科麻酔学会では、最近になって胸痛・息切れ・動悸などが出てきた場合や、心筋梗塞後の早い時期などには、循環器内科との連携を重視しています。
特に心筋梗塞後60日以内で緊急の歯科治療が必要な場合には、循環器内科と連携できる医療機関での治療を検討します。
ただし、
「61日たてば必ず通常どおり治療できる」という意味ではありません。
その後の心機能や症状、ステント治療、服用している薬などを確認して判断します。
歯科の麻酔に入っているアドレナリンは大丈夫?
歯科で使用する局所麻酔には、
アドレナリン
が含まれているものがあります。
アドレナリンには、
- 麻酔を長く効かせる
- 出血を抑える
- 麻酔薬が急激に全身へ移行するのを抑える
といった役割があります。
一方で、
心拍数や血圧を上げる作用
もあります。
そのため、
「心臓病だからアドレナリン入りの麻酔は使えないのでは?」
と心配される方もいらっしゃいます。
しかし、
心臓病=アドレナリン入り局所麻酔が絶対に使えない
というわけではありません。
心疾患の種類や重症度、血圧、脈拍などを確認しながら、必要最小限の量を使用します。
麻酔を減らしすぎて痛みを我慢する方が危険なことも
ここは非常に大切です。
「心臓病だから麻酔をなるべく使わない方が安全」
と思われるかもしれません。
しかし、歯科治療中に強い痛みや恐怖を感じると、体内からアドレナリンなどのストレスホルモンが分泌されます。
その結果、
- 血圧上昇
- 心拍数増加
- 心筋の酸素消費量増加
につながることがあります。
そのため、
必要な局所麻酔を適切に使い、痛みや不安をしっかり抑えること
も心臓への負担を減らすうえで重要です。
日本歯科麻酔学会では、虚血性心疾患患者について、心機能の状態に応じてアドレナリン含有局所麻酔薬の使用量の目安を示しています。
歯科治療では、必要に応じて血圧・脈拍・酸素飽和度などを確認しながら治療を行います。
血液をサラサラにする薬を飲んでいても抜歯できる?
心房細動、心筋梗塞、冠動脈ステント、脳梗塞などの治療や予防のため、
- アスピリン
- クロピドグレル
- ワルファリン
- アピキサバン
- リバーロキサバン
- エドキサバン
- ダビガトラン
などを使用している方がいます。
これらは一般に、
抗血小板薬・抗凝固薬
と呼ばれます。
「血液をサラサラにする薬」と説明されることもあります。
以前は、
「抜歯の前には薬を止める」
と考えられることもありました。
しかし現在では、
薬を止めることで脳梗塞・心筋梗塞・ステント血栓症などが起こる危険性
も非常に重要と考えられています。

抜歯前に薬を自己判断で止めないでください
2025年版「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン」では、
例えばワルファリンを使用している患者さまでは、
PT-INRが3以下であれば、原則としてワルファリンを中止せずに抜歯する
ことが推奨されています。
抜歯後には、
- ガーゼ圧迫
- 縫合
- 局所止血材
などを使用し、局所でしっかり止血します。
DOACと呼ばれる新しいタイプの抗凝固薬についても、普通抜歯などでは継続したまま処置できることがあります。
ただし、薬の種類、服用時間、抜歯の難易度、腎機能などによって対応は変わります。
最も重要なのは、
患者さま自身の判断で薬を中止しないこと
です。
薬を止める必要がある場合には、歯科医師と循環器内科などの主治医が相談して判断します。
人工弁がある方では「感染性心内膜炎」に注意します
心臓病と歯科治療の関係で、非常に重要なのが
感染性心内膜炎(IE)
です。
感染性心内膜炎とは、血液中に入った細菌などが心臓の弁や心内膜に付着し、感染を起こす病気です。
重症化すると、
- 心不全
- 脳梗塞
- 全身への塞栓
- 敗血症
などを起こす可能性があります。
日本のデータでも、感染性心内膜炎は決して軽い病気ではありません。

どうして歯科治療と感染性心内膜炎が関係するの?
お口の中には非常に多くの細菌が存在しています。
抜歯や歯周外科、スケーリングなどによって歯ぐきから出血すると、一時的に口腔内細菌が血液中へ入ることがあります。
これを
菌血症
といいます。
多くの健康な方では大きな問題になりません。
しかし、人工弁など特定の心疾患がある方では、その細菌が心臓の弁などへ付着し、感染性心内膜炎につながる可能性があります。
そのため、特定の心疾患患者では歯科処置前に予防的抗菌薬を使用します。
どんな心臓病で予防的な抗菌薬が必要?
2026年に改訂された日本循環器学会の感染性心内膜炎診療ガイドラインでは、心疾患をリスクに応じて分類しています。
特に感染性心内膜炎の危険性が高いものとして、
- 人工弁
- TAVIなどの人工弁治療後
- 弁輪リングなど人工物を使用した弁形成後
- 感染性心内膜炎の既往
- 一部の複雑な先天性心疾患
- 左室補助人工心臓
などが挙げられています。
このような方では、侵襲的な歯科治療を行う前に、予防的抗菌薬が推奨されます。
中等度リスクの心疾患もあります
日本の2026年ガイドラインでは、
- 後天性弁膜症
- 大動脈二尖弁
- 一部の先天性心疾患
- 閉塞性肥大型心筋症
- 逆流を伴う僧帽弁逸脱症
などでは、患者さまの状態や処置内容に応じて予防的抗菌薬を考慮します。
ここは海外のガイドラインと少し考え方が異なる部分です。
欧米では予防抗菌薬をかなり高リスクの患者に限定していますが、日本では中等度リスク患者についても、状況に応じて予防投与を考慮する立場になっています。
どんな歯科治療で予防抗菌薬を使う?
予防的抗菌薬が問題になるのは、口腔内細菌が血液中へ入りやすい処置です。
例えば、
- 抜歯
- 歯周外科
- インプラント手術
- 一部の口腔外科処置
- スケーリング
- 感染した根管への処置
などがあります。
一方、
すべてのむし歯治療やすべての根管治療で抗菌薬が必要になるわけではありません。
予防抗菌薬はどのように飲む?
日本の2026年版ガイドラインでは、成人で経口投与が可能で、ペニシリン系抗菌薬へのアレルギーがない場合、
アモキシシリン2gを歯科処置の1時間前に1回
という方法が標準的な予防投与として示されています。
ただし、
「心臓病があるから全員抗生物質を飲む」
という意味ではありません。
心疾患の種類と歯科処置の内容を確認して判断します。
予防抗菌薬より毎日の口腔管理も大切です
感染性心内膜炎というと、
「抜歯すると菌が血液に入る」
というイメージが強いかもしれません。
しかし実際には、
歯磨きや食事など日常生活でも、一時的な菌血症が起こる
ことがあります。
特に歯周病があると、日常的な菌血症の機会が増える可能性があります。
そのため、
予防的抗菌薬だけに頼るのではなく、普段からむし歯や歯周病を治療し、お口の中を清潔に保つこと
が非常に重要です。
人工弁などを使用している方こそ、症状が出てから歯科医院へ行くのではなく、定期的なメインテナンスが大切です。
心臓の手術前に歯科受診を勧められるのはなぜ?
人工弁置換術などの心臓手術を予定している患者さまが、
「手術の前に歯医者へ行ってください」
と言われることがあります。
これは、お口の中に大きな感染源がないか確認するためです。
例えば、
- 重度歯周病
- 大きな根尖病変
- 膿が出ている歯
- 保存困難な歯
などがあれば、全身状態や心臓手術の日程を考慮して治療します。
ただし、
歯科治療をすべて完璧に終わらせるために、必要な心臓手術を大きく延期する
ということではありません。
循環器内科・心臓血管外科と歯科が連携しながら判断します。
心不全がある場合は?
心不全とは、心臓のポンプ機能が低下して、身体が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態です。
病状が安定している場合には、必要な歯科治療を受けることができます。
一方、
- 最近息切れが強くなった
- 横になると苦しい
- 安静にしていても息苦しい
- 足のむくみが急に強くなった
- 数日で体重が増えた
などは、心不全が悪化している可能性があります。
このような場合には、予定していた歯科治療よりも心不全の評価・治療を優先することがあります。
ペースメーカーがあると歯科治療はできない?
ペースメーカーやICD(植込み型除細動器)があっても、通常の歯科治療の多くは可能です。
ただし、一部の歯科用電子機器については、ペースメーカーやICDへの電磁干渉を考慮する必要があります。
現在のペースメーカーは以前より電磁波の影響を受けにくくなっていますが、
「ペースメーカーがある=すべての超音波スケーラーが禁止」
という単純な考え方ではありません。
使用する医療機器やペースメーカーの種類、メーカーの注意事項などを確認して判断します。
特に電気メスなどは注意が必要です。
歯科受診時には、
ペースメーカーやICDを使用していることを必ずお知らせください。
歯科治療中に胸が痛くなったら?
狭心症などのある患者さまでは、治療中に胸痛が出る可能性があります。
その場合には、歯科治療を中止して全身状態を確認します。
特に、
- 強い胸痛
- 冷汗
- 吐き気
- 息苦しさ
- 意識が遠のく
- ニトログリセリンを使用しても改善しない
などの場合には、心筋梗塞などの可能性も考え、救急対応が必要になることがあります。
「歯が痛い」と思ったら心臓が原因のことも?
意外に思われるかもしれませんが、
心臓の痛みが、
- 下顎
- 歯
- 首
- 肩
- 腕
などに広がって感じられることがあります。
例えば、
歩いたり階段を上ったりすると歯や顎が痛くなり、休むと治る
という症状があり、歯科検査では明らかな原因が見つからない場合には、心臓由来の痛みも考える必要があります。
心疾患のある方が歯科医院で伝えてほしいこと
心臓病のある患者さまは、できるだけ詳しく歯科医院へお知らせください。
特に、
- 心臓病の病名
- 心筋梗塞を起こした時期
- 心臓手術を受けた時期
- 人工弁の有無
- 冠動脈ステントの有無
- 感染性心内膜炎の既往
- ペースメーカー・ICDの有無
- 最近の胸痛・息切れ・動悸
- 血液をサラサラにする薬
- ニトログリセリンの処方
- 循環器内科の主治医
などです。
お薬手帳や心臓の治療歴が分かるものをご持参いただくと、より安全に治療を進めやすくなります。
心臓病だから歯科治療を避ける、ではありません
今回最もお伝えしたいことは、
「心臓病がある=歯科治療や抜歯ができない」わけではない
ということです。
大切なのは、
現在の心臓の状態を確認すること
使用している薬を確認すること
局所麻酔や治療中のストレスに配慮すること
必要な場合には感染性心内膜炎を予防すること
です。
また、
血液をサラサラにする薬を自己判断で中止しないこと
も非常に重要です。
むし歯や歯周病を長期間放置して感染が大きくなると、結果としてより侵襲の大きな歯科治療が必要になることがあります。
心疾患のある方こそ、症状が出てから治療するだけではなく、日頃から定期的にお口の状態を確認しておくことが大切です。
西長住まつなが歯科では、心疾患のある患者さまについても、
- 病名
- 心臓の状態
- 服用している薬
- 手術歴
- 人工弁やペースメーカーの有無
などを確認しながら治療方針を検討します。
必要に応じて、循環器内科や心臓血管外科の主治医と情報共有しながら治療を進めます。
「心臓病があるけど抜歯して大丈夫?」
「血液をサラサラにする薬を飲んでいる」
「人工弁がある」
「ペースメーカーが入っている」
「歯科の麻酔が心配」
など、ご不安なことがございましたらお気軽にご相談ください😊
福岡市南区西長住をはじめ、桧原・樋井川・長住・長丘・油山周辺で歯科医院をお探しの方も、お気軽にご相談ください。
西長住まつなが歯科
📍福岡市南区西長住
📍マルキョウ桧原店前
🚗駐車場3台完備参考資料
- 日本循環器学会「2026年改訂版 感染性心内膜炎診療ガイドライン」
- 日本有病者歯科医療学会ほか「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン2025」
- 日本歯科麻酔学会「虚血性心疾患患者に対する安全な歯科治療に関するステートメント」
- 日本循環器学会・日本心不全学会「心不全診療ガイドライン2025」
-
ブログ2026.09.27
人工透析中でも歯科治療や抜歯はできる?治療日・出血・薬の注意点を解説
こんにちは。
福岡市南区西長住の西長住まつなが歯科です🦷歯科医院の問診票で、
「人工透析を受けていますか?」
「透析は何曜日ですか?」
「シャントはどちらの腕にありますか?」
と聞かれたことがある方もいらっしゃると思います。
人工透析を受けている患者さまからは、
「透析をしていても歯を抜けるの?」
「透析の日に歯医者へ行っても大丈夫?」
「血が止まりにくいって本当?」
「抗生物質や痛み止めは普通に飲んでいいの?」
といったご質問をいただくことがあります。
結論からいうと、
人工透析を受けているからといって、歯科治療や抜歯ができないわけではありません。
ただし、血液透析を受けている方では、透析時に使用する抗凝固薬、出血のしやすさ、貧血、血圧、シャント、薬の排泄などについて、通常の歯科治療以上に注意する必要があります。
今回は、人工透析、特に血液透析(HD)を受けている患者さまの歯科治療について、現在の研究や日本の抗菌薬適正使用の考え方をもとに分かりやすく解説します。
人工透析とは?
腎臓には、血液中の老廃物や余分な水分を取り除き、体内の水分・電解質などを調整する働きがあります。
腎機能が高度に低下すると、腎臓だけでは十分に血液をきれいにできなくなるため、人工的にその働きを補う治療が必要になることがあります。
代表的なのが、
血液透析(HD)
と
腹膜透析(PD)
です。
今回の記事では、特に日本で多く行われている血液透析を中心に説明します。
血液透析では、腕に作ったシャントなどから血液を取り出し、透析装置を通して老廃物や余分な水分を除去したあと、血液を体内へ戻します。
人工透析中でも歯科治療はできます
人工透析を受けている方でも、
むし歯治療、歯周病治療、根管治療、入れ歯の治療、抜歯など、必要な歯科治療を行うことができます。
2024年に日本で報告された血液透析患者の普通抜歯に関する研究でも、抗血栓療法を継続した血液透析患者について、適切な管理下で抜歯を行えることが示されています。透析患者群と非透析患者群との間で、抜歯後の出血性合併症に有意な差は認められませんでした。
つまり、
「人工透析をしているから抜歯できない」
というわけではありません。
大切なのは、透析のスケジュールや全身状態、使用している薬などを確認したうえで治療することです。
抜歯などは「透析の翌日」を検討します
血液透析患者さまの歯科治療で非常に重要なのが、
いつ治療するか
ということです。
特に抜歯など出血を伴う予定処置では、一般的に透析当日を避け、透析翌日の非透析日に行うことが検討されます。
これは、血液透析の際に血液が透析回路の中で固まらないよう、ヘパリンなどの抗凝固薬が使用されるためです。
透析直後にはその影響が残っている可能性があるため、抜歯などを行うと出血が止まりにくくなることがあります。
また、透析後には体内の老廃物や電解質の状態も調整されています。
そのため、血液透析患者の歯科治療については、可能であれば透析翌日に行うのが望ましいという考え方が一般的です。
ただし、
「透析当日は一切歯科治療をしてはいけない」
という意味ではありません。
検診や緊急性の高い処置などは、その日の状態や処置内容を確認して判断します。

透析患者さんはなぜ出血に注意するの?
血液透析患者さまで出血に注意する理由は、透析時のヘパリンだけではありません。
腎機能が高度に低下すると、血小板の働きが低下することがあり、さらに腎性貧血を伴っていることもあります。
また透析患者さまは心血管疾患を合併していることも多く、
アスピリン、クロピドグレル、ワルファリンなどの抗血栓薬を使用していることがあります。
そのため抜歯前には、
現在服用している薬や最近の血液検査、貧血の状態、血小板数などを必要に応じて確認します。
ただし、
透析患者=必ず大量出血する
というわけではありません。
日本の2024年の研究では、抜歯後の出血性合併症について、透析そのものより抜歯部位の歯肉炎が強いこととの関連が認められました。
つまり日頃から歯周病や歯ぐきの炎症をコントロールすることも重要です。
血液をサラサラにする薬を自己判断で止めないでください
「抜歯するなら血液をサラサラにする薬を止めた方がいいのでは?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、
抗凝固薬や抗血小板薬を患者さま自身の判断で中止することは避けてください。
薬を中断することによって、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが上がる場合があります。
抜歯などが必要な場合には、現在使用している薬を確認し、必要に応じて透析施設や医科の主治医と情報共有しながら判断します。
歯科医院を受診するときには、お薬手帳をご持参ください。
シャントのある腕で血圧を測ってはいけません
血液透析では、透析を行うために腕の動脈と静脈をつないで、
内シャント
を作っている方が多くいらっしゃいます。
このシャントは、透析治療を続けるために非常に重要な血管です。
国立循環器病研究センターでは、シャントを守るため、
シャント側の腕では血圧測定をしない
シャント側から採血をしない
シャントを圧迫しない
ことを案内しています。
これは歯科医院でも同じです。
治療前に血圧を測定する場合には、
シャントがない方の腕
で測定します。
そのため歯科医院を受診した際には、
「右腕にシャントがあります」
「左腕がシャントです」
とスタッフへお伝えください。

透析患者さんでは抗生物質の量が変わることがあります
人工透析患者さまの歯科治療で、非常に重要なのが薬の量です。
薬の中には腎臓から体外へ排泄されるものがあります。
腎機能が高度に低下している場合、通常と同じ量を使用すると薬が体内に蓄積してしまう可能性があります。
そのため、
「歯医者からもらう薬だから透析とは関係ない」
というわけではありません。
アモキシシリンも透析患者では投与方法が変わります
2026年に厚生労働省から公表された
「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 歯科編」
では、透析患者を含む腎機能低下患者に対する抗菌薬の投与方法が示されています。
例えば歯性感染症でよく使用される
アモキシシリン
の場合、一般的な成人では1日複数回使用します。
一方、腎機能が高度に低下している場合や透析患者では、治療目的の場合、
1回250〜500mgを1日1回
とすることが示されています。
さらに血液透析を行った日は、
透析終了後に投与
します。
つまり同じ薬でも、透析の有無によって投与回数やタイミングが変わることがあります。
すべての抗菌薬で量を減らすわけではありません
薬によって腎臓からの排泄のされ方は異なります。
例えば厚生労働省の歯科編では、クリンダマイシンについては、腎機能低下患者でも通常は投与量・投与間隔の調整を必要としないとされています。
したがって、
「透析患者だから抗生物質を半分にする」
と一律に決めることはできません。
薬の種類ごとに適切な用量を判断します。
透析患者なら必ず抗生物質を飲む?
これもよくある誤解です。
透析患者さまでは、全身状態や処置内容によって術後感染に注意する必要があります。
厚生労働省の2026年版「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 歯科編」でも、透析患者は抜歯などにおける全身的な感染リスク因子の一つとして挙げられています。
しかし、
透析をしているから、すべての歯科治療で必ず抗菌薬が必要
という意味ではありません。
抜歯の難易度、手術侵襲、感染の有無、全身状態などを確認して判断します。
また、抗菌薬を使用する場合でも、必要以上に長く使用するのではなく、適切な量・期間で使用することが重要です。
歯の感染は抗生物質だけでは治せないことがあります
透析患者さまでは感染を心配して、
「とりあえず抗生物質を飲んでおけば安心」
と思われるかもしれません。
しかし歯の感染では、
抗菌薬だけで原因を取り除くことができない場合があります。
歯の根の中が感染している場合には根管治療、膿がたまっている場合には切開・排膿、保存困難な歯では抜歯など、
感染源そのものに対する治療
が必要です。
厚生労働省の歯科抗菌薬適正使用の手引きでも、歯性感染症では感染根管治療や膿瘍切開、抜歯などの局所処置が基本とされています。
透析患者さまだからこそ、感染が大きくなるまで我慢せず、早めに治療することが大切です。
痛み止めにも注意が必要です
抜歯や歯科治療後には痛み止めを使用することがあります。
一般的な歯科治療では、
ロキソプロフェン(ロキソニン)
などのNSAIDsが使用されることがあります。
しかし腎機能が低下している患者さまでは、NSAIDsの使用には注意が必要です。
日本腎臓学会のCKD診療ガイドラインでは、CKD患者への短期の鎮痛薬として、アセトアミノフェンはNSAIDsより安全である可能性があり、使用が推奨されています。
透析患者さまでは、
出血傾向、胃腸障害、心血管疾患、血圧などについても考慮する必要があります。
そのため歯科でも、
アセトアミノフェンを中心に検討することがあります。
ただしアセトアミノフェンにも使用上の注意があり、肝機能や他の服薬なども含めて患者さまごとに判断します。
家にあるロキソニンを自己判断で飲まないでください
歯が急に痛くなったとき、
「以前もらったロキソニンが残っているから飲んでおこう」
と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし人工透析中の方では、
市販薬や以前処方された薬を自己判断で使用することは避けましょう。
透析中であること、現在服用している薬、透析日などを歯科医師へ伝え、適切な薬を選択することが大切です。

歯科の局所麻酔は使える?
人工透析を受けているからといって、
歯科の局所麻酔が使用できないわけではありません。
通常の歯科治療で使用するリドカインなどの局所麻酔を使用することができます。
ただし透析患者さまでは、
高血圧、糖尿病、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全などを合併していることも少なくありません。
そのため、
「透析しているかどうか」だけではなく、全身状態を確認すること
が重要です。
血圧・脈拍などを確認しながら、必要な量の局所麻酔を使用し、できるだけ痛みやストレスを抑えて治療します。
人工透析患者さんではお口の管理も重要です
透析患者さまでは、
口腔乾燥、歯周病、歯の喪失など、さまざまなお口の問題がみられることが報告されています。
そのため、
「悪くなったら歯医者へ行く」
だけではなく、
定期的にお口の状態を確認し、むし歯や歯周病をできるだけ早い段階で治療すること
が重要です。
特に歯周病が重症化して歯が大きく揺れたり、根の先の感染が大きくなったりすると、抜歯などの処置が必要になることがあります。
比較的小さな処置で対応できる段階から治療しておくことが大切です。
透析患者さんでも抜歯後は治ります
「透析をしていると、抜歯した穴が治らないのでは?」
と心配される方もいらっしゃいます。
透析患者では、出血や創傷治癒についてより慎重に経過を確認する必要があります。
研究では、血液透析患者では抜歯後の出血が長引くケースや上皮化が遅れるケースが報告されていますが、適切な局所止血を行うことで管理でき、最終的には抜歯窩の治癒が確認されています。
そのため、
抜歯後も歯科医院で傷の治りや感染の有無を確認する
ことが重要です。
透析中の方が歯科医院で伝えてほしいこと
歯科医院を受診するときには、人工透析を受けていることを必ずお知らせください。
特に重要なのは、
透析を受けている曜日と時間、シャントがどちらの腕にあるか、現在使用している薬
です。
できればお薬手帳をご持参ください。
また、透析施設の名前や主治医、最近の血液検査の内容、抗凝固薬・抗血小板薬の使用、高血圧・糖尿病・心疾患などの持病についても確認することがあります。
抜歯などの外科処置が必要な場合には、必要に応じて透析施設や主治医と情報共有しながら治療を行います。
透析中だからと歯の痛みを我慢しないでください
人工透析を受けている方の歯科治療では、確かに通常より注意することがあります。
しかし、
透析している=歯科治療ができない
という意味ではありません。
大切なのは、
透析日を確認すること
出血リスクを確認すること
シャントを守ること
腎機能に合わせて薬を選ぶこと
です。
むしろ歯の感染や歯周病を長期間放置すると、より大きな処置が必要になる可能性があります。
西長住まつなが歯科では、人工透析を受けている患者さまについても、全身状態や服用している薬、透析スケジュールなどを確認しながら治療方針を検討します。
必要に応じて透析施設や医科の主治医と連携しながら治療を進めます。
「人工透析中だけど抜歯して大丈夫?」
「透析日の前後、いつ歯医者へ行けばいい?」
「シャントがあります」
「歯医者でもらった抗生物質や痛み止めを飲んで大丈夫?」
など、ご不安なことがございましたらお気軽にご相談ください😊
福岡市南区西長住をはじめ、桧原・樋井川・長住・長丘・油山周辺で歯科医院をお探しの方も、お気軽にご相談ください。
西長住まつなが歯科
📍福岡市南区西長住
📍マルキョウ桧原店前
🚗駐車場3台完備参考資料
厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 歯科編」2026年
日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」
国立循環器病研究センター「腎不全・シャントの管理」
日本有病者歯科医療学会「よくあるご質問:人工透析」
青木仁・奥村ひさ「抗血栓療法中の血液透析患者における抜歯時の安全性に関する臨床的検討」2024
インターネットでご予約
診療理念
ごあいさつ
丁寧な「対話」
から始まる、
将来を見据えた治療を
福岡市南区の歯医者【西長住まつなが歯科】のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。 院長の松永 紘明です。
私が歯科医師として大切にしているのは、「患者さまとの丁寧なコミュニケーション」と「無理のない治療計画」です。
お一人お一人の背景や生活習慣を理解した上で、その方にとって最善と思われる治療・予防方法をご提案できる歯科医院でありたいと思っています。
西長住・長住エリアの皆さまにとって、安心して通える「かかりつけ歯医者」であり続けること。
そのためにこれからも技術の研鑽と、わかりやすい・無理のない診療を心がけてまいります。
お口のことは、どうぞお気軽にご相談ください。
松永 紘明
丁寧な「対話」から始まる、 将来を見据えた治療を
福岡市南区の歯医者【西長住まつなが歯科】のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。 院長の松永 紘明です。
私が歯科医師として大切にしているのは、「患者さまとの丁寧なコミュニケーション」と「無理のない治療計画」です。
お一人お一人の背景や生活習慣を理解した上で、その方にとって最善と思われる治療・予防方法をご提案できる歯科医院でありたいと思っています。
西長住・長住エリアの皆さまにとって、安心して通える「かかりつけ歯科医院」であり続けること。
そのためにこれからも技術の研鑽と、わかりやすい・無理のない診療を心がけてまいります。
お口のことは、どうぞお気軽にご相談ください。
院長略歴
- 2013年に鹿児島大学歯学部を卒業。九州大学病院臨床教育研修センターを経て、2018年に同大学院 歯周病学分野にて博士課程修了。その後、大学病院や、きし哲也歯科医院、いりえ歯科口腔外科クリニックでの勤務を経て、2026年に当院を開院。日本歯周病学会 認定医。
当院の特徴
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医院名西長住まつなが歯科
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院長松永 紘明
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所在地〒811-1361 福岡県福岡市南区西長住3丁目12-11 アンピール長住Ⅱ 1階110 左号室
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電話番号
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診療内容むし歯/根管治療/歯周病/入れ歯/歯科口腔外科/小児歯科/予防・クリーニング/インプラント/審美治療/ホワイトニング/ナイトガード/スポーツマウスガード/スリープスプリント(睡眠時無呼吸症候群治療)
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施設基準当院は、厚生労働省が定める次の施設基準に適合している旨、厚生局長に届出を行っております。
詳しくはこちら>
各種保険取り扱い
自由診療はあくまで選択肢の一つとしてご案内し、ご希望の方に行います。